作:ゆな
「こんにちはー。光月です。宝晶さんいらっしゃいますか?」
I lost my Heart 〜3〜
2週間経った日曜日。未夢が西遠寺にいく日がやって来た。
未夢たちは、バス停の前にいた。
同じ学校でも、未夢と彷徨の家の間は遠いのだった。
「じゃあ、未夢。西遠寺さんに迷惑をかけないようにね」
「分かった。お母さんもお父さんも頑張って」
軽く言葉を返して別れた。
バスに乗る事15分。彷徨の家の近くのバス停に着いた。
(えっと、ここを真っ直ぐでいいのよね。確か、お寺だっけかな)
暫らくすると見えてきた、西遠寺の石碑。
「ふぅ。ここが西遠寺さんの家ね・・・。お寺だから広いわ、やっぱり」
慣れない長い石段を上り、本堂のほうへ向かった。木魚が聞こえたからだ。
ポクポクポク・・・
「こんにちはー。光月です。宝晶さんいらっしゃいますか?」
「おー、未夢さんか。よく来たのう。わしがここの住職の宝晶じゃ」
「お世話になります」
「ここで立ち話をするより中でゆっくりな」
家の中に入って、未夢は1番疑問に思っていたことを訊いた。
「あの、私、彷徨くんとあまり仲良くなくて・・・大丈夫なんですか?」
「あぁ、大丈夫。彷徨は一応説得しておいた。でも、暫らくは冷たいかもしれんのう・・・」
・・・やっぱり。タダでさえ女嫌いで有名だ。わたしだったら尚更。
「ただいま」
彷徨だ。どこかへ出かけていたようだ。
「彷徨。今日は未夢さんが来る日だといったじゃろ」
「あー、そうだっけか。で、光月は?」
「もうとっくに来とる。挨拶しなさい」
どうやらひそひそ声で話しているようだが、未夢には聞こえていた。
なんなのよ。相変わらずムカツク態度。
「おい、光月。・・・・・・光月!」
「え、あ、西遠寺くん。どうしたの?私になにか用?」
「いや、挨拶だけだ。という事でヨロシクな」
「こちらこそ、どーぞヨロシク!!」
さっきの会話のせいでイライラしている未夢。そんな態度に彷徨はむっとしていた。
(なんだよ光月のヤツ。せっかく挨拶してんだから、挨拶くらいしたらどうなんだ?)
またもやケンカ調子のままで終わってしまった挨拶。
こんな2人で大丈夫なのだろうか。
しかし、また事件は起こるのだった。
「っ、オヤジ!どーいうことだ?オレと光月を残してインドだと?」
「バーケラッタ大僧正が危篤らしくてのう。わし以外誰も・・・」
「でも、宝晶さん。2人でなんて、どうにも出来ませんよ・・・」
1時間ほど前にかかってきた電話。それは宝晶の友達、玄さんからだった。
話によると、宝晶の修行先を決める大僧正さんが危篤らしいのだ。
しかも誰も行く事が出来ず、宝晶はOKしてしまった。
そうして今に至る。
「未夢さん、彷徨。これは一大事。大僧正さんをほおってはおけないんじゃ」
「・・・分かった。どーしてもというなら、勝手にしてくれ」
「ちょっと、西遠寺くん!」
「オヤジは一回言ったら聞かないんだ・・・」
「・・・。それじゃあ」
こうして、宝晶はインドに行ってしまった。未夢と彷徨を残して。
「私、どーなっちゃうの?????」
3話UPデス。
未夢が「お父さん」、「お母さん」と読んでいるのは間違えではありません。
ここが、優等生ポイント。
バーケラッタ大僧正が危篤といっていたけれど本当は・・・?
それは、最終話かなぁ。
変な文章でごめんなさい!
それでは!