作:しーば
何かに吸い込まれるように彷徨の元から引き剥がされてしまった・・・。
私の居る所はただ真っ黒な空間、底の見えない闇の中をずっと落下し続けている。
とうとう、彷徨の傍にも居られなくなったんだね・・・。
私はもう少しで、西遠寺未夢になるはずだった。
ところが、直前になって私は倒れてしまった。
倒れる前から身体の調子が何かおかしいな?っては思っていたけど、単なる風邪だと思っていたの、でも原因不明の未知の病気にかかっていたんだって。
倒れた後は、ほんの少しの入院だけで済むはずだと思ってた。
彷徨も元気な私を見て安心してたし、式場の日程も12月25日という事で決まっていたんだよ。
それがね、数日で悪化しちゃって・・・私はいつの間にか身体から離れた存在になってた。
最初は私も信じられなかったよ、何かの間違いでしょ?
何かの原因で身体から私が離れただけで、すぐ戻ればいつもの通りに動けるはずよね?って・・・。
だけど、私はもう元の身体には戻る事が出来なかった。
あははっ・・・バカだよね・・・私・・・もうちょっとで夢が一つ叶うところだったのに。
その現実をすぐに受け入れる事は出来なかった。
私の身体が西遠寺まで運ばれた後、何度も何度も身体に戻ろうといろいろやってみたの・・・。
でも、何度やってもすり抜けるだけ・・・・・・。
それでも彷徨は・・・涙一つも零さなかった・・・あの時までは。
私は彷徨の傍にずーっと居て何度も話しかけていたから、言葉が通じていたのだと思ってたくらい。
そのうち、「おい、未夢。そんな所で何してる」って呼ばれる事を期待してたんだけど・・・。
クールな彷徨があんなに崩れるなんて想像も出来なかったよ・・・。
それもあって、ようやく私も今の状態を認める事が出来たみたいで。
我慢していた物がたくさんあふれてきたの・・・その時は彷徨の声も聞こえたから、余計に辛かったよ・・・、どうしてこんな風になちゃったんだろうって色々叫んじゃった・・・。
全て吐き出しちゃった後は、今は違う形だけど一応は彷徨の傍に居られる訳だし・・・。
今の状況に慣れちゃってたから開き直ってた。
でも、彷徨の辛い表情を見るたびに、私の中でズキリとした物が増えて行って・・・。
私のせいで彷徨がこんな風になった。って少しずつ考えるようになって・・・。
本当は薄々気づいていたんだよね、このままの状態だと彷徨は・・・って。
そして、さっき彷徨が実際にそれを言葉に出して言ってしまった。
きっと来るだろうと予想していたけど、私にはどうにも出来ない事だと分かっていたの。
最初私は、このままの状態で彷徨の傍に居続けたいと願っていたけど。
今は、私なんか最初から存在しなければ良かったのに、としか考える事しかできなくなってた。
ここの空間に入ってしまったから、さっきの彷徨に何もしてあげる事もできない。
誰か・・・今の彷徨を助けてください・・・御願いします。
私は、もう身体も無いし・彷徨の傍に居る事もでないし、逢う事もできないのです・・・。
だって、私。
もう・・・死んじゃっているんだからね・・・。
あっ・・・底に光が見える・・・出口かな?
人って死んじゃったら、生まれ変われるのかな?
どうなるのかな?
あの光の先にには何があるんだろう・・・。
今までの事も全て忘れちゃうのかな・・・?せめて彷徨の事だけは覚えていたいけどな・・・。
ねぇ・・・彷徨・・・私ね・・・
最後の想いを告げる瞬間、光の先の光景が見えて言葉を止めてしまった。
えっ!?ここは・・・
[岩蔭|] '')そぉ-
短いですけど、2話目です。
足りない所が多々ありますが、後から書く予定です。
読んでいただきありがとうございます。m(。_。;))m ペコペコ…