輪廻

第十一章 -手かがり-

作:朴 ひとみ

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ホテル、リンネと彷徨の部屋。


「なぁ・・・リンネ。」
彷徨はリンネに話しかけた。
「・・・なんだ。」
リンネは眠そうな声を出しながらベットに横になった。

「オレさ・・・クリスにあの悪夢のやつを見させられた時さ、なんというか・・・変になったんだ。」

「・・・変?」

リンネが反応した。
「どう変だったんだ?」
彷徨は話し始めた。




自分そっくりな男がいて、女の子と一緒にいたこと。




綾とななみがその女の子といたこと。




最後にその女の子が自分の名前を呼びながら叫んで泣いていたこと。









そこまで聞くと、リンネは起き上がって彷徨を見た。



「・・・そうか。」

「なぁ。」

彷徨が聞いた。


「リンネは転生する前、どんなんだったんだ?」

するとリンネはうつむきながら話し始めた。






「両親は・・・まだ私が小さい時に死んだ。私は叔母の家に住まわせてもらっていた。
でも叔母は・・・その、意地悪でな。私はいつも外にいた。
最初の頃は大切な人など無いに等しかった。」











何度自殺しようかと思ったか。












こんな命に、意味があるのかと。













私はただ、叔母に苛められるためだけに存在するんじゃないかと、つけられた傷を擦りながら夜々自分を抱きしめながら泣いた。






















「今は・・・出来たのか?」



するとリンネは悲しそうに笑った。

「・・・そうか。」
なんとなく意味を理解した彷徨はベットにゴロンと横になった。
「ハァァ・・・オレも寝るか。おやすみ。」
「ああ。次は未夢だからな。」
二人はそう言いあって寝た。



















朝、未夢が起きた。
ボーッとしたまま、洗面台へ行くともうすでに彷徨がいた。
「はよ。」
---おはよう!



二人は朝ごはんを終わらせた。
「さぁ、着替えなくちゃな。今度は未夢がトイレでしろよ?」
---えーっ!!
未夢からブーイングが入った。
---ヤだなぁ・・・
未夢が上目遣いで彷徨を見つめた。
本当に、漫画だったら周りに花等が入りそうな感じだった。
それを見事にくらってしまった彷徨は、ハァ・・・とため息をついた。

(反則だろ・・・)

彷徨は未夢を見ながら口を開いた。
「仕方がねーな・・・特別だぞ!」
---やった!・・・ところで彷徨、着替え終わったら何をするの?

彷徨はうーんとしばらく考えていたが、やがて考えがまとまったらしく口にだした。

「とりあえず、綾とななみに会って・・・それから後はこの町を調べてみるか。何かでるかもしれないし・・・。」

未夢は頷いた。

「・・・ところで未夢。」
彷徨が聞いた。
「服はどうするんだ?」

未夢は一瞬顔が赤くなった。


---彷徨のH!

未夢が後ずさりしながら言った。
「そんな意味じゃねぇよ!・・・服、最初に着ていたのをずっと着るのか?
未夢は意外にもニッコリと笑った。
---夜中、それが気になって違う客室を見たら皆服を置いていったままだったから貰っちゃった!
「・・・じゃあ、着るものにも困らないな。じゃ、オレも取ってくる。」

彷徨は部屋を出て、一つ隣の部屋に入った。


「お、ラッキー・・・ちゃんと男物もある・・・。」
彷徨はその服を着た。
(今、戻ってもまだ着替えてるだろうな・・・)
と思った彷徨はフロントへ暇つぶしに行った。


フロントは、前に見たときと全然変わってなかった。
悪魔など、人がいないのを除けば。

(ここも誰かいないと寂しいんだなぁ・・)

時計の鐘が鳴った。

まるで、誰かの帰りを待っているかのように。





彷徨は何となくフロントのカウンターに近寄る。
カウンターのキャストが入る方に入ってみると、色々なメモがが置いてあった。
それらを探っていると、とあるボタンがあった。

ゲームに付いてあるリセットボタンみたいに、小さくて見つけにくく、中の方へ凹んでいた。

ボタンの近くに長細い棒が置いてある。
彷徨はなんの疑いもなく、棒を使ってボタンを押した。














すると

















大きな壁が振動する音がしてきた。
彷徨は後ろを振り返る。


そこには、大きなドアが出てきていた。



「・・・!!」


彷徨は見た感じ何にも危険がないと分かると、ドアを開けた。





そこには、地下へと繋がる階段があった。




彷徨は皆を呼んでくるか迷ったが、危険なことはやめろと未夢に言われると思い一人で階段を下りた。





















「なんだこれは-------・・・・・・」


彷徨が驚きの声を出した。


地下には、大きい講堂があったのだ。
最近使ったのか、使った跡があちこちにある。

コンクリートで作られたらしく、暗く、重々しい雰囲気をかもし出していた。
舞台のところもちゃんとあり、悪魔の像がそれを睨んでいるかのように周りに立っていた。


彷徨は気味が悪いと思い、ふと横を見た。
そこには、紙が貼ってあった。

「悪魔の・・・掟ぇ?」

紙には堅苦しく、こんなことが書かれてあった。





『--------悪魔の掟--------

第一条:あの方の命令には絶対従うこと。

第二条:裏切り者には死よりも苦しい罰を与えること。

第三条:ノスクグラーン城には高貴なる血の(又はあの方に認められた)悪魔以外入るべからず。


これを破った者には、一生天界と下界でさ迷う出来損ないの霊になるであろう。』


















紙はそこで終わっていた。
彷徨全て読み終わると、後ろで物音が聞こえた。

「・・・・!!!」

今、武器は持っていない。
彷徨は振り返った。
















「・・・・ったく、こんなところにいたの?」
相手がため息をついた。


「・・・・ななみ?それに綾も?」
---私もだよっ!
未夢が後ろから出てきた。
「なんで・・・・」
「なんでか・・・って?」
ななみが詰め寄ってきた。
「今何時だと思う!?もう十二時半よ!!」


彷徨がおきたのが十時半。

フロントへ行ったのが十一時。

ということは、彷徨は殆どの時間をここで過ごしていたのだ。

---ずっと心配してたんだからねっ!!

未夢の怒鳴り声が頭の中でギャーギャー言っている。


「本当に、未夢ちゃんが助けを求めなかったら・・・私達、帰ろうとしていたのよ。」
綾も言った。
「帰る?」
「そう、帰る。」
ななみが繰り返した。
「もう用事も終わったしね。帝様のところへ行ってこのことを報告しなきゃ。」

ななみがやれやれというポーズをした。

「なら」

彷徨が言った。
「もうひとつ報告しなきゃいけないことがあるぜ。」
彷徨が手招きした。
「ホラ、この紙を見てみろ。」
「ん・・・?」
三人はそろって紙を読み始めた。








第十一章   END

なにかが、僕らを呼んでいるような気がした。


実はこの章、とある部分を削りました。
本当は、朝未夢が起きて(ホテルで)自分の力が弱いことをクリスとの戦いで思い知って、ホテルを彷徨がまだ寝ている間に去っていこうとしてる時に彷徨が呼び止めて、ちょっとした告白シーン(甘々シーン?)を書こうと思っていたのですが・・・

書くのが面倒くさくてやめました(笑)

いやいやいや、本当は未夢のウジウジしているところを書きたくなかったのかも・・・。
または甘々シーンを書きたくなかったのかも(笑)
私的には彷徨×リンネなので(笑)
「ちょっとまて未夢、それ(彷徨)はリンネのだぁっっっ!!!!」(私の心)
みたいな!



新しい連載モノで、リンネをだしました。
ツンデレです。ツンデレですともぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!
「おっ、お前のためにやったんじゃないからな!馬鹿者!」
みたいな感じです(違)

ってか、輪廻長すぎだよ・・・。
今考えている一部のプロットをどこかバサッと削ろうかなぁ・・・。

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