サンタ・クロスのプレゼント

3.

作:ロッカラビット

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「ただいま〜。ふぅ。重かった〜。ったく、なんでこんな日に買い物当番なんか…。クリスマスってどこもかしこも無駄に人が多いよなぁ。」


ドカッと荷物をおろすと玄関に腰かけて、ふぅと一息。靴を脱ぎながらあてる相手の無い文句をぶつぶつと垂れる彷徨。

と、そこへ。


「おかえり〜♪」

「おかえりなさいませ〜♪」


陽気な声と共にやってくる二人。

嫌にご機嫌な声に、不審に思い眉を寄せてゆっくり振り返る彷徨。

その瞬間、目に飛び込んだのは……。


「んなっ!!」


驚いて言葉も出ず、ただただ口を開いたまま固まる彷徨。


「おかえり彷徨!えへへ〜、びっくりした?」

「ふふふ、彷徨さんの衣装もございますからねぇ〜。ルウちゃま喜びますねぇ〜。クリスマスですねぇ〜。」

「た、ただいま。……。それ、どうしたんだ?」


赤くなった顔を隠すように、姿勢を元に戻して視線を足元へ。
脱ぎかけの靴の紐をゆっくりと緩める。


「さっきね、三太君がプレゼントだって届けてくれたんだよぉ〜。どうしようか悩んだんだけど、せっかくのクリスマスだしねぇ。ルウ君も喜んでくれそうだし、着てみたのさぁ〜。はいっ、これ彷徨のだから部屋で着替えてね。じゃ、ワンニャー!荷物運ぶよ〜。」

「はいっ未夢さん。って、えぇそれだけですか〜?もう少し持って下さいよ〜。」

「ワンニャー飛べるんだから、いいじゃな〜い。」

「そ、そ、そんなぁ〜。」


彷徨の隣にサンタ衣装を置くと、そそくさと彷徨の買ってきた食料を台所へ運ぶ未夢とワンニャー。


「はぁぁぁ……。あいつ…自覚なさすぎ……。」


こらえていた想いを吐き出すように大きなため息をつき、まだ熱が治まらない顔に手をあてる彷徨。


「ったく、三太のヤツ…。・・・・・・‥…。まぁでも、クリスマスだからな。
お節介なサンタ・クロスからのプレゼントならありがたく受け取っておくか。」


自嘲気味に笑って呟いて、衣装を手に取り部屋へと戻る。


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