作:久保真理
「百面相・・・・」
ぷぷぷっと笑い声が聞こえてハッとすると
後ろには
「ななみちゃん・・・」
未夢の顔はあわあわとしていた。
「なーに考えてんの未夢?」
そういいながら腰を下ろした。
「ななな、なんにも〜彷徨のことなんて考えてないよ〜」
あはははと笑うけど、
「西遠寺くんなんて名前出してないよ?」
にやりと笑うななみ
墓穴をほった未夢は言葉に詰まった。
「未夢は、西遠寺くんが好きなんでしょ?」
「っ・・・」
真っ赤がもっと真っ赤になった。
「わかりやすいなぁ」
にやにやはない。
やさしく笑っていた。
「でも、彷徨が私のことなんかきっと、眼中にないもん・・・」
消えそうな声でそうつぶやいた。
「そんなことないよ?」
ななみはしっかりと未夢をみつめ
はっきりとそう言った。
「すごく、キレイになったよ。前もきれいだったけどね。
西遠寺くんの未夢を見つめる瞳はやさしいよ。」
スキだってわかるくらい。
でも、それは教えちゃフェアじゃない。
「・・・本当は、ずっとここにいたい。」
ぽつりとつぶやいた。
「ルゥくんやワンニャーと一緒に住んだこの場所に、
彷徨との思いでもたくさんある。」
それに
と、一度言葉を切った。
「彷徨の傍に、いたい。よ。ずっと・・・
彷徨に寂しい思いをしてほしくない。笑っていてほしい。」
「・・・うん。」
「でも、パパとママは帰りを待ってる。帰らなきゃ、だめなんだ。
ここは、もう・・・あたしの帰る場所じゃない。」
そういう未夢の顔は
すごくすごく寂しそうだった。
「あたしが、たとえ彷徨を好きでも、傍にいたくても。」
「未夢・・・」
寂しそうに笑う未夢
ななみは言葉が出てこなかった。
数分の沈黙
「いっちゃえば?」
ぽつり
と、ななみが言った。
「え?」
「だから、さっきのこと、ぜーんぶ。話してみれば?」
「そんな。それって、スキって言っているようなものじゃん」
ばっと顔をあげた。
「だから、告ってみなよ。大丈夫だよ。今しかチャンスはないじゃん」
「でも・・・」
勢いよく押してくるななみに弱弱しくこたえてる。
”今しかチャンスはない”
その通り
だけど、
だめだったら、もう
ここには戻れないんだよ?
そんなの、
いやだよ。
怖い。
だったら、あたしは
このままのほうが、
いい。よ
気持ちをはっきりと出してみました。
ここから動きます!
動かします!!
明日も更新できるようにがんばります!(5/15)