作:久保真理
一緒に台所に立つ。
一緒に料理するなんて、ワンニャーとルゥがモモンランドに行った時以来だった。
料理って言っても、うどん茹でるだけだけど。
彷徨がおなべに水を入れて、火にかける
未夢はうどんを袋から出して、すぐに茹でられるようにする。
「これ、料理なんていえないかもしれないけどさ、2人で料理するなんて、ルゥくんとワンニャーがモモンランド行った日以来だよね。」
ふっと思い出したように彷徨に言った。
「そうだなー。あのカボチャは見た目が凄かった。」
「悪かったわね!」
すこし恥ずかしそうに未夢は言った。
「でも、おいしかったよ。」
「っ!」
カシャーン!!
いきなりそんなことを言われると思っていなかった未夢はびっくりして、
持っていたザルを落とした。
「どうした?」
うつむく未夢をあえて、覗き込む。
「いきなり、そんなこと言われると思わなかったの!」
そう言ってしゃがんでザルを拾った。
その顔は、まっか
彷徨は気分よさそうにうどんを沸騰したなべに入れた。
未夢はザルをおいて、おつゆを作ろうとして手を止めた。
「薄めと、濃いめ。どっちがいい?」
「じゃ、濃いめに。」
「りょーかいです隊長!」
そう言って、少し濃いめにつゆを作る。
「こっちもできたぞ」
そういって、彷徨はザルに茹でたうどんをいれ、冷やす。
ざるをきってお皿に乗せて、2人でテーブルに持っていた。
「「いただきます」」
2人で、分けていないうどんを一緒につつく。
「おいし〜」
「うまい」
ふたりで仲良く。
食べていると、思い出される。
ルゥとワンニャー。
「2人とも。元気かな」
「元気。だよ。ルゥもきっと大きくなったんだろうな。」
「ね。言葉ももっと話せるようになっていそう」
「もうハイハイしてないかもな〜」
「それはまだじゃない?今三百人増殖してたりして〜」
「・・・ありえるな。ワンニャーもきっと苦労してるんだろうなぁ」
「でも、自称有能ジッターペットだもんね。大丈夫だよ」
「ふっ。そうだな」
思わず彷徨は笑った。
「そうさ!きっと。そう、きっと・・・」
懐かしくて。
話してただけ、
さびしいわけじゃなかったのに
未夢の頬を涙が伝った。
「未夢・・」
心配そうな彷徨の声を聞いて未夢ははっとした。
「元気だよ!そう。大丈夫さ!」
そう言って、最後のうどんを取って食べた。
「あっ最後ー!」
「へっへーん」
未夢の小さな仕返し。
「じゃ、これあらってくれよ」
空になったお皿を持って言う。
「やーだ。彷徨も一緒〜」
「え?俺と一緒に荒いものしたいの?おれ、風呂沸かそうとしたからそういったんだけど?」
「わかったよ!」
そういって、彷徨のもつお皿を奪い取る。
「そのかわりあたし先に入るー!!」
「だーめ。そこはジャンケンだ!」
そう言って、廊下へ出て行ってしまった。
「ぷー!」
そういいながら、未夢は食器を洗い始めた。
数分して、彷徨が戻ってきた。
「あと、10分くらいで風呂沸くから」
そういってイスに座った。
「こっちも終わったよ〜」
ふいーと未夢もイスに座った。