作:妖緋
「未夢っ!」
「未夢ちゃん、待って!!」
ななみと綾の声で、未夢は走る足を止めた。
丁度、廊下のつきあたり。
「ななみちゃん・・・綾ちゃん・・・・・・・・・」
未夢は下を向いたまま、ふるふると身体を震わせていた。
そんな未夢を、ななみがぎゅうっと抱きしめる。
「未夢・・・・・・・・・」
「ねぇ、未夢ちゃん・・・あれって本心じゃなかったんでしょう?」
綾の問いかけに、未夢は小さく頷いた。
ななみが腕をはなすと、小さな声で、ゆっくりと話し出した。
「あのね・・・この前、彷徨がああ言ってたのが、思ったより・・・ショックで・・・
それで、ちょっと・・・イライラして・・・・・・思わず、言っちゃったの・・・・・・」
「「未夢(ちゃん)・・・」」
がばりっ、と顔を上げて、未夢は二人に問いかけた。
「ねぇ、わたし、どうしたらいいだろう?チラッとね・・・見えたんだ、彷徨・・・・・・
この場所と同じだよ・・・私のココロは、道に迷って、行き止まり・・・・・・」
彷徨にさきほどの言葉を聞かれていたと思うと、恐怖で心臓が破裂しそうだった。
ななみと綾は、ただただ立っているしかできなかった。
未夢の話を聞いてなんと言っていいかなんて、わからなかったのだ。
未夢が走り去った廊下。
涙の止まった彷徨は、クリスたちに詰め寄られていた。
じりじりと下がった先は、廊下の突き当たりだった。
「は、花小町っ・・・なんだよ・・・・・・」
「彷徨くんは、彷徨くんは・・・・・・本当に未夢ちゃんが好きじゃないわけではないでしょう?」
未夢のことを想うクリスの迫力に、彷徨はたじろいだ。
そして、小さくこくりと頷いた。
「・・・・・・なんで、花小町たちが、そういうことを聞くんだ?」
彷徨が口にした一言に、クリスはほんの少し、彷徨から顔を背けた。
周りの女の子たちも一瞬彷徨から目をそらす。
しかしすぐにみんな彷徨の方を向いた。
「わたくしたちには、やっぱり未夢ちゃんが1番なんですの・・・・・・」
「未夢ちゃんの笑顔が見たいの」
「未夢ちゃんが笑ってないと西遠寺君も笑わないもん」
「西遠寺君は好きだけど、未夢ちゃんを泣かせる西遠寺君は嫌い」
口々に言うのを見てから、彷徨は、ゆっくり、苦しそうに口をひらいた。
「確かに、俺は、未夢が好きだ・・・
でも、未夢がああ言った限りじゃ、俺の気持ちは行き止まりだよ。
・・・・・・道に迷い込んで、出口を探したけど
結局そんなものはまったくなくて・・・・・・行き止まりしかないんだ
・・・・・・そうだな、丁度、此処みたいに」
「なに言ってますの、彷徨くん!」
強い口調でそう言ったクリスの顔には、怒りが含まれていた。
「わたくし、未夢ちゃんのためなら彷徨くんにも怒れますのよ・・・・・・」
「な、なんだよ・・・俺のことを嫌いって言ったのは未夢なんだぜ」
「未夢ちゃんを好きじゃないと言ったのは彷徨くんが先ですわ」
一瞬後、彷徨の目は大きく見開かれた。
久しぶりに更新しました・・・・!
えと、一気に2シーンを詰め込んでいて時間がかかりました。
(↑いいわけですごめんなさい)
ベタ脱出できないままあっさり終わりそうな展開・・・・
しかし先を勝手に予測するのはやめてくださいね〜(汗っ;;)
感想頂けると嬉しいです・・・(・_・*)