-Never give up for MICHIRU-

希望という名の未来 (最終話)

作:little star

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私は、丁重に医師、看護師に挨拶をすると、日向とともに、病院を出た。
一葵や周哉とも逢いたかったが、二人とも朝から検査で、その検査結果次第で退院
できることになっていたので、挨拶は出来なかった。

けれど、大丈夫。私は念じた。
また、逢える!!そう信じて…。

「ねぇ、みちる、結局今回の入院が一番短かったじゃないかな。」
日向が私に訪ねてきた。
「そうね。今回3週間だもんね。いつもなら、1ヶ月は有に越えているし、でも充実
してた。時間があっというまに過ぎていく感じだったよ。」
私は、日向にいうと、
「僕も充実してた。みんなと会うのが楽しみだったし、皆と歌って、、、本当によかった
と思う!!僕は病気じゃないけど、なんか病気の人に励まされた感じ…。不思議だよね。」
日向はそういった。
「でも、本当はそうなんだと思う。僕たち健康人の友人や、家族は「病気」に
なった人を励まそうとしている、けれど、実際、その過程で病気の人から、「エール」をも
らっているんだ。気づかないことが多いけど…。」
日向は続けていう。
「私以前、『病気って残酷』っていったけど、実際そうじゃないのかもしれない…。
人の運命がもし予定されているなら、『病気になった』という一つのドラマが幕をあけること
になるわけだから。確かに苦しいけど、もし、健康だったら気づかなかったこと…たくさん
あると思う。…そう思えたのも日向のおかげだよ。」
私は、少し狼狽しつつ、それでも真摯に日向につたえた。
「そう思ってくれると嬉しいな。」
そうてれくさそうにいう日向に、
「帰ったら、手紙を書こうと思うの。一葵や、周哉君に。メールアドレスもきいたんだけど…。
手紙の方がなんか、気持ちがあるというか…。暖かい感じがしない。」
そういうと、
「そうだね。…手紙ってなんか暖かい感じするよね…。僕は、メールを打つのもうまくない
けど…。(姉ちゃんはすごいんだけど)僕も一葵ちゃんや、周哉君に伝えたいこといっぱいある
から…。」

☆☆☆
 牧野 一葵さま・星河 周哉さま

 元気かな。私は、退院してから体調はまずまずいい感じです。
 今日から学校にもいって、ちゃんと授業もうけてきました。
 …さすがに離れていると、ついていけないけど、なんとか日向に教えてもらいながら
 勉強しています。

 一葵も周哉君もあともう少しで3年生。受験生だよね。
 進路どうするのかな。
 私は、高校も日向と一緒のところがいいなぁ。って思っています。
 欲を言えば、一葵と周哉君も。だけど、千葉だと無理か。
 わたしたちは今、高校受験を控えて少しずつ勉強を始めています。

 一葵、周哉君、ほんとうにありがとう…。拙いことばだけど結びにさせてもらいます。
                
 P.S また逢えるよね。
☆☆☆
 遠山寺の本堂。

 「みちる、手紙かけた?」
 日向の質問に、
 「書けたよ。日向こそどうなの。」
 日向は、
 「ちゃんとかけたよ。…ほんと、二人に会いたくなっちゃった。」
 そう笑顔でいう、私は
 「そうだよね。ひょっとしたら、ここにくるかも知れない…。」
 そんなことをいっていると、
 「日向、お客さんよ。…なんか、すごい美人な人とかっこいい人のカップル!!
  あの人たちと知り合いなの。??」
 日向の姉、未来は興味深そうにきく、
 「えっ、周哉君と一葵ちゃんきてるの…。」
 そういうと、「ちょっと…。」という未宇の静止をふりほどき、日向とみちるは走った
 玄関には、二人の姿があった。
 「よっ、日向、みちるちゃん元気だったか。」
 威勢のいい男らしい声…周哉君だ。
 「みちるちゃん、日向くんいきなりごめんね。…でも、二人が残していったメモから
 結構このお寺探すの大変だったのよ。…でもまた逢えた。」
 一葵も満面の笑顔、私と日向は思わず、
 「お帰りなさい!!」
 といってしまった。
 二人も笑いながら、
 「ただいま!!」
 そう返答するのだった。

 …ここ、遠山寺は『再会』の寺なんだ。
  俺も母さんも未来もみんなこの寺からはじまったんだ。
  日向もそれを実感するときがきっとくる…。

 そんな父の台詞を日向は反芻した。
 
 ここは素敵な場所だったんだね。

☆☆☆
 10数年の歳月が過ぎた。
 遠山は今日も晴天。
 あれから、私と日向は一緒の高校にいって、
 そして大学は、一葵と周哉君も一緒になって…。
 バンド活動も続けていて…。月1-2回くらいだけど、文化センターなどで、発表もしている。
 大学では、4人とも児童心理学を専門的に勉強している中川ゼミにはいった。
 そして、日向は2年間の修行で得度をうけて、「遠山」の副住職になった。
 私は、2年間、大学院で引き続いて勉強して、心理カウンセラーとして、毎週あの坂場医師
 との戦いの場であった大谷総合病院で週1回心身症のケアにあたっている。
 周哉と一葵は2年前、卒業とともに結婚して、1年前に可愛い赤ちゃんもできた。
 ちなみに周哉君も、一葵も高校教師だ。
 名前は、「満靖」君らしい。なんでも、いつでもさわやかにいてほしいから付けた名前だそうだ。
 私と日向も半年前に婚約をした。そして、今日私は『遠山 みちる』になる…。
☆☆☆
 「日向っ早くしてよ。皆またせてるんだから…。」
 私は日向にいった。
 「わかってるよ…。でもさ、なんでうち寺なのに??わざわざ教会で式あげんの??
なんか変じゃない(?)。」
 そう日向は首をかしげた。
 「そ、それは…私の小さいときからの夢で…(照)。だいたい今頃になってそんなこといわない
  でよ。」
語尾がだんだん小さくなっていく私に、
 「みちるもそんなかわいいこと、考えてたんだね。」
 日向が冷やかす。
 「!!!もう、いいでしょ。いきましょう。」
 そういって、日向の手をとってかけ出した。
 式場で誓いのキスをすると、一葵や、周哉君、周哉君の友達の寛君、息子の満靖君。
 わたしのパパとママ、そしておにいちゃん。日向のパパとママ、未来お姉さん、とその旦那さん。
 みんなが一斉に、
 「おめでとう!!幸せにね。」
 そういうのだった。

 「いま私とってもしあわせだよ。 日向。 あなたと出会えて。
 そしてあなた傍にいられて。 こんなに皆から望まれて。
 日向はどう、幸せ?」
 …言葉にはしていない。心で思っただけだが…。
 「とっても幸せだよ!!」
 そういって、私を抱きしめた。
 「ちょっと、日向。皆みてる…恥ずかしいからやめてよ。」
 そう狼狽する私に、
 「いまさらそんな必要ないんじゃない。それに、これ、周哉君と一葵ちゃんもやってたよ。」
 その言葉に一葵と周哉は真っ赤になる。そうすると、息子も「だぁ!」っていってケラケラと
 笑い出した、
 本当に暖かな日だった。
 
 一葵は思わず、あのとき歌った歌を口ずさんだ。
 
 『…気がつくと いつも支えてくれた ともだちはタカラモノ。
 
だから ぼくはは ここにいる ここでわらっていられる。
 
 この空の下 皆の奏でるメロディーは様々だけれど
 
 そのメロディーがくるいはじめても

 たとえ、雨ふりでも 雪がふっても
 
 やまない日はない ぼくたちには 『希望」という傘がある
 晴れる日をゆっくりまとう

 希望はぼくらの力になる 友だちはみちる望の原動力
 明日へ向かって はばたこう。…』
  
  いつのまにか、四人とも歌っていた。
  そう、四人はあのときからはじまったんだ…。
  そして、一生。わすれられないタカラモノ。
  希望をもって、頑張っていこう。
  希望をもっていればできないことなんてない。!!
  そう強く感じるのだった。


前回まで掲載していたものを大幅に訂正したものです。

まず、名前。
開夢と希については、私のサイトの方ででてくる「笑顔のお題」で登場してくる
二人と区別するため、日向とみちるという名前に変更しました。
一葵と周哉は同じです。

まどろこしい文句を削除した。
まわりくどいところは削除しました。

また、脱字・誤字については分かる範囲で訂正を加えています。

この作品はlittle starの作品の中では一番長い作品となりました。
ほんとに拙い内容でしたが、ここまで付き合っていただいてありがとうございました。
また、次回作で逢えることを願いつつ・・・。

2006.5.29 little star ここに記す。

 

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