I lost my heart

〜11〜

作:西光ゆな

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「皆さん!今日は特別なお知らせがあります」

I lost my Heart 〜11〜


3年1組担任の水野先生の声がした。
特別なお知らせ。それは、転入生がいるということ。
でも、転入生が来るという情報しか知らなかった。
1組一同は興味津々だった。
しかし、学級委員の2人は興味なさそうにしていた。

「西遠寺くん、転入生だって」
「へぇ…、そう」

「それでは、光ヶ丘くん入って」

光ヶ丘くんと呼ばれたその男のコは、彷徨に負けず劣らずの美少年だった。
未夢より薄い黄色の髪、碧い瞳。まるで外人のような外見。
クールではあるが、最近性格の丸くなってきた未夢は彼に少し惹かれた。
顔が少し赤くなった未夢を彷徨は見逃さなかった。

「はじめまして、3年1組のレディたち、そして男子の皆さん。ボクの名前は光ヶ丘望です」

望が最初に目に留まったのは、いかにもクールそうでダークブラウンの髪と瞳の西遠寺彷徨。でも、彷徨の目線は斜め前にいる未夢。そして望はフッと笑うと、未夢の隣の席に着いた。転入生の席は不運な(?)ことに未夢の隣だった。
そのことが、余計に彷徨をイラっとさせた。

「じゃあ、校内案内を学級委員の西遠寺くんにやってもらいましょう」

という水野の声もまったく聞こえなかった。
未夢に「ほら、西遠寺くん。校内案内だって」と言われるまでは。

「そして、明後日ははいよいよ美少年コンテストがあります。このクラスはチャンピョンの西遠寺くんがシードで出場しますが、もう1人は誰にしますか?」

そして真っ先にしかも、未夢の口から出た。

「光ヶ丘くんはどうでしょ〜か?まだ彼は転入したばっかりだけどぉ、美少年コンテストでは優勝候補に入ることができると思いま〜す」

最初はムカッとした彷徨だが、未夢の異変に気づいた。
顔が真っ赤になっていて、台詞はフニャフニャ。
いつもはクールさと説得力が凄くあるはずなのに。

(光ヶ丘のヤツ、なにか未夢に仕掛けたな…)


帰宅後、未夢にさりげなく聞いてみた。

「光月、光ヶ丘に何かされたか?」
「な〜んにも?ぜぇんぜぇ〜んされてないよぉ?」
「やっぱり変だぞ?」
「変じゃぁ、ないですよ?」

その後もあれこれ聞いてみたが頑として答える様子がないので諦めて、駄目もとで張本人に聞いてやると思った。


翌日、光ヶ丘くんは女子にバラを振りまいていた。

「きゃぁ!光ヶ丘くん、私にもちょーだい!」
「わたしにも!」

女子が騒いでいる。
そのなかでも未夢の行動は目立った。

「光ヶ丘!校内案内するから、今すぐ。オレ放課後は時間ないんだ」
「そぅ・・・じゃあ、レディたち!バラはまた明日ね!」


彷徨は、放課後時間があるはず。でも、未夢の異変とココロのイライラを早く消したかった彷徨は適当な理由をつけて連れ出したのだ。


「オマエ…、光月に何かしなかったか?」
「なんでだい?」
「光月はあんなにヘロヘロな感じがしない。そして、おかしくなったのは光ヶ丘が転入してすぐだ。誰だって分かる」
「それで、ボクがやったというわけ…」


彼は肯定しようとしない。嫉妬心が100%になったとき、ついに彷徨は切れた。

「未夢を元に戻せよ……、光ヶ丘!!!!」


これが光ヶ丘の目的であったこと、そしてコンテスト当日に事件が起こることをみんなは知らない・・・。


光ヶ丘くん、登場!
でも、思ったより悪役になりそう・・・。
光ヶ丘くんFanの方、ごめんなさい!
次回はもっと見ないほうがいいかも。
でも、最終的にはいいキャラにします。

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