VS

『好き』のイミ

作:久保真理

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「まさか、ルゥが嫉妬すると思わなかったな」



さっきの『誰に嫉妬したか』という話題から離れたい彷徨はそんなことを言った。



これも本心だけど。



「本当。しかもそれが私達の娘に、なんてね。ルゥくんも私達にとって息子だもの。」



未夢はころっと表情を変えた。



「息子とは、うれしいですね。きっとルゥちゃま喜びますよ。」


ワンニャーもうれしそうな顔をしている。



「でも、『だから』じゃないですか?」


いきなり含みのあるにやりとした表情に変わる。




「?何が言いたいんだよ。」


彷徨はイヤな空気を悟ったのか、

微かに眉をひそめている。




「だって、血が繋がっていないとはいえ、彷徨さんの息子ですよ?

嫉妬の仕方がそっくりですし、嫉妬する相手だって・・・ぐむっ?!」


あまりにニヤニヤしてるし、


これ以上言われたくなかった彷徨は



ワンニャーの口を思いっきりつかんだ。



彷徨の顔は耳までかなり真っ赤に染まっていた。


未夢は何がなんだか分からないように



頭の上に?がいっぱい浮かんでいた。



























未宇は不機嫌なルゥを引っ張って自分の部屋へ向かった。


居間を出るときの

3人の痛いようなわくわくしているような視線には耐えられなかった。




「はぁ、ルゥ〜どぉしてそんな不機嫌なの?ヤなことあった??」


半年間(地球だと半日程度)一緒に宇宙を旅してきたけど

こんなに不機嫌そうなルゥを見るのは初めてだった。



「ヤなこと?未宇が俺以外を『好き』っていったこと。」

ルゥは本当にどうしたの?っていいたくなるくらいに機嫌が悪かった。


しかも、なんだか素直?な感じがする。



「だーかーらぁ。ルゥへの『好き』とお兄ちゃんへの『好き』は違うの!!」

「どういう風に?」



「どういう風って言われても・・・・」

即切り替えされて、なんていえばいいのか分からない未宇は

そう言って少し悩んだ。






ゆっくりと口を開く




「ねぇルゥ?ランのこと好き?」



「関係あるの?」



「あるよ。答えて?」



「好き、だけど?」





意味が分からない。そういいたげな表情だ。





「それと同じカンジなんだよ」



未宇コレで分かると思った。





「同性と異性じゃ違うだろ」





そこですかぁ??


友達は友達だし、異性関係ないんじゃ??

未宇は驚いてた。



友達、家族、異性。好きて意味が違う。



どうすれば分かる?





未宇はものすごく悩んだ。



「うーん。じゃあ、ルゥはママのこと好き?」



「好き。」



「ママも『異性』だよ?」



「だって、ママは『ママ』でしょ?」


ルゥは『当然だ』と言わんばかりにそう言った。



「それと同じなの。あたしにとってお兄ちゃんは『お兄ちゃん』なの。」



未宇は言葉を捜すように、



ルゥにヘンな誤解を受けないように


ゆっくりと話し始めた。



「私は、ルゥが好き。異性として、ね。お兄ちゃんは『家族』なの。


こうやって、手を繋ぎたいとか思うのは、ルゥだけ。ルゥにだけ。」




未宇はそっとルゥの手を握る。



未宇の顔は真っ赤だった。



その表情を見てルゥも分かったみたいだった。


「・・・わかった。ごめんね?未宇」


そのまま未宇を引き寄せて、ルゥは未宇を抱きしめた。



「ううん。」



そう言って未宇もルゥの背中に手を回した。



















その時、玄関のドアが勢いよく開いた音がした。



「あ、お兄ちゃんが帰ってきた!」


そういうと未宇は少し恥ずかしそうにルゥから離れた。





「あのね。あたしはルゥが好きよ。

でも、お兄ちゃんも好きなの。意味は違うけどね。

だから、ルゥにもおにいちゃんを好きになってもらえたらうれしいな。」




そう言って微笑むと未宇はルゥの手を引いて部屋を出た。













ものすごいお久な更新になりました。

あースキって難しいw笑い

でも、『好き』って言葉、私かなり好きですね。

色んな形、同じ意味でも違う言葉。

違う言葉でも同じ意味だったり。

家族への『好き』は『大切な人』

友達への『好き』は『ウマが合う人』とか『一緒にいて楽しい人』

異性への『好き』は『守りたい人』『一緒にいて幸せを感じる人』

って感じですかね?

わたしはそんな感じです。

似てるけど、どこかが絶対に違う。

また、更新できるようにがんばります。

               (真理 ’09年9月6日)

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