君さえいれば

競技終了 勝負

作:

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各クラスの美少年たち。意気込んでいる者もいれば、嫌々そこに立っている者もいる。

その中でも一番の、明と暗。



「ふっふっふ…はははははははっ!
 コンテストの前にこんな勝負ができるなんて思ってもなかったよ、西遠寺くん! 今こそどちらがナンバーワンの美少年か! 決着をつけるときさ!」
「どーでもいいよ、そんなもん…」

言わずと知れた、2−1の二人。
彷徨との勝負に闘志を燃やしている望。心底面倒だし、興味もない彷徨。

『さぁ! 美少年のみ〜なさあぁ〜〜ん! カメラの用意ができました! テキトーに数人ずつスタートラインについてくださぁ〜い!』

促されるも、ほとんどがためらった。互いの動向を確かめている。彷徨の動きをみているというのが、正しいかもしれない。
どの部にも所属していない彷徨の運動能力の高さは全生徒が知っている。選抜リレーに出場したのは、運動部所属の生徒ばかり。文化部及び帰宅部で選ばれたのは、彷徨ただひとり。
サッカー部、バスケ部、野球部に陸上部。運動部で活躍する生徒もいたのだが、陸上部員も短距離走者ではなかった。インターバルと言えど、彷徨とたたかうのは避けたいと、誰もが思っていた。

『いわばこれは、コンテストの前哨戦! ここでの活躍もコンテストの得票を左右するのでは!? さぁさぁ! 誰からいきますかぁ〜!?』
威勢のいい綾の声。それでも、動かない。


「ふふ、みんなこのボクに恐れをなしてスタートラインに立てないようだね! どうだい、西遠寺くん!
 キミとこのボクとの一騎打ちといこうではないか!」
「……」
「でも残念ながら、ボクに特定の彼女はいないんだ。 すべての女の子を喜ばせるのがボクの使命だからね!
 フリーのボクは好きなパートナーを選んでいいというじゃないか! そこでボクは、あるクラスメイトの女の子にパートナーとして写真におさまってもらうことにしたんだ!」
チラリと赤団の団席に視線を送る望。手にした赤いバラを捧げるように跪いた。
「待っていておくれ! 未夢っち〜〜〜〜〜!」

『おっとぉ〜〜〜2−1光ヶ丘くんから、昨年の覇者、同じく2−1西遠寺くんに勝負を持ちかけました! しかも光ヶ丘くん、言わずと知れた西遠寺くんの最愛の彼女、光月さんをパートナーに指名!
 完全なる宣戦布告です! さぁどーする西遠寺くん! てゆーか西遠寺くんが走らないと他の人が動きそうにないから、とっととやっちゃいましょう! ほらほら、位置についてェ―――』


「さ、最愛のって……、綾ちゃんってばぁ〜〜〜」
全校生徒の視線が集まっている。綾の言葉に、みんながニヤニヤ。未夢は熱い頬を両手で隠すように包んだ。

「おい、小西っ!」
こっちはこっちで、彷徨が放送席の綾に噛みつくように叫んだ。それでも、綾が素知らぬ顔でピストルを持つ生徒に合図をすれば、慌ててスタートにつく。


「用意!」
――パァン!

「くそ…っ!」
両手足で思い切り地を跳ねて、スタートラインを飛び出す。

(…負けられるかよっ!)



こんばんは。いつもご覧いただきありがとうございます。

文章量を合わせたら、もうひとつ続くことになりました(^^;
彷徨くん、すでに1キロくらい走ってるんじゃないでしょうか(笑)

サシの勝負をする予定はなかったんだけどなー。まぁいっか。

杏は望くん苦手かもしれないw
…と書いてて思いました。なんか扱いづらーい(><)
カッコつけてるのを文章に起こすのって難しいです(笑)

次回。彷徨くんがハイ、チーズっ!

杏でした。ありがとうございました。

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