作:杏
「うわぁ――――ん……おかあさぁ―――ん…」
「え…?」
境内を抜けようとした未夢の耳に聞こえた幼い声。地面を向いていた顔を上げて、声の主を探す。
(わ、彷徨そっくり……ももかちゃんくらいかなぁ…?)
小さな男の子がひとり、渡り廊下から本堂の方へ歩いている。その手にずるずると引き摺るのは、淡い色のストール。母親のものだろうか。
(…ちょっとだけ、期待したのにな…)
彷徨に瓜二つのその少年は、自分には似ていない。つまり、母親は自分ではない、別の誰か。
少年から、足元に視線を移す。汚れた足を目にしたら、土の冷たさがよみがえった。
「…っく、ひっ…わぁ―――ん…」
「…………」
そんなことはさておき、ひとりで泣くこの子を放ってはおけない。
(で、でもバレちゃったら…)
声をかけようと近付いて、ぐっと唇を噛んだ。止めた足をまた、来た場所に向ける。
「おかあさぁ―――ん…」
母を呼びながら泣き叫ぶ少年に、ルゥを重ねて。思い切って本堂の階段を上る。
未夢は少年の正面からゆっくりと近付き、両の手を差し出した。
「―――おいで…?」
目の前に現れた未夢を、少年は驚いたように見上げた。瞬きのたびに大粒の涙が頬を伝う。
しゃがみこんで二コリと笑う未夢。
少年は大きな瞳を見開いて、またその目を瞬く。駆け出したと同時に、涙が堰を切ったように溢れた。
「うわぁ―――ん……っく、うわぁ―――…」
(…可愛い―――…あったかいな……)
腕の中で泣き続ける少年をぎゅっと抱きしめていた。
懸命に泣く少年の身体は熱いくらい。未夢の冷えた身体が温められる。
こんにちはぁ〜!いつもお世話になっておりますぅ〜!
…コホン、杏です。
ご覧いただけて嬉しいです。拍手、コメントありがとうございますm(_ _)m
めっちゃ嬉しいです。こればっかりは慣れません。何度見てもニヤけちゃいますw
未夢ちゃんが子供を抱きしめる画って、なんか好きです。うん。
タイトルにもちゃんと関連性があります。(今のところ)←ここ大事。
最後まで関連付けられるかは、……頑張ります。