作:ちーこ
スポーツの秋。
読書の秋。
天高く馬肥ゆる秋。
秋としてあげられるものは数多くあるけど…。
彷徨はもっぱら2番目ね…。
いつでも本読んでるけどさ…。
んでもってわたしは…
ん〜
さっき本屋で見かけて買ってしまった本。
…とは言っても読書の秋を満喫するわけじゃなくて…
『秋のお料理特集!』
なんて書かれた料理の本だったりする。
情けないような気もするけど…やっぱりわたしは…
馬肥ゆる…もとい食欲の秋…。
パラパラとページをめくっていく。
ホントにどれもこれもおいしそう。
だ・け・ど
自信がないのよ…おいしく作れる自信が。
いっつも料理すると何か忘れるし…。
時には彷徨が何入れたんだって確認するようなものまでできたりするし…
やっぱり…彷徨に相談してから…
いやいや…やっぱりそれは女の子としてどうよって気もする…。
何をいまさらなんて…女の子には恥じらいってものがあるんです!
とりあえず…栗があったから…栗きんとんなんてのを作ってみようかと思った…。
『まず栗を茹でる』
茹でるって…普通に鍋で煮ればいいんだよね…
煮ると茹でるの違いってなんなんだろう…
『やわらかくなったら熱いうちに半分に切って中身を出す』
半分にきってっと…。
あっつぅ〜!!
……痛い……クスン……
今度は注意して…そっかスプーン使えばいいじゃん…
…なんで最初に気付かないんだろう…
『裏ごしする』
裏ごしは…この間彷徨がやってたやつだから…。
ふるいの上に栗をのせてぐりぐりと潰していく。
なかなかの重労働…。
『鍋に砂糖と水を入れ弱火で練る』
弱火…ってこのくらい?
ちょっと強いかな…もうちょっと弱く…あっ消えた!
もう一度…だぁぁぁそれじゃぁ強いってば!!
『ぽってりしてきたら火を止めよく冷ます』
冷めろぉ〜はやく冷めろぉ〜…ちょっとひとりでやってるとむなしい…かな
しょうがなくてTVをつけたらサボテンマンが再放送されてた。
あとで彷徨に教えておこう。
『濡れ布巾にスプーン2杯分程すくってつつむように茶巾に絞る。』
こんなもんでどうよ。
おぉ…見た目は悪くない…
わたし的にはかなり快挙。
とりあえず見た目だけでも合格点。
嬉しくなってお皿に乗せたそれをもって彷徨の部屋までダッシュ。
「彷徨〜見て見て〜。」
やっぱり彷徨は読書中。
お互い秋を満喫してますね。
「ん?それ…お前作ったの?」
「うん。わたしにしては上出来じゃない?」
「見た目はな。問題は味だろ。」
彷徨にお皿を差し出す。
彷徨はそれを楊枝できれいに4つにわけるとひとつ口に入れた。
そしてもうひとつをわたしに差し出した。
この場合…この楊枝は…間接キ…いいやもう…
多分彷徨無意識だし。
気にしてたらきりないもん。
ぱくっと食べたら…口に広がる栗の味。
「あっ…おいし…」
「やっとまともなもん作れたじゃん。」
彷徨の目がにこっと笑った。
おいしいものがあると人間しあわせって言うけど…
自分が作ったものをおいしいって食べてくれる人がいると…
2倍しあわせかも。
ほえほえっとしてたら彷徨が私の手をつかんだ。
「ちゃんと冷やしたのか?赤くなってるぞ。」
見るとさっき栗に触れた指先が赤くなっていた。
今まで何ともなかったのに気がつくと痛い。
ふるふると首を振ると彷徨は私の手をつかんだまま歩き出した。
水道まできてじゃばぁっと水をかける。
冷たくて気持ちいい。
彷徨は居間で救急箱から塗り薬を出した。
「ったく…いくらうまいもんできたって…自分怪我してたら意味ないだろ。」
そして彷徨はやさしく私の人差し指に薬を塗った。
「ほらよ!…今度からは気をつけろよ。」
ぽんっとわたしの頭をはたくと彷徨は居間から出て行った。
遠ざかる足跡を聞きながらわたしはまた嬉しくなった。
栗きんとんがうまくできて
おいしくて
おいしいって言ってもらえて
そして…さりげなく心配までしてもらえた…
一石二鳥どころか一石四鳥。
わたしの秋は…いいかんじみたい。
ふぅ…
1周年トップがあまりにも長すぎるので…急遽。
下書きなしで…1時間ぐらいで書きました。
現在時刻1:43もちろん深夜。
明日(今日)は普通に学校です。
また授業中ねるよ…
最近料理ネタ多いですね〜…
まぁ私が最近料理するの好きだからなんだろうけどさ…
彷徨出番少ないし。
一人称書きやすいし。
あとがき長いし(苦笑)
ってかこういう料理の話は料理しない人からすればつまんないですかね?
んでもって最後のとこ今加筆(笑) あっぶない…複線はりつつ忘れるとこだったよ…。
…ってあれは複線といえるのかな…。
サボテンマンは…入れようかどうしようか迷ったけど…
実は予約録画済って方向で(笑)
ん〜そんなこんなで…秋皆さん満喫してますか?
(初出:2002.10)