作:久保真理
お堂の中からは3人の会話が聞こえてくる。
未夢は見えない所で彷徨の合図があるまで待機だ。
きゃっきゃと笑う懐かしい友の声。
目頭が熱くなる
涙がこぼれるのを必死で抑えた。
「あれ?もうそんな時間?」
2人がご飯を持ってきたのを見て、ななみがおどろいた。
「そうだよ。もう6時すぎでるし。」
三太が笑いながら答えた。
「ここ時計ないもんねー」
「気づかなかったよ」
「何の話してたんだ?」
彷徨が質問をした。
「ん?あぁ、ルゥくんたちがいたころの話とかかな」
ななみが説明してくれる
「懐かしいな」
そういいながら彷徨は三太とご飯の準備を始めた。
「悪いけど、ご飯よそっといてくれないか?」
「いいよ〜」
「了解」
ななみとあやが引き受けてくれたので、
彷徨は、三太とおかずを取りに戻った。
お堂に戻ると、ご飯はよそわれてキレイに並べられていた。
チンジャオロースとから揚げ、カボチャの煮物を置く。
「ねぇ。ご飯全部よそっちゃったんだけどさ、一個多かったよ?」
「てか、いつの間にかグラスも一つ増えてるよねぇ」
と、いうか
どさくさにまぎれて
未夢の席もつくったのだ。
「?あぁ、今日はもう一人来てるんだよ。」
さらりと何気もないようにそう言って、
彷徨は席を立ってお堂から出る。
「そうそう。サプライズゲスト!!」
三太が言葉をつなぐ。
彷徨が未夢の手をとった。
「え?」
と、3人の声が重なってハーモニーを作り出す。
「この、西遠寺のもう一人の住人っ」
未夢の手を引いて、お堂に入る。
「光月、未夢ちゃんだぁーーーー!!!」
薄暗くなり始めた空っをバックに
彷徨に手を引かれ
キレイになった未夢が
みんなの目の前に現れた。