作:ちーこ
私は困っていた。すっごく。とっても。
外は雨。
今日で4日目。
確かに3人×4日分干すのはそりゃ大変だけど。
こんなにたくさん部屋の中にぶら下げるのはもちろん邪魔だけど。
問題はそんなものじゃなくて…
これをどうするのかってこと。
さかのぼること数時間前。
私は気づいてしまったのだ。
山となっているものに。
明日こそ晴れる、明日こそ晴れるで4日間。
笑い事じゃない量が溜まっている。
部屋干し…するしかないかなぁ…
雨だというのにみんな外出中。
彷徨は見たい映画が今日までだったらしくて、三太くんとお出かけ。
るぅくんとわんにゃーはももかちゃんの所へ遊びに行ってしまった。
…洗濯機…2回は回さなきゃなぁ…
気合を入れて第一弾。
洗濯機を回し始めてから気がついた。
…なんで彷徨の分まで洗ってるんだろう…
まぁ…いっか。
まとめてやった方が楽だし。
地球にやさしいし。
やることがなくて居間に戻る。
わたし以外誰もいない家に、部屋に、雨の音が響く。
ちょっと…さみしい…かな
しばらくぼーっとしていると洗濯機がピーッっと電子音を発した。
第一弾洗い終わり。
洗濯かごに中身を取り出すと、第二弾を放り込む。
ぐぉ〜ん。
洗濯かごを持って部屋の中に干し始める。
しわをパンパン伸ばしながら。
こういう作業は嫌いじゃない。
ただやり始めるまでがめんどくさいだけで。
ピーピー。
また洗濯機が呼んでいる。
空になったかごを持って駆けつけると。洗濯機は脱水の前で止まっていた。
やっぱり…ちょっと早いと思ってたんだ。
ふたを開けると案の定中身が片寄っている。
均等にしてもう一度スタートを押す。
また動き始めた洗濯機に、やっぱりまた手持ち無沙汰になって。
居間に戻ってTVをつけた。
何もおもしろい番組がない。
ひーまーだー。
ごろごろしているとまたピーッと音がした。
今度こそ第二段洗い終わり。
洗濯物をかごに移してまた干し始める。
そこまでは何にも問題なかったのだ。
気がついてしまって困って。
今に至っている。
残り少なくなったかごの中に残っているのは…彷徨のトランクス。
…どうすればいいんだろう…
バーンと他の洗濯物みたいに開けっぴろげに干していいんだろうか。
それともわたしのみたいに部屋に干すべきなのだろうか。
…いつも彷徨はどうしてたっけ…
思い出せない。
なんでこんなもののために悩んでるんだろ。
わたしはソレを手にとった。
こんなのどーでもいいじゃない。
わたしが意を決して、普通に干そうとした時。
「何、人のトランクスまじまじと見つめてんだよ…いやぁん未夢ちゃんのH」
冷静に言われると腹が立つ。
いやぁんって棒読みで言った所で可愛げも何にもな…って
「彷徨!?」
「ただいま。んで、いつまでそれ握りしめてるわけ?」
「ち、違うわよ!ばか!」
わたしは彷徨…の顔面…にソレを投げつけると部屋に駆け込んだ。
「未夢。お前いい加減機嫌直せってば。」
あれからしばらくして、彷徨が部屋の前に来た。
冗談じゃない。
そんな簡単に機嫌直してたまるか。
せっかく洗濯物干してたというのに何が悲しくて変態扱いされなきゃならないんだ。
「おい…未夢…入るぞ」
返事をしないでいたら、彷徨が襖を開けた。
…わたしの部屋の中にはもちろん…わたしのが干してあるわけで…
「いい加減機嫌うわっ!」
バッチン。
夕食の時の彷徨の頬には、バッチリ紅葉型が残ってて。
不機嫌なわたしと彷徨にわんにゃーは不思議そうな顔をしてた。
乙女心は複雑なんです。
というよりも。
…誰とは言わないけれど…
学校一の美少年とか言われてるくせにデリカシーなさすぎる人が、一番悪いと思います。
ホント。
13000ヒットの山稜さんからのリクエスト。「梅雨時のお洗濯」でした。
あはは〜。
もういいよ…。
ってかこれ…男の人に見せらんないね。ちーこの趣味が疑われます。
ってか趣味じゃないんで。こーゆーの。
ただ…雨の洗濯→部屋干し→○○って感じになっただけですから。
そんなこと浮かぶ頭が恨めしい。
いや…ホント趣味じゃないんで。
くれぐれも誤解なさらぬよう。
ってか未夢ちゃんの1人称。
全然別人って感じだよね〜。
最近やたら1人称小説多い気がします。
それだけ地の文が書けないってことですか?
はぁ。
(初出:2002.05)