作:久保真理
慌てて買い物袋を持ち直す。
卵だって入ってる
落としたら割れちまう。
そしたら、勢いよく未夢が話し始めた。
「彷徨遅いよ!!ゴールデンウィーク今日からでしょ!!
あたし着たらいないし、本当に会ってくれないのかと思ったよ」
あぁ、未夢だ。
そう思うと、すごく心の中が暖かくなるのを感じる。
「まぁ、勝手に来たんだけどさ・・・」
最後のほうが声が小さくなってしまったのは
俺がつい未夢を見つめてしまったからだろう。
ついそっぽを向く。
「ゴールデンウィークは明日から、今日は学校だったんだよ」
「え?」
うそ?て感じの声を出す。
俺を見上げているのが分かるけど、
今の俺の顔は見せられない。
きっと赤いから。
「ま、おかえり。未夢」
そう言って通りがけに頭にポンと手を置いた。
そのまま、台所に買ってきた食材をしまって、部屋に着替えに行った。
そうだ。布団干さなくちゃ。
着替えると、布団を一枚。
いつも未夢がつかっていた布団を急いで干す。
居間に行くと、未夢がくつろいでいた。
「明日だと思ったから、びっくりしたよ」
そう声をかけながら、横に腰を下ろした。
「あたしも、いなかったからびっくりしちゃったよ」
えへへと笑う未夢の顔は、前と全然変わらない。
未夢はきれいになった。
大人っぽくなった。て一年も会わないと凄く感じる。
「ねぇ、じゃあなんであんなに買ってきたの?」
きょとんとした顔でたずねてくる。
この顔は反則だろう?
本当は未夢にもサプライズにしたかったけど、しかたないかな。
「あれは、明日のご飯・・・・・明日未夢が来ると思ってたから、
花小町とか三太とか呼ぼうと思ってたんだよ。」
ちょっとバツが悪そうになってしまう。
「ありがとう」
未夢が俺の顔を見てはっきりといった。
その顔は優しくて、ふわふわした感じの笑顔。
直視できない。ふっと顔をそらす
ふと、気がついた。
廊下が凄くきれいだった。
あれは、かなり時間がかかる。
てことは・・・・
こいつ、昼飯食ったのか?
急に心配になってきた。
「今日何食う?つか、昼は?ちゃんと食べたのか?」
すると
「え、」
予想通りの反応。
やっぱり食ってなかったみたい。
そして
ぐー
俺の予想を確信へとする音が鳴った
未夢は恥ずかしそうにうつむいた。
「なんか作ってやるよ」
そう言って、立ち上がる
「え、あ。彷徨?」
慌てて立ち上がって未夢がついてくる。
台所に入るとサンドウィッチとコーヒー牛乳をつくる。
もっていこうと振り向くと、未夢がきょどってる。
手伝うべきか。
座っちゃっていいのかな?
そんなことを考えているんだろう。
だから、何も言わずに未夢がいつも座っていた席にサンドウィッチとコーヒー牛乳を置く。
ここは、お前の場所だよ
そういう意味もこめて。
うれしそうに未夢が座って、一口食べる。
「おいしそう」
すごくすごくおしいそうに食べてくれる。
すごくうれしい。
それを一目見て、おれは台所に戻る
夕飯
なんかあるかな
食材をあさり始めた。