全ては黄昏となりて外伝 (別エンド)

彷徨2

作:しーば

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「彷徨」を読んでから「彷徨2」にお進みください。


教室で女子2人の話を盗み聞きしてた後、俺は隣の教室に逃げ込んだ。
あの後、何も考える事も出来ず、窓の外で雨が降り出していたのにも気付かなかった。

窓に当たる、大きな水滴を見て。
今日傘持って来てないけど、このまま濡れて帰るのも良いかな。とも思った。

でも、今この場所を動きたくない。
何故だか分らないけど、嬉しいような、暖かいような気持ちになっていたからだ。

まるで、未夢が側に居たような・・・。


俺が校舎から出る時、雨は止んでいた。
辺りは暗くなってしまい、空には星が少しつづ光り始めていた。


ただいま・・・と、俺しか居ない西遠寺に帰る。


部屋に行き、鞄を机の上に置こうとしたら封筒が置いてあるのに気付いた。




封筒にはこう書かれていた。




彷徨へ。           


                                  未夢より。






最初に、彷徨ごめんなさい。
私が西遠寺から私の家に引っ越す数日前、彷徨から大切な事を伝えて貰ったけど。
その時の私は考えがまとまってなくて、私の気持ちと逆の気持ちを彷徨に答えてしまいました。

本当にごめんなさい。


信じられないかもしれないけど、実は私、そのちょっと前に時空の歪で、私達の未来を見て来たの。

えへへ、こうやって文字に書くだけでも恥ずかしいけど、私は未来の世界では苗字が光月から西遠寺に変わって、又昔と同じ様に彷徨と一緒に暮らしてました。

ううっ・・・恥ずかしい。

でもね、未来の私、すごく幸せそうにしてたよっ!
未来の2人を見ているだけでも、幸せになっちゃうぐらい。



でも、ある事を境に私達は不幸になってしまい。

未来の彷徨が、彷徨じゃなくなってしまう。

未来の私も、そんな彷徨を見て、自分自身を責めてしまい。

2人はバラバラになってしまうの。


信じられないよ。

あんなに幸せそうにしてたんだよ。未来の彷徨も、未来の私も・・・。

そして、私はそれを防ぐ為に何度も何度も色んな事に挑戦してたの。

でも、全て失敗して。

私の考えが変になちゃった時もあった。

「彷徨と私が一緒に居ては駄目、彷徨と私が別々に離れて、幸せになれば1番良い」って・

はぁ・・・。でもそれは浅はかな考えだったみたい。

未来の彷徨さんは、未来の未夢さんのこと相当想っているらしく。

ことごとく、彷徨に邪魔されて来た。

凄く、嬉しかった。 どうして、彷徨は未来の私の事をこんなにも想ってくれるんだろう・・・。

愛してくれてるんだろう・・・って。


えへへ、これ惚気じゃないよ・・・。事実だからね。


だけど、それがより私を苦しめてしまって。

私は強行手段に出た。

彷徨から私との思い出を全て変えてしまおう、消してしまおうって。

今の彷徨なら自覚あるはずだよ。

私と彷徨が最初に会った時の事覚えてる?

ワンニャーとルゥ君が来た日より、前にも会ってるんだよ?

今、彷徨の記憶の中で、私の事想ってくれる気持ちがいつ出来たのか、不鮮明で分らないでしょ?

記憶の中では、私は彷徨を避けているはず。

でも、彷徨の想いだけは変わらなかった。

それは、今でも何故だか分らない。

記憶の改変は出来たんだけど、想いは消せない。

そこで私は作戦を変える事にした。


直接私が彷徨を「好き・・・じゃない」って言う決断をしたの・・・。

凄く辛かった。

ずっと予想していた事だったのに、いざ本番って言う時凄く恐かった。

答える時、「好きです」と凄く言いたかった。

だって、大好きな人からの言葉だもん、将来結婚する人からの言葉だもん。

本当の想いを答えたかったよ。


でも、未来は決まっていて、不幸になる結末しかなかった。

だから、「好き・・・じゃない」と言う返事にするしかなかった。


でもね、

嬉しい事に今回、未来の不幸になる結末を無くす方法を見付けたの。

私と彷徨が結婚して幸せになってずっと暮らせるの!

えっへん、ようやく見つけたのよ、ようやく・・・。



でも、今私の家に居る私は、不幸な未来ばかりを見て落ち込んでいる私だから・・・今すぐ行って捕まえてください。

家の鍵はこの手紙に同封します。

パパとママは学会で夏休み中ほとんど家に帰って来れないって言ってたから、しばらく私独りしか居ません。

彼女の彷徨に対する想いは、今の私じゃ負けちゃうぐらい凄く強いよ、全部押し殺して我慢してるから。

もう我慢させるのやめさせて欲しいの、我慢をやめたらとんでもない事になるけど、そこは未来の旦那様にお任せします。

どうせなら、夏休みから又西遠寺で暮らすのも良いかも・・・、パパとママはまたアメリカに長く居るようになるって言ってたし。


じゃあ、最後に彷徨にお願いがあります。

                    



                     未来の西遠寺未夢をずっと幸せにしてください。







俺は鍵と手紙を持って急いで西遠寺を出た。
未夢の居る町には行く為には、19時の電車がその日の最終になる。
それを逃すと、明日にならないと未夢の家に着かない。

息を切らせながらその電車に飛び乗る。

そして、未夢の実家に着くまで、何度も何度もこの手紙を読み返した。


彷徨saideと未夢saidoを交互に入れながら投稿してます。
分り難いので、前書きに誘導文章をちょこっと入れてます。

WEB拍手、8月になっても頂いてます。ありがとうございます。
m(._.*)mペコッ

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