作:朴 ひとみ
道は違っても、目的は同じだから。
「ノスクグラーン城・・・」
最後まで読んだのか、綾が呟いた。
「知っているのか?」
「ええ。」
綾が顔をしかめながら言った。
「天界でも、闇で生きるべき人間が住む場所・・・ブラックホールドというのがあるんだけど、その最も端にあるといわれている場所よ。」
「言われている・・・?」
彷徨は不思議に思った。
どんな情報でもある、と言われているあの未来の宮殿なら、そんなこと分かるはずなのに。
「ええ、『言われている』。・・・誰も見たことがないのよ、その城を。」
じゃあ、なんで・・・と言おうとしたとき、ななみが声を出した。
「大昔にそんな伝説があるだけ・・・だから、皆本当にあるとは思ってなかった・・・
もう、驚いたわ。」
彷徨は決心した。
「俺・・・行くよ。ノスクグラーン城へ。」
「・・・・え!?」
---彷徨!?
ななみと綾の声がハモッた。
ななみが食らい付いてくる。
「正気!?この掟にも書いてあることから、きっと黒幕がいるのよ!!それを・・・」
「ああ、分かってる!!!」
彷徨が声を張り上げた。
その時、皆が感じ取った。
彷徨の決意を。
そして、戦争を引き起こした帳本人がいるかもしれない・・・その可能性を提示した目を。
未夢が頷く。
それはまるで、彷徨の意思に賛同し、私もついていく・・・と訴えかけているようだった。
「・・・もう」
ななみがため息をついた。
「いいわ。もうなに言ったって聞かないだろうしね。」
微笑みながら言った。
「あの城までの道のりはリンネが知っているわ。リンネが出てくるまではとにかく東へ進みなさい。」
綾が、二人の肩を叩きながら言った。
あれから一時間。
ななみと綾は荷造りをして出入り口の前にいた。
未夢と彷徨も見送るためについてくる。
---今がリンネちゃんだったら良かったのに・・・
それを察したのか、綾が答えた。
「良いのよ。それに・・・もう未夢ちゃんも友達でしょう?」
ななみもそれに頷く。
---あ・・・ありがとう!
未夢が二人の手を握る。
「・・・また会いましょうね。」
未夢とのやりとりが終わると、二人は彷徨を見た。
「・・・リンネのこと、そして天界のこと・・・よろしくね。あの方がもし、戦争の首謀者だったら・・・」
その先は言わなかったが、彷徨はその気持ちを汲み取って、頷いた。
「リンネも・・・あの子、意外とほっとけないから。」
ななみが笑いながら言う。
彷徨も、ハハッと笑った。
「じゃあ、そろそろ行くわ。」
綾とななみが翼を出す。
自分の身長の二倍ぐらいあるような・・・大きな翼だった。
「・・・さようなら。」
綾とななみは荷物を持って、空に浮いた。
「また、会いましょう。」
二人は飛びだっていった。
未夢は、二人が見えなくなるまでずっと手を振っていた。
「・・・さて、俺らも行くか。」
彷徨が未夢へ言った。
---いっちゃったね・・・
未夢が哀しそうに呟く。
彷徨はそれを聞いて、躊躇いながらも未夢の手を握った。
---!!?///
未夢は彷徨を見た。
顔を赤らめながら、そっぽを向いている。
未夢はそれにクスッと笑いながらも、それを受け入れて、二人が行った遠い空を見つめた。
第十二章 END
光がさしてきた。
ずっと、僕らのほうへ。
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
短っ!!!!(遅)
なんか、すごい間があいてた割りに短くてすいません・・・
きっと、次は・・・!と夢見て(夢かよ)
間が多いのは長く見せようとかそんなんじゃないですよ、ええ。