作:とっちゃん
未夢の大きな声が聞こえてきた。
「未夢か!!おかえり!!!」
そういって、彷徨は玄関へと走っていった。
彷徨が玄関についた時、未夢はくつを脱いでいた。
「うっゎぁ〜!!西園寺だぁ!懐かしい!!」
「あ、彷徨ぁ〜〜!!久しぶりィ〜〜」
そう言って未夢はにっこり笑った。
「おまえ、家にいた時とあんま変わってねーな。
ちゃんと成長してんのかよ??」
ちょっと言ってみた。ホントは少し変わっている。
髪は長くなり、身長も少し伸びている。
なにより、全体的に大人っぽく変化してきていた。
「久しぶりに会って、第一声が『変わってない』
ってひどいなぁ!!少しは私だって変わったんだよ!!」
「ほー。じゃあどこが変わったんだ?教えてくれよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
未夢は『変わった』と言ったものの、『どこが?』といわれても、
分かっていなかった。
「とにかくかわったの!!!」
クスクスと彷徨に笑われた。
「ハイハイ。おまえはかわりました。さぁさぁ、
こんなところで立ち話もなんですからなかえどうぞ。」
ハイハイハイと、彷徨は未夢の荷物をもってくれた。
未夢が使っていた部屋は一番奥の部屋。
その部屋に行くまでに、リビングや、居間を通る。
だから、ちらりちらりとのぞいていった。
−ああ懐かしい。またここにもどってきたんだ。
ルゥくんと、ワンニャー、そして彷徨との思い出の場所に−
−また、戻って、来れたんだ。−
その懐かしい思い出が未夢をどんどん笑顔にさせていった。
未夢が使っていた部屋に着くと、
未夢はびっくりした。
ここを出て数ヶ月。
お寺はとても広いから、すべての部屋は掃除しない。
しかもここは西園寺。〈宝生おじさんと〉彷徨しか住んでないから
そうじは、各個人の部屋と、居間、リビング、お風呂、本堂。
そのくらいなのだ。
なのに、未夢の部屋はとてもきれいだった。
「・・・・・きれいに片付いてる。
あたしがいなくなった時のまんまだ・・・・・」
「あ?げえーよ。ここもきったなくなってたんだけど、
おまえがくるっていったから急いで掃除しただけだ。」
「そうなんだぁ。」
これはもちろんうそである。
彷徨は未夢の思い出をきれいなままにしたくて、
いつかはまた来てくれるかもしれない日をねがって
いつも いつも 一番丁寧に掃除をしていたのだった。
「じゃ、荷物ここ置くぞ。片付けたら来い。
晩飯の準備してるから。」
「了解いたしました。隊長!!」
ピッとして、えへへとにっこりわらって敬礼をする未夢、
その愛らしさに彷徨ドキッとしてしまい、
そそくさとその場から逃げるようにリビングへと向かっていたのだった。
「さぁてと、さっさと片付けよー」
未夢はせっせと片付け始めたのだった。
一方、彷徨はドキマギしながら、包丁を握っていたため
さくり
「!いっっっっってえぇぇぇぇ!!!!!!」
すると
たたたたたたたたたと走ってくる音。
「彷徨!!!!どうしたの?大丈夫??」
「あ、ちょっとやっちまた」
と、少し切れてしまった、左手の人差し指を未夢に見せた。
すると未夢はどこからか、救急箱をを取だした、
「ちょっとみせてね。」
と、彷徨の手をとり指をながめた未夢は
ペロリとなめた。
「/////////////////////////////////」
隠し切れない動揺が彷徨を襲った。
未夢はそれにきづかづ手当てを続けた。
「よかった傷は浅いみたい。これならバンドエイドで大丈夫ね」
といって、ピッと彷徨の人差し指にバンドエイドをはった。
「彷徨。あたしもやっぱてつだうよ。ん?あれ?どうしたの彷徨?顔真っ赤だよ??熱でもあるんじゃなぁい??」
そう言って、彷徨のおでこに未夢は自分のおでこをあてる。
「っ!!!!」
かああぁぁぁぁと彷徨のかおが赤くなる。
「やっぱり熱いよ!!熱あるでしょ??彷徨休んでなよ
あたしが調理作ったげるからサ。」
−ちょうどいいから休もう−
と彷徨は思った。 が
「未夢。おまえ料理なんて出来んのか?」
そう未夢は料理が下手。だから、休みたくても休めない。
「あー。ひどいなぁ!!あれからあたしだってけっこう料理勉強したんだよ!!彷徨はどうまくはないけど。大丈夫だよ!!」
「ん。じゃ、やすませてもらうわ。
熱なんてあったとしてもすぐ直るから」
ーだって、『恋』の微熱ってやつだからな。ー
「ならいいけど、体は大事にしてよ。」
−なんでこいつはあんなことしてへーキなんだ?
俺なんて対象外。ってか?−
いやちがう。たしかに未夢は彷徨をとても気にしている。
けれども、未夢の性格を考えよう。
未夢はとても鈍感なのだ。しかもド級の だ。