輪廻

第十話 -終戦-

作:朴 ひとみ

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---世界が真っ白に見えた。


覚悟をした。
しかし、十秒たってもまだ斬られない。
彷徨は目を開けた。


そこには----






















「リ・・・ンネ?」





















目の前にリンネがいた。

鎌を持って、クリスの剣を受け止めていた。



















「なんで・・・・・・・・・」







彷徨が驚いていると、リンネの罵声がとんできた。










「馬鹿者!!突っ立っているな!!」





クリスの力が強いのか、手は微かに震え、大粒の汗をかいている。




「生きることをあきらめる奴なんか・・・・大嫌いだ・・・!!」








「リンネ・・・・」

彷徨はそれを聞くとフッと笑い、言った。

「まだあきらめてなんかいねーよ!!」
彷徨はクリスの方へ回った。





「・・・そうはさせない!!」
クリスはもう一度彷徨にむかって「金縛不自」と叫んだ。

「綾!!ななみ!!」
リンネも叫んだ。
「な・・・何?」
「クリスには手を出すな!!」



「・・・は?」
綾とななみはポカンとした。

「これは・・・私の獲物だ!」



聞くと、綾とななみはフッと笑った。
「いいわよ、リンネ」
綾が言い、ななみが次に言った。
「負けたら承知しないからね!!」

それを聞いたとき、リンネのオーラが変わった。




「負ける・・・?この私が・・・?」
リンネがキッとクリスを睨んだ。
「絶対勝つに決まっているだろう!!」






「・・・それでこそ、リンネね。」
綾が傍にいる、ななみにしか聞こえない小さい声で呟いた。
「うん。・・・それにしても、リンネがあの術を使えるなんて・・・」

あの術。・・・つまり、さっきリンネが生き返ったときに使われたと思われる術。

できる者はたった数人しかいないと言われている、難易度一級。
・・・いや、それ以上。
この術を使う為には、すごい天使の力、そして才能がいる。

---それを、まさかリンネが使えるだなんて。










そんなことを思っていると、リンネが「水輪縛抑」と言った。
するとクリスは水のリングで縛られた。
クリスが剣を落としたのを見て、急いで拾った。

「金縛不自、解除」と言うと、彷徨の術が解けた。


「彷徨!剣だ!」
「あ、あぁ・・・って剣を投げるなよ!!」
彷徨はツッコミを入れながらも剣を受け取った。

ってか、早く全部解けよな。

彷徨がブツブツ呟いていると、リンネが激しく言った。
「解除できる術は限られているんだ!!しかも凄い集中しなきゃいけないのだから、そんなワガママ言うなっ!!」







「ちょっと・・・」
クリスが口を挟んだ。

「「何!!?」」


彷徨とリンネが一斉に口を揃えて言った。
すごい剣幕にクリスはビックリしながらも、言った。

「このままでいいの?」
「?・・・・あ」

クリスはとっくに水のリングを解いていた。

「反撃開始よ!幻想夢幻!!」

変な緑色の光線がリンネを自分の体を盾にして守った。
光線が彷徨に当たった。












「彷徨!!」













リンネが叫んだが、彷徨は睡眠薬を飲んでしまったみたいに、すぐ寝てしまった。



















































----------ここは・・・どこだ?




































彷徨は白い部屋の中にいた。
ドアは、ない。


















-----どうしてオレは・・・・?




彷徨が動こうとすると、頭痛がおきた。
すると、その痛さの波と同じリズムで頭の中にボヤけた残像が流れてきた。

















----オレそっくりな奴が、女と仲良くしている・・・





残像には、その少女と彷徨そっくりの少年が話し合ってた。
彷徨がぼんやりしていると、残像の中に綾とななみが出てきた。
どうやら少女の友達らしい。
からかいあっている。













そして次は。



























少女が泣いていた。









「私のせいで・・・・・・・・私のせいで・・・・・・・!!」





















少女が叫んだ。




























「彷徨ァァァァァァァッァァァァァァァッァ!!!!!!!」













































それを聞いたとき、彷徨の頭痛が増した。
















-------うわぁぁぁっぁぁ!!!













目の前が暗くなった。

















































































気がつくと、リンネが彷徨を覗き込んでいた。

「彷徨!彷徨!」
「・・・・・・・リンネ?」

彷徨が気がついたと分かると、リンネはおもいっきり彷徨を殴った。
「とっとと目覚めろ!!馬鹿者がっ!!」
「痛えっ!!」
リンネがキッと彷徨を睨んだ。
目元が赤くなっている。

「リンネ・・・お前・・・・」
「ほら、クリスを倒すぞ!!」
彷徨はフッと笑い、立ち上がった。



















「へぇ・・・あなた、平気なの。」

「・・・なんのことだ?」
クリスがニヤッと笑った。
「私が今かけた術はね・・・あなたが思い出したくない事を無理やり思い出させるものなのよ・・・」
「・・・・?思い出したくないこと・・・?」
彷徨はさっきの事を思い出したが、なにも辛いことは頭痛以外なかった。

「まぁ、いいわ・・・。どうせまた新しい術をかければいいのだから・・・」



クリスが「葉刀来風」と叫んだ。
それを聞いた瞬間、リンネの顔が青くなった。



「やばい!伏せろ!」
「え?」
彷徨は意味が分からず立っていたら、強い向かい風が吹いてきた。



「駄目だぁぁぁぁぁ!!」



リンネが叫びながらこっちに向かって走ってきた。




「リンネ、危ない!!!」




後ろから綾とななみの声が聞こえた。

気がつくと、リンネが自分を守るように立っていた。

何なんだ、と言おうとすると葉が風に乗って飛んできた。











「うわぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁ!!!」



リンネが叫んだ。




















彷徨の頬が赤くなった。
それだけではなく、頭も、服も。



----それは、血だった。

自分のではない、前からとんできた血。



目の前が真紅に染まった。

飛んでくる葉は赤い。























リンネが傷だらけで立っていた。
























風はいつの間にか止まっていた。











「リンネ!?」
「馬鹿・・・者。」
リンネがか細い声で言った。

「自分の身ぐらい・・・自分で守れ・・・」

綾とななみも駆け寄ってきた。
「リンネ!!」

ななみが彷徨を見た。
「彷徨・・・ここは私達が回復術をかけておくから、あなたはクリスを・・・」
「リンネは・・・助かるか?」

藁にもすがる思いだった。
嘘でもいいから頷いてほしかった。

「・・・分からないわ。でも、最善を尽くす。だから・・・行って。」
彷徨は頷いて、クリスへ近寄った。








「・・・大丈夫かしらね?」
クリスが呟いた。
「さっきの術は、葉を刀みたいにして飛ばす術。・・・大出血よ。」
クリスがリンネ達の方を向いてクスッと笑った。
「正直、あなたはリンネよりも弱い・・・リンネも、あなたを助けるより自分を守ったほうが、まだ良かったのに・・・」

言い終わった時、彷徨は堪忍袋の緒が切れた状態になり、気がつけば剣でクリスを刺そうとしていた。

クリスは避けながらも、まだ喋っていく。
「これでリンネが死んだら誰のせいかしらね!?
これは・・・貴方が弱いから起こったことよ!」
















------------オレノセイ?




















彷徨は剣を落とした。












「気持ちなんて・・・こんなものよ。」
クリスは冷たく言い、剣を拾った。









「さようなら」









クリスが剣を振りかざした。




























































その瞬間、弓矢が飛んできてクリスの腕に刺さった。





「キャッッ!!」




クリスは思わず剣を落とした。
後ろを見ると、綾が立っていた。

「あ・・・や・・・?」
そう呟くと、綾が怒鳴った。
「バカ!なんで動かないのよ!!」
綾は彷徨の元へ駆け寄った。


「これは・・・彷徨のせいじゃない。
全て・・・クリスのせいよ!!」


クリスが「火導伝龍」と言った。
すると、火の龍が出てきて綾に噛み付こうとした。

「水中玉露!」

そう言いながら、矢を飛ばした。
すると、矢の先から水の玉がたくさん出てき、消化した。





「行きなさい!!」




綾が叫んだ。
「クリスが出す術はこっちで止めておくわ!!」
彷徨はコクンと頷き、前へ走っていった。

「無駄よ!私を倒せる訳がないわ!」
クリスが高笑いした。
「そうとは限らないだろ・・・!」

彷徨が剣を振ろうとしたとき、ピカッと剣が光った。


「・・・・!?」
「これは・・・・?」










剣から声がした。


















-------大丈夫、あいつを倒せるわ。





















剣の先から、うすぼけた光が出てきた。
最初はなんの形も無かったが、どんどん形成されていく。
その形は------------



























「み・・・ゆ?」






















彷徨は思わず口にした。
未夢はフッと微笑んだ。
そして、キッと前を向く。


------さぁ、行こう。私がついてる。


「あ・・・ああ。行くぜ!」







彷徨はクリスへ剣を振りかざした。
すると、いきなりクリスは叫んだ。



「キャアアアッッッ!!何よそに光・・・!!」



苦しみながら、へたりこんだ。

「な、何なんだ?」
その疑問に、駆け寄ってきた綾が答えた。
「この光はね・・・天使の力の源となる光なの。」
綾は光を触っていく。
「もちろん、これは悪魔にとっては毒だわ。」



彷徨は迷った。
この剣でトドメをさすべきなのか、それとも----









「封印、するか?」
後ろを振り返った。
そこには、ななみに支えられながらも歩いてくるリンネの姿が。

「リンネ!?大丈夫なの!?」

見ると、リンネは胸の上の部分から腰らへんまで包帯を巻いていた。
「大丈夫だ・・・いや、今そんなことは関係ない。
彷徨・・・封印するか?」
リンネはもう一度聞いた。
「オレは・・・-------------」



















どうしたいのだろう。
自分でも分からなかった。





















「封印すれば・・・封印具の中で死ぬことなく過ごすか、帝様の裁判を受けて・・・天使に生まれ変われるかもしれん。」

















彷徨はそれを聞いて頷いた。
「・・・分かった。封印する。」

それを聞いたクリスは暴れた。
「いや!私はもっとあの方の元に・・・!!」

「・・・よし、彷徨。封印具のブレスレットを出せ。」
彷徨は手首に着けていたブレスレットを出した。


リンネはクリスに近寄ると、呪文を唱えた。
すると、クリスの身体は煙みたいになり、ブレスレットの中に入っていった。
「これで良し。・・・さぁ未夢、還れ。」

剣にいた未夢はコクンと頷き、リンネの心臓部分からスウッと入っていった。




「さぁ・・・皆、疲れただろう。ホテルに戻るぞ。」
そう言うと、リンネは返事を聞かずにホテルの中へと入っていった。















第十章  END




静けさが、戻ってきた。
世界は僕らを受け入れた。


こんにちわ、朴です。
upさせるの遅くなってすいません・・・!!
ブログと、親戚のいがみ合いに囚われていました(汗)
ブログはいいんですが、(むしろ囚われたい)親戚が・・・
遺産なんかどーでもいいじゃん!!

・・・愚痴ってしまい、すみません。
あ、なぜ未夢が剣に宿ったかなどは、おいおい説明すると思うので・・・

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