作:久保真理
ご飯を炊いてから、まずから揚げの下ごしらえ。
お肉を少し小さめに分けて、から揚げの元を振り掛ける。
未夢はチンジャオロースの野菜を切る。
ちょっと危なっかしいけど、前よりはかなりましだ。
「大丈夫か?」
はらはらと落ち着かない様子で、から揚げよりも未夢のほうばかり見ている。
「へーきへーき・・・」
と、言ったとたん。
ザクッ
「った!!切っちゃった」
えへと笑う。
その指からはツーと血が流れてる。
「バカ!!」
びくっと未夢は身をすくめた。
そのくらい彷徨らしくない大声を出してたんだ。
彷徨の瞳からは動揺が感じられる。
「バカはないじゃん〜。バンソーコー取ってくる〜」
そう言って軽く洗い流して台所から出て行こうとしたら
「俺が行く」
そう言ってさっさとバンソーコーもって帰ってきて、
「手」
「はいっ!」
びっくりしつつちゃんと言うことに従った。
未夢の怪我をした手を手に取り、指にバンソーコーをした。
ドキ
彷徨の体温が伝わってくる。
恥ずかしくなって、うつむいた。
「これ、水にぬれても大丈夫なヤツだから。箱ごと持ってきといた」
そう言ってポッケからバンソーコーの箱を取り出した。
「あ、ありがと。」
「一様女なんだから、これ以上怪我するなよ」
ピンとデコピン。
「はぁい」
やめろとは言わなかった。
心配してはいるけど、信頼もしている。
未夢にも伝わってる。
だから、未夢の顔はうれしそうだった。
言わなくても通じる心っていいですよね〜
うらやましいです。
心配してくれて、でも信頼してくれる。
未夢は幸せ者です。