作:ちーこ
「ねぇまま、みうね、おっきくなったらぱぱとけっこんちゅるのー。」
「って未宇が今日言ってたよ。」
「どーするのパパ。」
「ライバル出現じゃん。どーするのママ。」
未夢は彷徨のグラスに酒を注ぎ足した。
明日は日曜日。
そのためか、いつもより少しピッチがはやい。
「非常に強力なライバルですが、うちのだんな様は浮気なんてしないと信じてますので。」
「あんなにかわいいとちょっと気持ちがぐらついたりしてな…なんて、可愛い奥さんはひとりで十分。」
「ばか。」
彷徨は未夢に腕を回した。
「ねぇ〜どっかいこうよぉ〜」
外はすこぶるいい天気。
未宇のおねだりもあって、ピクニックに出かけることにした。
お弁当を作り始めた未夢のわきで彷徨も腕をまくる。
「手伝うよ。」
「ありがと。じゃぁ…このハムとレタス、パンにはさめて。」
「了解。」
台所に立つふたりの足元に未宇がてこてこと寄ってきた。
「みうも〜みうもやるの〜」
彷徨が未宇にくずしたゆで卵とマヨネーズが入ったボウルを渡す。
「これ、混ぜてくれるか?」
「りょぉかい〜」
くすりと未夢が笑った。
「真似されてるよ、パパ」
「ま、親子だし。」
未宇は一生懸命にボウルの中身をかき混ぜている。
「未宇、混ぜ終わったらそれ、ママにちょうだい。」
「やだっ!みうがやるんだもん。ぱんにさんどいっちするんだもん。」
きゅっとボウルを抱え込む未宇に未夢は言った。
「じゃぁ…卵サンドは頼もしい未宇ちゃんに任せる事にしよう。」
三人で作ったお弁当をもって西遠寺を出た。
行き先は隣町の森林公園。
電車に乗ってしまえばあっという間の距離だ。
「ねぇ〜あれな〜に」
3歳児の好奇心はなかなか満たされる事がない。
次から次へと目に映るものを指さしていく。
「ねぇあれは〜」
「あれはね…」
木々の間から差し込んでくる光がやわらかい。
三人で手をつないで歩く。
「ねぇ〜ままはあんぱんまんとちょくぱんまんどっちすーき?」
最近、未宇はよくどっちすーき?と尋ねる。
何が面白いのかよくわからない。
「ん〜ママはしょくぱんまんかなぁ…」
「みうもちょくぱんまんすーき。」
彷徨がなんとも複雑そうな顔でふたりを見る。
「あれ、パパやきもち?」
「んなことねーよ。」
未宇が不思議そうな顔で彷徨を見上げる。
「ん〜ぱぱは、みうとままどっちすーき?」
彷徨は未宇を抱き上げた。
「パパは未宇もママもおんなじぐらい大好きだよ。」
「なんでぇ?どっちすーき?」
未夢が未宇の頭を撫でた。
「ママも、未宇もパパもおんなじぐらい大好きだよ。」
未夢が難しそうに顔をしかめる。
しばらく悩んでいたが、突然にこっと笑った。
「みうも〜。みうもぱぱとまま、おんなじくらいすーき。」
未宇はちょっと考えてから続けた。
「みうは、ぱぱとままといっしょにいるのすーきなのね。
だからみうもぱぱとままおんなじぐらいすーき。」
彷徨は未夢を頭の上まで持ち上げた。
「ほーら高い高い。」
未宇が歓声をあげた。
三人でシートをしいてお弁当を食べた。
三人で作ったサンドウィッチはとてもおいしかった。
特に卵サンドは格別に。
いつもどこかでつながってる
一緒にいるのが一番自然
愛してるって思うとき
愛されてるって思うとき
なんだか心があったかくなるね
手を伸ばそう
手をつなごう
一緒に歩いていこう
寒くなったらいつでも暖めてあげる
ほらおいで
この腕の中へ
ほらここはあったかぞく
31000ヒットのむつみんさんからのリクエスト。「だぁ!以後新だぁ!以前の西遠寺」がテーマでした。
ん〜家族って隣にいるのがあたりまえすぎて…ありがたみがよくわからないですよね…
きっと離れてみたら…わかるんだろうなぁ。
実は…ちーこは…親になった未夢と彷徨は…あんまり書きたくないのですね…。
私自身親の気持ちがわからないから…完全に見えない世界〜みたいなね。
私が親の立場になったらちゃんと書けるのかもしれないけどさ。
今回は…「御宿か○せみ」の影響が…すごく出てる感じ…かも?
前半の…おふたりさんは…多分ね…
タイトルあったかぞくは…あったかとかぞくのくっついたのだと思われます。
というのは…ちーこが買ってきた毛糸が「あった家族」だったんですね…。
で、あぁこれいいなぁと思って…。
んで家族をひらがなにしてみました。
むちゃくちゃ安い毛糸なんですけどね(苦笑)
パン戦隊のお話は…ひっぱってるというか…やっぱりしょくぱんなんだ…
ってか…母子そろってしょくぱんかよ…みたいなね。
パパとしてはちょっと複雑?
卵サンド〜
ちーこ好きなんですよね…。
この間お弁当箱の中に…ぎっしりハムレタスサンドがつまってて…
かなしくなりました…
だってレタス嫌いなんだもん…
キャベツはすきよvv
(初出:2002.10)