作:杏
(…で、なんでこーなるんだ…?)
ごぉっと風が耳元で唸り出し、ふわりと身体が浮く。
「「…きゃあああああ〜〜〜〜!!!」」
髪をなびかせながら叫ぶ未夢は、彷徨の前列にいた。その隣で余裕で両手を上げているのが、未夢の旧友、沢越舞子。
となると、彷徨の隣にいるのは、その彼氏、関紘斗。
待ち合わせた入場ゲート前で簡単に紹介を済ますと、舞子はぱっと未夢の手をとってゲートをくぐってしまった。
残された、初対面の彼氏たちの何とも表現しがたい胸の内は微塵も気に留めていない彼女たちは、ゲートの向こうで、早く、と言わんばかりの大きな手招き。
離れてしまった手に、彷徨が呆気にとられていると、察した紘斗が肩を揺らしていた。
「未夢っ! あれあれ! モモングッズ見てこよ!」
「あ、うん! 待って〜〜」
「…いつまでふたりでデートしてるつもりだろうね?」
彷徨たちより二つ年上だという紘斗は、自分たちの存在を忘れているんじゃないかと思ってしまうこの現状に、ただニコニコとついて行く。
年上の余裕だろうか、それとも、二年も経てばこうなれるのだろうか。
彼氏役で連れて来られて、それらしいことはまだひとつもしていない彷徨には、理解できそうにない。
「さぁ…」
「僕らは僕らで、デートしちゃう?」
「……いや、一応、見ててやんないと…」
冗談なのはわかっているけど、初対面の男とデートなんて。放っておかれていることへの多少の苛立ちも相俟って、ぶっきらぼうに答えた。
「ははっ、なんかアレだね。 彼女ってゆーより、目の離せない妹って感じ?」
「…………」
口をついた言葉にすぐにはっとしたけれど、遅かった。そう言われてもおかしくない言葉だったと、自分でも思う。
返しようがなくて、己にため息をつきながら、グッズ選びに夢中の未夢たちへ歩み寄った。
「なぁ…」
「あっ! 彷徨くん! ねー見て! 未夢、可愛いでしょっ!?」
「ちょっ! 舞子!? や、やめてよぉ〜〜〜」
先に彷徨に気付いた舞子が、未夢の背後から両肩を押し出した。同意を求める舞子は、満面の笑み。彷徨の眼前に突き出された未夢は、頬を染めて俯いてしまった。
「お、可愛いね、ふたりとも! それ、何の耳?」
「ヒロ! モモン耳に決まってるじゃな〜いっ! 魔界警察の帽子と、どっちにしようか悩むんだよねぇ〜」
耳付きカチューシャと帽子を交互に当てては鏡と睨めっこする舞子。隣で未夢は早々にカチューシャを元の場所へ返してしまった。
「やっぱり、耳の方が可愛いんじゃない? ねぇ?」
振られた話題を紘斗が受け取ってくれたことに安堵していた彷徨に、まさかの変化球。
「えっ!? あ、えっと、はぁ…そう、です…ね」
「――――!?」
「じゃ、こっちにけって〜い! 未夢、買ってこよっ!」
カチューシャを二つ手にした舞子がくるりと未夢を振り返ると。
「………未夢? どしたの?」
未夢は真っ赤になって固まっていた。
「えっ、ごめん、な、何だっけ?」
「だから、コレ買ってこよって。 彷徨くん、もうヒロとお店の外に出ちゃったよ?」
「う、うん、行こ行こっ!」
(ホントの恋人同士なら、これがフツーかもしれないけど…)
紘斗のように、笑顔で“可愛い”と口にしてくれた訳ではないけれど、それに同意してくれた。その場しのぎの嘘だろうけど、それでも…。
(う、うひゃあぁ〜〜〜〜〜〜〜!)
「…ねぇ未夢?」
「ん? なぁに?」
清算を済ませ、タグを切ってもらったカチューシャを鏡の前で付けながら。舞子はちらりと未夢に目配せをして、ニンマリと頬を上げた。
「彷徨くんと、まだ付き合い出したばっかり?」
「ど、どうして…?」
「だぁってさぁ、なーんか初々しい感じ? 仲はいいんだけど、ふたりとも恋人らしい距離に全然慣れてないってゆーか!」
「あ、あは、あははは…」
舞子の鋭い観察眼に、ドキリとした。そんなことを訊かれるとは思ってもなくて、何の“設定”も考えていない。
(このままじゃバレちゃうよぉ〜〜〜)
「…未夢! お願いがあるの!」
こんばんは、杏です。
遅くなってしまってスミマセン。。
私のなけなしの文章力も不調ならば、今度はパソコンさんが言うことをきかなくなってしまいまして…(><)
あ、今ですか?今は何故か順調に動いてくれているのですが…もう寿命かもしれないです(涙)
あまりに更新がなくなったら、「あ、パソ壊れたな」と思っといてください(^^;
タイトルのネタ。誰々の…ってヤツが底つきました。次は誰にしましょう?
とゆーか続き、どうしましょう。舞子ちゃんのお願いの内容も悩んでますw
年度末。なんとなく忙しなくなる時期ですね。
私も、自身には変化はないのですが、なんとな〜く忙しいです(笑)
みなしゃん、お身体には気をつけて、風邪などひかれませんように。
ご覧戴きありがとうございました。