作:杏
(わたしはただ、縁側を歩いていただけなのに…)
進めた足が何故だか床を捉えられなくて、ふと足元を見たときには黒い穴に落ちていた。
何が起きたかはわかっている。時空の歪みに入ってしまった。
けど、何度入ろうともそれに順応することは出来るはずがない。
「…いつ元の世界に戻れるのかな……」
風が揺らす紅葉を見上げながら、途方に暮れた―――
「…なんてやってる場合じゃなーい! 寒い寒い! ここに居たって時空の歪みがここに出るとは限らないし!
とりあえずここがいつなのか確かめてみよ! 未来の彷徨がいたら、力になってくれるかもしれないし!」
すくっと勢いよく立ち上がって、ひとり拳を空に上げる。
びゅうっ
突如、冷たい風が未夢の髪を舞い上げた。
「ささささささ〜むいぃ〜〜〜! 何月くらいかなぁ…。 彷徨になんか羽織るもの借りれないかなぁ〜」
未夢は背中を丸めて両腕をさすり、裸足でペタペタと歩き出す。
こうなってはもう、汚れるのは構わないけど。ひんやりと冷たい土に、靴下ぐらい履いてればよかったと後悔。
雨上がりじゃないだけマシかと、気を取り直した。
こんにちは、杏です。第2話です。
ご覧いただきましてありがとうございます。
まだ暑い季節に「寒い」と書くのは、なんだか不思議な気分です(笑)
まぁまぁ、あくまで未夢ちゃんの世界は8月の終わりなんですが…。
時間としては、とっても短いお話です。
ただ、この書き方なので、あと何話必要なのか私にも予測不能です。。。
次回もまた、お付き合いいただければ幸いです。