作:ちーこ
彷徨がねこを拾ってきた。
彷徨と同じ栗毛色の
とってもかわいい女の子。
でも…。
「ほら、みゅう。こっちこい。」
最初は全然気にしてなかった。
なのに…。
似てるの。
私の名前は「みゆ」で。
あっちは「みゅう」で。
彷徨が「みゆ」ってよぶ声と「みゅう」ってよぶ声。
似てるんだもん。
「みゅう。お前かわいいなぁ。」
「みゅう」だって分かってるのに
ドキドキしちゃうじゃない。
振り向いちゃうじゃない。
ひとりで勝手に馬鹿みたい。
v
見ちゃった。
見たくもないのに見ちゃった。
だって、見たくないじゃない。
…キスしてるとこなんか
彷徨のばか
私の気持ちなんか全然分かってないくせに
「ん、どした?未夢」
こっちをみてくる彷徨から急いで目をそらした。
このまま彷徨のこと見てたら泣いちゃいそうだったから。
「ほんと、かわいいなぁ」
返事をしない私から目を離してもう一度言った。
顔を見られないようにしながら
彷徨の腕の中の「みゅう」を抱きかかえた。
そのまま部屋へ歩き出した。
部屋の襖を閉めた途端
今まで我慢してた涙がこぼれた。
「みゅう」は私のことをきょとんとした目で見つめている。
「みゅう」にはまだわからないかなぁ。
こんな気持ち。
ちょっとしたことで不安になるそんな気持ち。
わかってないのに、
それなのに最強のライバルってずるいよね。
私はそっと彷徨と同じ栗毛色の毛を撫でた。
未夢ちゃんバージョンです。
まだまだ続きます。
(初出:2001年)