作:杏
(な、なんだろ……?)
木陰に身を潜めさせたのは、言い知れぬ違和感。母屋に近付くにつれて、それを強く感じた。
静寂に包まれた西遠寺。
「……見つからない方がいいかなぁ…?」
幸いにも、居間の襖は全開。人の気配はない。
自分の世界では、庭からでも見える壁にカレンダーがある。同じ場所に掲げられていることを祈りつつ、そっと覗き込んだ。
「じゅーいちがつ……」
暦を知ったらさらに寒く感じて、身を縮めた。
所々に何か予定が書いてあるけど、遠くて読めない。“今”を知る手掛かりはないかと、ついでに室内を見渡す。
テレビ、茶棚、テーブル……自分の世界と何らかわりのないモノばかり。
(…あ………)
居間の隅で見つけたものに、未夢は愕然とした。
子供用の豆イス。ルゥもベルト付きのベビー用を持っているが、それよりも大きい。
(こども、いるんだ…?)
知りたくなかった。まだ見ぬ未来を突き付けられる。
震える手は寒さのせいじゃない。
「戻ろ…」
ポツリ呟いて、力なく走り出す。固い土を蹴って、見つからないうちに元の場所に戻ろうと走る。
風を切る冷たさなんて、感じない。
第3話です。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
未夢ちゃんがショックを受けちゃいましたね。。ごめんよ、未夢ちー。。。
このお話の未夢ちゃんは、自覚アリってことですね(^^*
ってか元の世界で彷徨くんはこの事態に気付いているのか、いないのか!?
いやぁ、気付いていてもどうしようもないですよねぇ。時空の歪みじゃ…。
はぁ。この書き方、難しいですぅ〜(><)すでに挫折したい欲が高まっておりますww
ありがとうございました。次回もお待ちしております(*^-^*)