作:ロッカラビット
「ただいま〜。ふぅ。重かった〜。ったく、なんでこんな日に買い物当番なんか…。クリスマスってどこもかしこも無駄に人が多いよなぁ。」
ドカッと荷物をおろすと玄関に腰かけて、ふぅと一息。靴を脱ぎながらあてる相手の無い文句をぶつぶつと垂れる彷徨。
と、そこへ。
「おかえり〜♪」
「おかえりなさいませ〜♪」
陽気な声と共にやってくる二人。
嫌にご機嫌な声に、不審に思い眉を寄せてゆっくり振り返る彷徨。
その瞬間、目に飛び込んだのは……。
「んなっ!!」
驚いて言葉も出ず、ただただ口を開いたまま固まる彷徨。
「おかえり彷徨!えへへ〜、びっくりした?」
「ふふふ、彷徨さんの衣装もございますからねぇ〜。ルウちゃま喜びますねぇ〜。クリスマスですねぇ〜。」
「た、ただいま。……。それ、どうしたんだ?」
赤くなった顔を隠すように、姿勢を元に戻して視線を足元へ。
脱ぎかけの靴の紐をゆっくりと緩める。
「さっきね、三太君がプレゼントだって届けてくれたんだよぉ〜。どうしようか悩んだんだけど、せっかくのクリスマスだしねぇ。ルウ君も喜んでくれそうだし、着てみたのさぁ〜。はいっ、これ彷徨のだから部屋で着替えてね。じゃ、ワンニャー!荷物運ぶよ〜。」
「はいっ未夢さん。って、えぇそれだけですか〜?もう少し持って下さいよ〜。」
「ワンニャー飛べるんだから、いいじゃな〜い。」
「そ、そ、そんなぁ〜。」
彷徨の隣にサンタ衣装を置くと、そそくさと彷徨の買ってきた食料を台所へ運ぶ未夢とワンニャー。
「はぁぁぁ……。あいつ…自覚なさすぎ……。」
こらえていた想いを吐き出すように大きなため息をつき、まだ熱が治まらない顔に手をあてる彷徨。
「ったく、三太のヤツ…。・・・・・・‥…。まぁでも、クリスマスだからな。
お節介なサンタ・クロスからのプレゼントならありがたく受け取っておくか。」
自嘲気味に笑って呟いて、衣装を手に取り部屋へと戻る。