作:ちょび
「招待状?」
「ええ、望王子の花嫁選びの舞踏会が、三日後に行われるらしいわ。
その、招待状よ。」
シンデレラの二人の義姉、イージとルーワは、飛び上がって喜びました。
しかし、継母だけは、渋い顔を崩しません
(シンデレラの分まで招待状がきているのよね・・・・。あの子の持っていたドレスなんかは、全て隠したし、宝石も取り上げた。
だから、たとえ招待状があっても出られるはずはないけれど・・・。万が一ということもある。なんとかしなきゃ。)
「シンデレラ!シンデレラ!使いに行っておくれ!」
「はい!どちらに行けばよろしいでしょうか?」
「隣り国の、ロッテンハイムのはずれにあたくしの妹が住んでいるのは知ってますね?妹のところにこの手紙を届けて。」
「あの、郵便やさんに頼んだほうが、よろしいのでは?」
「おだまり!おまえには、ほかにも届けてほしいものがあるのよ!そのくらい、察することができないの?本当に鈍い子ね!いいから、明日の昼には出発するのよ。いいわね?」
「はい、わかりました。」
継母は、今夜はもう遅いからとシンデレラを早く休ませ、妹への手紙を書きました。その手紙には、いつも働かせているシンデレラを、2,3日もてなしてやるようにと書かれていました。
しかし、それは継母の企んだ罠だったのです。
自分の娘たちよりも数倍美しいシンデレラを舞踏会に出席させたくなくて、そんな手紙をかいたのでした。
一方、シンデレラは、またいつものように泣いていました。
「ひどいわ、おかあさま。あんな風におっしゃらなくても・・・・。」
『クリスティーヌ。クリスティーヌ。泣かないで・・・。』
「ああ、お母様の声が・・・・。いつまでも、わたくしを見守っていてくださるのね・・・・・。おかあ・・・・さ・・、え、ええ〜〜〜〜!!!」
なんと、そこには本当にシンデレラの死んだ母が立ってたのです。哀しげなほほ笑みを浮べて、話かけてきました。
『ごめんなさいね。わたくしが死んでしまったばっかりに、あなたばかりをつらいめにあわせてしまって・・・・・・。
だいたい、あの人がいけないのよ!いくらわたくしが死んでつらいからって、あんな、マージなんかに手を出すなんて!わたくしが生きていた頃から、どうしようもない浮気モノで、しょっちゅうほかに愛人を作ったりしていたし、ほんとに、しょうがない人ね!』
「だんなさま、もう悲しむのはおよしください。そんなんじゃ、亡くなった奥様も浮かばれません。」
「マージ・・・、ありがとう・・・。僕をなぐさめてくれるのかィ?」
『そして、あの人の手がマージの腰を引き寄せて、近ずく二人・・・・。
そしてそして・・・・・!!!!』
「お母様?いったいどうなさったの?」
はっと、我に返った母は、コホンとひとつせきをして、再び話しはじめた。
『失礼。つい妄想が・・・・。いえ、なんでもありません。ホホ・・・。』
・・・・どうやら、シンデレラの妄想して暴れまくる性格は、母親ゆずりだったらしい。
『いいですか。何か困ったことがあったら、マージの妹・シーカダを頼るのです。そして、三日後の夜にある舞踏会に出席なさい。」
「でも、わたくしのドレスや宝石は全て取り上げられてしまいました。とても、出席できませんわ。」
『ぬかりはなくってよ。かわいいクリスティーヌ。そこらへんは全て、シーカダに頼んでおいたから。それじゃあ、お母様はもう行くわ。がんばるのですよ、・・・・幸せというものは、あきらめさえしなければ、必ずやってきます。だから、あきらめたりしないでね。』
シンデレラは声を出そうとするが、そこで意識が途切れて、朝になってしまった。
「あれは、夢だったのかしら。・・・・いいえ、夢じゃないわ。きっと、わたくしを案じて、励ましにきてくださったのだわ。ありがとう、お母様。
クリスは必ず、幸せをつかんでみせます!」
朝食のしたくと、家中の掃除をすませて、シンデレラはロッテンハイムへと旅立って行った・・・・・。
ちょびです。なかなか話が進まない・・・・。
基本の話はあるんだから、もう少し進んでもいいと思うんだけどなあ。
もしかして、すごく長い話になっちゃうかも・・・・。