作:妖緋
目の前に彷徨がいる
心臓が破裂しそうで 怖い
今さら自分の言葉を否定するなんて
そんなことが
あって良いわけがないのに―――
何で来たの、って思ったのと同時に
来てくれて嬉しい、って思った自分がいた。
でも、今はやっぱり・・・彷徨と顔をあわせたくない
大きな声で彷徨にひどいことを言ってしまった自分は、彷徨にあわせる顔がない・・・
「未夢」
逃げたくなる。
でも、ななみちゃんと綾ちゃんが私の手をぎゅっと握ってくれていて・・・
2人の優しさが、痛いほど伝わってきて、それを無駄になんかできなくて・・・
私は思い切って顔を上げた。
「・・・・・・かなた」
「未夢、さっき未夢が言ったこと・・・どんな気持ちで言ったかは分からない・・・
けど、俺は、そのことで来たんじゃないんだ」
「・・・彷徨?」
彷徨は目を閉じて深呼吸をしたかと思うと、すぐに目を開けて、真っ直ぐに私のことを見てきた。
なんだろう・・・・・・怖い・・・・・・けど、
悪いことではない気がする
「未夢、昨日・・・俺は、未夢にひどいことを言った。
後輩に未夢が好きなのかって聞かれて、未夢のことなんか好きじゃない、って・・・・・・」
「彷徨・・・」
「ごめん、それ・・・嘘だった・・・好きじゃないなんて、嘘だった・・・
おれ、俺はっ・・・」
ななみちゃんと綾ちゃんが、そのときもう私のそばにいなかったなんて
私がそれに気づいたのはもっと後になってからだった。
私はただ、彷徨の口からつむぎだされる言葉を、一言も漏らすまいとして聞いていた。
「俺は、未夢のことが、好きなんだっ・・・・・・・・・」
彷徨の言葉が、信じられなくて。
信じられないけど、嬉しくて。
体中の力が抜けて、座り込みそうになったのを、彷徨がとっさに支えてくれた。
「・・・っと、あぶね〜・・・大丈夫か?」
「彷徨・・・」
彷徨は私に微笑んでくれる。
私も笑いながら、はっと自分の言った言葉を思い出す。
誰にでも分かる。
次は、私の番だ。
私は、彷徨の支えを解いて、まっすぐと彷徨の目を見た。
書いてたら未夢視線になりました。
彷徨の告白シーンです(・ω・`)
次回は彷徨視線で、未夢の・・・(*ノノ)