さようならを言う前に

-心殺し編- 「もしも」

作:朴 ひとみ

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月の光によって集まられた蛾たち。

その光に、蝶はやってくるのだろうか?




その次の日。

なんにもなかったので、リンネにメールした。

『昨日、ムーンと会った。』

送って何秒もしないうちに、リンネから電話がきた。
「どうだった!?」
「あれは・・・未夢だ。」
俺は、昨日のことを話した。

「・・・待て。お前と未夢って別れたのか?」
「え、そうだけど。」

すると、少し間を空けて携帯の向こう側から大きな声がとんでくる。
俺は、反射的に携帯を遠ざける。
「馬鹿者!!そんな重要なことはすぐに教えろっっ!!!!」
「べ、別に言わなくてもいいじゃねーか!」
「うるさいうるさいうるさい!!・・・ならお前、行きにくかっただろう。」

最後の声は、静かだった。

「いや?別に。」
俺がそう言うと、リンネの忍耐袋の緒が切れたらしい。
「お前って最悪だな!未夢の気持ちも考えてやれっ!!!!」


そういい終わると電話が切れた。
「・・・なんだったんだよ・・・」
なんとなく気分が悪い。
俺は町をプラプラ歩くことにした。











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「ムーンちゃん、今日も最高だったよ。はい、お代。」
客が私にお金を渡してきた。
「ありがとう♪またよろしくね!」
私はホテルの入り口まで、客を見送った。
客が見えなくなったのを確認して、私はため息をつく。

「はぁ・・・。ったく、あのスケベオヤジ・・・」
今日の客は最悪だった。
『君との思い出を残したいから』と言って、いろんなポーズをとらされて・・・

あいつ、絶対どこかに内緒で売る気だ。
「まぁ、お金が手に入ればいいんだけどね。」
未夢はそのお金を鞄の中へ乱暴にいれ、また次の客との約束の時間まで余裕があることを確認すると、プラプラと外を歩くことにした。










「はぁ・・・」
未夢が腰をさする。
さっきの奴は上手くなかったが、それでもそれなりに腰は痛くなる。
(あーあ・・・あ、口紅が少なくなってたんだっけ。買わなきゃ。)

そう思い、角を曲がると誰かにぶつかった。
「キャッッ!!」

ついついしりもちをついてしまった。
「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」















・・・聞きなれた声。
まさかと思って顔を上げる。









「か・・・なた・・・?」







「未夢!!!」















ヤバい。

















私はすぐに逃げようとした。
しかし、呆気なくすぐ捕まった。

「未夢・・・」




私は彷徨をキッと睨んだ。
それが、せめてもの反抗だった。
「未夢、お前なんで・・・」
私はハッと笑う。

「なんで?彷徨のせいでしょう!!?もしも彷徨があのとき、私をフラなかったら・・・!」







幸せに生きていけたのに。




















彷徨は黙ってしまった。
私はフンと鼻をならす。

---そうだ、鞄には・・・






「彷徨。」
「え?」











お札が、綺麗に彷徨の周りで舞う。
彷徨の周りに舞う、福沢諭吉・・・なんだか、傑作だった。



「それあげる。だからもう・・」















私の目の前から消えて?



こんにちわ。「あんたにラブラブ話は絶対書けない」と言われた朴ひとみです。
どうしてもドロドロになる・・・!

今回は字数、少ないんですよね。
30分で書けましたし(笑)
「輪廻」とか、急いでも1週間かかりますし・・・!
でも、最近出すのが遅いのはタイピングが遅いせい;
間違っているところ(漢字など)あったらすぐに教えてくださーい!!


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