時を越えて

7話 つよさ

作:

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「…じゃあお姉ちゃん、そろそろ行くね」


「えっ、もういっちゃうの?」

「ここはお姉ちゃんのいたところより寒いから。 自分の住むところに帰らなきゃ、風邪ひいちゃう」


冷えてきた両腕をさすって、眉を下げて笑う。帰る術はまだわからないけれど、あまり長く居るとこの少年と離れ難くなる。

この世界の彷徨に、必要とされてはいけない。




「おねえさんのくには、みんなはだし?」

「えっ? …あ、そうそう! こっちに来たらみーんな靴ってゆーの履いてて、ビックリしたよぉ〜」


彷徨を膝からおろして、立ち上がろうとして。階段を踏み外すのは、お約束。

「うひゃ!?」

「だいじょーぶ!? おねえちゃん!」



「えへへ〜〜大丈夫、大丈夫! こんなのは日常茶飯事なのさぁ〜。 …へくしゅっ!」





「はい、これ。 かしてあげる」

「……え? でも、これお母さんの大事な…」


彷徨がずっと握りしめていたストールを、未夢に差し出した。


「ぼく、サボテンマンみたいにつよくなるから! そしたら、あいにきてくれるんでしょ?
 つぎにあったときに、かえしてくれればいいよ!」




「でも…」

「いいから!」

伸ばした腕を引っ込めようとはしない。その姿に、未夢の頬が緩む。




(彷徨だなぁ……)



こんなに小さくても、彷徨らしい頑固な優しさはすでにある。

受け取ったストールをふわっと肩に羽織って、ありがとうと笑った。少年も、照れくさそうに笑う。



「…じゃあ、いくね」

「うん。 …バイバイ、おねえちゃん」



めいっぱい手を振る彷徨を背中に感じて、石段へ向かった。


(さぁ、これからどうしようかなぁ…?)

先のことを考えると、眉が寄る。けど今は、笑って歩こう。彼の瞳に映る間は。





いつもありがとうございます。杏です。
公開ペースが速すぎて、パソ書きがつまってきました(゜△゜;;
コピペして、手直しして、後書き入れるだけなんですが、それが一番時間かかる気がします(^^;

話の流れから、石段に向かった未夢ちゃん。うまく帰れるのでしょうか!?

次回もよろしくお願いしまぁ〜す!


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