作:久保真理
光ヶ丘の背中を見送る
遠まわしのエール
”きみが紳士なら・・・”
”レディーにそんなこと言わせちゃいけない”
この言葉が頭をぐるぐると回る。
未夢の言いかけた言葉、なんだったんだろう?
聞きたいな。
いつか、言ってくれる時まで待つから。
だから、その時までずっと一緒にいたい。
俺の中に、傍にいたいって気持ちがドンドンとおおきくなる
そうだ。
せめて、そのくらいは伝えなくちゃ。
未夢は走って、
走って走って
登って
屋根の上にいた。
「はぁ、はぁ。ふー」
荒くなった息を整えようとする。
ふわっと
少しだけ肌寒い風が髪をさらう
足を伸ばした座り方から、体育座りにして
自分の体をぎゅっと抱きしめて、顔をうずめる
「望君に邪魔、されちゃったなぁ」
ははとカラ笑い
「もう勇気なんかでないよぉ。ルゥくん、ワンニャー」
空を見上げて星に手を伸ばす。
その時
「未夢?」
下から彷徨の声が聞こえた。
「え、か、彷徨?」
ギシギシと音を立てて彷徨も屋根に上ってきた。
「こんなところにいたのか」
やさしく笑って、彷徨は未夢の隣に腰を下ろした。
「あの、さ」
彷徨はゆっくりと口を開き
言葉を選びながら、
それでもハッキリと話し始めた。
「頼みがあって、」
「あっちに帰らないで、ずっと、ここに一緒にいてくれないか?」
その言葉に驚いて、未夢は彷徨のほうを見た。
その顔は
今まで見た中でも見たことないくらい真剣で
冗談を言っているようにはまったく見えない。
と、ふいと顔をそらした。
風に揺れる髪の間から少しだけ見える耳は真っ赤だった。
それを見て、一気に未夢も真っ赤になった。
「ほんとに、いいの?あたしなんかがいて・・・」
「・・・・」
「ねぇ、彷徨」
「・・・・」
「彷徨てば!!」
未夢の声に不安が感じられる
ばっと180度彷徨が回って、未夢にまっすぐ向き直った。
「未夢じゃなきゃ、イヤなんだよ!!」
もうやけっぱちってカンジだ。
「あーもう、俺かっこわりぃ・・・」
頭をがしがしとかく
「未夢に、傍にいほしいんだよ・・・」
「っ!」
未夢は真っ赤で言葉が出ず
彷徨に抱きついた。
ぽんぽんと背中をなでる
「大丈夫か?」
彷徨の言葉にコクコクとうなずく
少し落ち着いてきて、
未夢が口を開いた。
「うん。あたしも、彷徨とずっと一緒にここにいたい。」
そしていつか
ルゥとワンニャーと
また、四人で
暮らせていけたらいいな。
END
終わりました!!
なんだか、あっけなさ過ぎる気もしますが
これ以上伸ばすのもヘンかと。
結局”好き”って言葉には出さないでみました。
でも、”ずっと一緒にいてほしい”って”好き”て言葉よりずっと重くて
凄い言葉なんじゃないかなって思います。
なんか、告白じゃなくて、プロポーズみたいな気がします。
あー。
彼氏にそんなこと言われてみたーい!!笑
(5/29)