作:久保真理
ふすまをあけて中を見ると、
未夢は背中を向けていた。
「未夢?」
もう一度、やさしく彷徨は声をかけてみるが、返事は無い。
彷徨は未夢の前に回ってうつむく顔を見た。
やっぱり、未夢は泣いている。
それを見たとたん、彷徨は未夢を抱きしめていた。
「悪かった。俺、冗談のつもりで・・・傷つけるつもりは、なくて。」
一つ一つ、思ったことを言葉にしているような彷徨。
彷徨の顔には後悔の念が刻まれていた
ちょっと不器用だけど、未夢にはちゃんと伝わっている。
不器用な優しさ。
他の人はなかなか気づかない一面だろう。
「かなたぁっ」
優しさに、涙をこらえられなくなって、
声上げ、彷徨に抱きついて泣き始めた。
彷徨は、未夢の背中をやさしくぽんぽんとたたいて、落ち着かせる。
10分くらいすると、未夢は泣き止んできて、話し始めた。
「あたし、ここにいたとき不器用すぎて料理が料理にならなかったじゃん?」
「あぁ。」
「だからね。アメリカ行って、パパといる時間が増えたから。パパに料理教えてもらったの。それでね・・・・」
そう言って、うつむく。
言葉にすると、また泣きそうなんだろう
それでも、彷徨はちゃんと分かってくれて、言葉をつなぐ
「だから、手伝うって言ってくれたんだな」
優しく言って頭をなでてくれる。
未夢はこくこくと勢いよく頭を振る。
「ごめんな。でもって、その・・・ありがとう」
照れくさそうに。それでも、未夢の目をちゃんと見て。
はっきりと本音を言う彷徨は、めずらしいだろう。
「ううん。ありがとう。うれしい」
そう言って、彷徨の首元に顔をうずめる。
彷徨は頭をなでる。
と
「え、あ、わわわわゎゎ〜!!!」
そういって未夢は真っ赤になり勢いよく顔を離し、後ろへずさずさと下がる。
彷徨は手に残った感触の余韻に浸るかのように、手を見つめ
すぐに顔を赤くした。
”(俺・あたし)なんてことしてん(だよー・のよー)!!”
彷徨のキャラが変わってしまったような気がするんですけど
まぁ、
気にしないでください(笑)