輪廻

第三章 -絶望と希望-

作:朴 ひとみ

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-------君としゃべりたい       ・・・・・逢いたい








-------第三章  絶望と希望------










「でも、行くってどうやって・・・・」
「任せて。」

リンネは両手を広げて、身体を十字架になるようにした。

すると、背中から翼が出てきた。

「あっ・・・・・・!」
「私の翼につかまって。」
彷徨は言う通りにした。

「行くわよ!」

彷徨は目の前が真っ白になった。


なんだこれは、と思った瞬間身体が浮き、数秒後足が地についた。


目の前を見ると、今まで見たことがないような豪華な宮殿がそこにあった。

「こ、ここは・・・・・?」
「ここは天使達の総本山とも言われている宮殿よ。帝様がいらっしゃるわ。」

リンネはそう言いながら、宮殿の門を開けた。



「ここはね・・・・・」

リンネが中へと歩きながら言い始めた。

「天使と悪魔の協調を結ぼうと、帝様の意向でやっている隊の本部でもあるの。どんな情報もあるから、きっと・・・・」
「なるほど、それなら・・・」

彷徨は、未夢が戻ってくるのも時間の問題ではないかと思い始めた。







やがて、一つの部屋の扉前についた。

「ここが、帝様のお部屋よ。」

リンネが扉を開けた。

部屋の中は全てキラキラと光っていた。
まるで、ここが世界の最高級の楽園ではないかと思うほどだった。


「帝様、お久しぶりです。」

リンネがひざまついた。
その様子を見て、彷徨も急いでひざまついた。


「久しぶりね〜!元気だった?」


あまりの元気さに、彷徨は呆然としてしまった。

「はい。このとおりでございます。」

リンネは、何事も無いように話を進めている。

「今日の用事は分かっているわ。そこにいる子、彷徨君でしょ?」

彷徨は驚いた。

「あ、はい。俺は彷徨ですけど、どうして・・・・・?」

「名前が解ったかって?」
帝が彷徨に近づいた。

「私ぐらいの力を持つと、名前ぐらいは簡単に解るのよ。・・・・未夢さんを助けたいのね。」


帝の顔が、真剣そのものとなった。


「はい!」


彷徨は凛とした声で言った。

それを聞いた帝は、フッと微笑んだ。

「分かったわ。なんとかしてみる。・・・・自己紹介がまだだったわね。帝の、未来よ。」

その頼もしそうな表情に、彷徨は頭を下げた。

「お願いします!」

未来は、解決法を探してくると書庫へ行くために部屋を出た。





「帝って、いつもあんなのなのか・・・?」
彷徨がリンネに聞いた。
「時には凛とすることもあるけど・・・・いつもはあんなのよ。」


リンネと彷徨が話していると、未来が来た。



「いい?よく聞いてちょうだい。」

リンネと彷徨は頷いた。








「まず、二つの魂のことだけど、もう入っているから離せない。
そして、声のことだけど・・・・。これは、リンネが未夢さんの中にいるから無理なのよ。戻す手もあるけど、身体の中に声を戻すことによってパンク状態になり二人とも・・・二つの魂ともになくなってしまうわ。」








-----------------無理?




彷徨は このちっぽけな自分を悔いた。


助けられると思ったのに













神様は









どうしてこんなに残酷なのだろう


















彷徨が絶望していると、リンネが口を開いた。

「他に・・・・・どんな荒療治でもいいのです!私と未夢さん・・・・離れられないのですか!?」

「リンネ・・・・・」

彷徨はリンネの必死ぶりに驚いた。




「死ぬかもしれない・・・・。そういうのなら、あることはあるわ。」


未来が呟くような声で言った。


彷徨は必死に言った。


「お願いします!教えてください!!」

リンネも言った。

「私からも、お願いします!」


その力に、未来は負けた。


「・・・・・分かったわ。本当は教えたくないけど、そこまで言うのなら教えましょう。」



未来が静かな声で言い始めた。



「リンネは、この世界に目的を持って天使の力を持ちながら転生してきた。その目的・・・・。いまだに続いている戦争を止めるためでしょ?」

リンネが頷いた。

「目的を持って転生してきた天使は、目的を果たしたら天界に帰れる・・・・。だから、貴女の目的を果たしたら未夢さんの身体は必要ないから、その時は身体から抜けられる・・・。
そうすれば、その身体は未夢さんのものになるし、そうなれば、私が未夢さんの声のもとをあげられるわ。」




「戦争を・・・・・止めさせる。」

リンネが呟いた。

「今、戦争はどのような状態なのですか?」

彷徨が問うた。

「今は冷戦状態だけど・・・・・戦いを仕掛けようとする者が悪魔の中にいるわ。そいつを封印できたら・・・・・・・。」


「戦争を・・・・・止められる・・・・・・!」

彷徨とリンネの声が揃った。



「ええ・・・・。やる?」

未来が言った。


彷徨は顔を上げた。

「もちろんです!やります!」

「・・・リンネは?」

未来はリンネの方に顔を向けた。

リンネは静かに言った。


「戦争を止めるのは、私の目的・・・・。 やります!!」


未来は微笑んだ。


「よろしい。では、ここにある武器と封印道具を彷徨君にあげます。」

兵士達が、武器と封印道具のブレスレットを持ってきて、彷徨に渡した。


「そして、リンネには貴女がまだ持っている天使の力を強めるネックレスをあげます。」

「ありがとうございます。」


彷徨も、リンネも受け取った。

「あ、そうそう!」

未夢が思い出したように言った。

「リンネ、貴女がいくら天使の力を持っていようと、ネックレスの力を使わなければ、力はだいたい人間と同じ・・・・。だから、時々未夢さんの方になることもあるわ。だから・・・・」



未来はリンネに近づき、その頭に両手をかざした。
すると、青い光がパァッ・・・・っと出てきた。


「これで、危険な時にだけリンネが出てこないわ。・・・・彷徨君には、そっちの方が良いでしょう。でも、未夢さんの時は、貴方が守るしかないのよ。そのことに気をつけなさい。」


「ありがとうございます!」
彷徨は言った。


「そして、片方が知ったことは片方も知る・・・・・。今話したことは、未夢さんも知っているわ。」




そこまでいうと、光が消えた。




「今は、未夢さんよ。」



「・・・・・未夢?」


彷徨は未夢に話しかけた。

未夢は何か言いたそうにしている。


「あと、これをあげるわ。」

未来は、薬を取り出した。

「これは、テレパシーが出来る薬よ。未夢さん、飲んで。」

未夢は飲んだ。




---------彷徨、聞こえる?



彷徨の頭に、その言葉が響いた。




「聞こえる!!」

彷徨は未夢に言った。

未夢はニコっと微笑んでいる。


「・・・・うん。では、北の森へ行きなさい。そこにいるワンニャーというのが貴方たちを助けてくれるでしょう。」


「はい!」


彷徨たちは宮殿を出た。










第三章   END




こんなちっぽけな僕だけど

力が無い僕だけど


---------君を 守りたい

















今回は、すっごく長かったです・・・・・orz

これからも、色々と話がぶっ飛んでいきますがよろしくお願いします!!

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