作:杏
「遊園地と言えば! ジェットコースターに、締めの観覧車! と、やっぱこれだよね〜!」
「…“モモンと魔界旅行”?」
四人が見上げる入り口には、おどろおどろしい妖怪や怪物の姿が描かれている。舞子の独断で一行がやってきたのは、いわゆるお化け屋敷。
「じゃっ! あたしたち、おっ先〜! ヒロ、行こっ!」
「えぇっ!? ま、舞子ぉ〜!??」
誰にも拒否権はなかったらしく。紘斗は舞子に引かれて行き、入り口には立ち尽くす未夢と彷徨が残された。
「…………」
「い、行っちゃった…」
「もぉ、怖かったよぉ〜!」
隣の出口から出てきた女の子が彼氏らしき男に半泣きでしがみついていた。
「………」
「なに、おまえ怖いの? やめとくか?」
「こっっ! 怖くなんか―――…!」
ニヤッと彷徨がけしかければ、未夢は当然、拳を上げて反論。
「きゃああぁっ!」
「ま、まいこ……?」
中からの悲鳴は、舞子の声。未夢の顔からサーっと血の気が引いていく。
「あの子、割と平気な方だろ? ビビりの未夢には無理―――」
「こんなの平気ですぅ! 行けばいいんでしょ、行けばっ!」
彷徨の言葉にピクリと眉を上げた未夢は、勢いよく暗闇へと進んでしまった。
「……素直じゃねーの」
苦笑しながら未夢のあとに続く彷徨に、よからぬ悪戯が浮かんだ。
(さて…)
◇◇◇
「なんか、子供騙しだよねぇ〜。 ほら、みんな突然出てきて驚かせてるだけ〜」
「そりゃビックリはするけど、怖いかと言われると、違うんだよねー。 これならファンタジーパークのミステリーマーケットの方が怖かったよー」
そんな少女たちの会話に冷や汗を流す妖怪たち。
綾に至っては、懸命に怖がらせようとする化け猫の喉を、本物の猫よろしく、撫でてみたり。
「ホントホント! ねぇ怪物さん? カップルの女の子を怖がらせてふたりをラブラブにくっつけるのが、あなたたちの仕事なのよ?」
「ぐ、ぐるるぅ〜〜〜…」
「こんなんじゃさすがに、怖がりの未夢も『きゃあ!彷徨、怖ーい!』…なんて演技もできないんじゃない?」
「………え?」
右も左も見ないように、ただひたすら進路を進んでいた未夢が、ふと足を止めた。
「な、なんかよく知る声に呼ばれたような…き、気のせいよね! ね、彷徨……あ、あれ…?」
振り返ると、そばにいてくれていると思っていた彷徨がいない。
「かな、た……?」
(や、やだ、はぐれちゃった…?)
独りだと思った途端に、足元を抜ける風が冷たくなった気がした。他の客も近くにはいないようで、悲鳴が遠くで聞こえる。
ピチャン…ピチャン…とどこかで水の落ちる音。脅かすお化けたちの気配すらない、不気味な静けさ。
(どうしよ……あれ、どっちから来たんだっけ…? 彷徨、どこ…?)
辺りを見渡すのも怖いけれど、そうせずにはいられない。
それでも、その場から動くことは出来ずに右往左往していたら、その肩にポンと気安く手が乗せられた。
「彷徨! どこ行って…」
「お嬢さぁん……」
「ねぇ…ひとりぼっち? 一緒に遊ぼ〜?」
「……―――ひ…っ」
「きゃあああああああぁっ!」
毎度ご覧戴きありがとうございます。杏でございます。
あれれ??恋人感ないですね。オカシイなぁ…(・_・;
とりあえず、遊園地と言えば、こんな感じかな、と。
実は私自身があまり得意じゃないもんで…ゆーえんち(^^;
アトラクション浮かばなかった…。。
化け猫さんが気の毒ですね(笑)
このお話、一体どこに向かっているのでしょう…。
一応目標としているものはあるのですが、到達できるのかどうか…怪しいです(><)
頑張ります。あぁ、3月の一大イベントが近付いてくるぅ〜!