天の川の下で

くいず

作:

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『みなさ―――ん、盛り上がってますかー!?
 今年もやってきましたこの時間! 始めましょう! 審査員はここにいるあなた! そう、アナタです!
 織姫アーンド彦星に続け! ベストカップルコンテスト〜〜〜〜〜〜!!!!』


「………どうすんのよぉ、彷徨…」
「どうするって言ったって…」
言ってしまえば他人様のイチャつき大会なのに、何故か大盛り上がりの会場。
「なんでこんなに盛り上がってんのぉ…」
『残念ながら今年は例年に比べ、参加カップルが少なく、エントリーはたったの8組!
 しかーし逆に言っちゃえば! 今年の参加カップルはライバルが少なくてラッキーでしたねぇ!
お若いカップルでは最年少11歳の小学5年生! 中学生カップルが1組、あと6組は高校生や大学生となっておりますねぇ〜』
「じゅういっさい……?」
ステージの脇で待機している中で、一際目立つ小さなカップル。司会者の口から出たその若い、というより幼い年齢に未夢は驚いた。
(な、なんか悔しい…)
初恋もまだの未夢には、小さな少年少女がやけに大人びて見える。
『それでは早速、登場していただきましょう! 拍手でお迎えくださぁ〜〜〜い!』

わぁ―――っと歓声と拍手が沸き起こる中、順にステージに上がる。普段から舞台慣れしている彷徨と違って、未夢は右手右足が一緒に出る緊張っぷり。
『エントリーナンバー1番、地元さくら小学校からのエントリー……』
「…落ち着けよ、ロボットじゃあるまいし」
「だ、だってぇ〜〜〜」
次々と紹介される中で、小声のやりとり。“巻き込まれ慣れ”した二人は、もう辞退は諦め、適当にやって早く終わらせようと決めていた。

「未夢ちゃん、緊張しすぎじゃない?」
「だ、大丈夫でしょうか…」
「西遠寺くんが一緒だもん、大丈夫! たぶん……」


『えー次はエントリーナンバー7番! わたくし個人的には、今回一番の注目株でーす』
「「え?」」
未夢も彷徨も、自分たちに付けられた札をまじまじと見た。…どう見ても、7番。
『隣町の第四中学校から参加の同級生カップル! 彼の方は、頭脳明晰、スポーツ万能、クラス委員長もこなして、時期生徒会長との呼び声高い超イケメン!
 ファンクラブも存在し、四中伝統の美少年コンテストでは、初のV2達成! こりゃ四中イチかっこいいってことじゃないですかぁ〜!
 そして彼女の方は…っと、え〜その天使の笑顔で学校中の男子生徒を虜にする愛らしい美少女!
 そのテには超!鈍い彼女の性格と、彼の鉄壁のガードがあるために、表立ってモテるとゆーことはないのですが、実は他校生にも人気がある……サ、サラ…?
 むむ、ここは読めませんね…。 あ、彼らはお友達からのエントリーで、わたくしの手元にある自己紹介もお友達からの紹介文となっております〜』
「紹介文なんていつの間に書いてたんだよ…」
「ちゅ、注目株なんてぇ〜〜〜」
ただでさえ、ステージの上で人目にさらされているのが気になってしょうがないのに、そんなこと言われたら余計に注目が集まってしまう。

「綾ってば、すっごい紹介文書いたねー」
「素晴らしいです〜」
ななみとワンニャーが感心して綾を見る。
「でしょー? ホントは最後に『NASAの科学者と宇宙飛行士のサラブレッド』って書いたんだけど、やめちゃった」
鼻高々に、自慢げに、少し寂しそうに。綾が笑った。
「未夢、そーゆーの嫌がりそうだもんねー」
「そんなのなくたって、未夢ちゃんなら優勝出来るよ! 西遠寺くんと一緒なんだし!」



『さぁ! 参加カップルの皆さん、スタンバイよろしいですか!?
 1戦目は簡単なクイズになります! 彼と彼女、交互に質問をしますから、指名された方は質問の答えを、お相手さんにはパートナーの書く答えを予想してもらいます!
 どれだけパートナーのことを知っているか、心を通わせて審査員の好感度あげちゃってくださぁい!』
(彷徨の書きそうなことを当てればいいんだ…。 これなら、何とかなるかなぁ…?)
二人で力を合わせて物々しい障害物を越えるとか、人前で大胆に愛を確かめるとか、そんなテレビで見るようなものを想像していた未夢は、心底ほっとした。
『では第1問! 彼に質問! 最初はカンタンですよぉ〜! 彼の好きな休日の過ごし方は!? 彼女さんは彼の書きそうなことを考えてくださいね〜』

「これはカンタンですよねぇ〜わたくしだってわかりますよぉ〜」
ワンニャーが得意げに言う。
「西遠寺くんの休日かぁ〜…なんだろう?」
「黒須くんと遊ぶ!…は違うよねぇ」


『みなさん書けたようですね〜ではまず彼女さんの方を一斉にオープン!』
「「…あぁ!」」
未夢の答えに、ななみと綾が納得した声をあげる。
「そうです! その調子ですよぉ、未夢さぁん!」
『ほほ〜ぅ、やはりデートという答えがほとんどですねぇ〜! 7番の方のみ、読書という回答を予想しています! では、彼の答えをどどーんとオープンしちゃいましょ〜!
 ……あら、あららぁ〜? 友達とサッカー、部活か一人映画、部活、部活、バイト、男友達と遊ぶ、読書、ドライブ……男性諸君、あとで彼女にきつーくお灸が据えられそうですねぇ…』
彼側に鋭い視線が刺さる。
自分の彼女はもとより、会場の多くの女性を敵にまわしたようで、不穏な空気に、司会者も冷や汗。

「あ、あれ…」
「当たってない?」

次第にざわつきが広がる。周囲がだんだんと気付き始めた、唯一の一致。
『ん? 読書? …って、あ―――っ! 7番の彼! ってことは、7番の四中カップル! 正解〜〜〜!』

わぁっと歓声があがる。
「やったぁ! 未夢エライ!」
「さすがだね〜」
ななみと綾が思わず立ち上がった。


『いやぁ〜〜〜1問目から今回の出場者はやらかしてくれますね〜。 当たったカップルがいてよかったよかった!
 じゃ〜気を取り直して、第2問! 次は彼女に質問! 次もカンタンですよぉ〜今度こそ当ててくださいよ〜! 彼女のゴキゲンと会場の空気がかかってますよぉ〜!!
 さぁ、彼女の好きな食べ物は!?』

「これも楽勝ですね〜」
「これならあたしたちだって…」
「せ〜のぉ」
「「「カスタードプリン!」」」


『おおっと! 正解したのは7番と8番! これは最後の問題まで彼女たちの機嫌は保つのでしょうか!??
 さ、さぁ、張り切って次いきましょ〜! 次こそ当たりますよ〜にっ!』


すみません、終わりませんでした(苦笑)
司会者さんがガッツリ喋るんだもん…。
このちょっとウザいノリを楽しんでますけどね、ええ、とっても。

次で終われると思います!たぶん!…たぶん。(自信ないw)

ご愛読、感謝いたします。
拍手、コメントにも。ありがとうございます。
拍手御礼小話も少し作りましたので、お楽しみいただけると幸いです。

七夕が過ぎてしまっていますので、早々に仕上げたいと思います!


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