return of the memory

act 1

作:ちょび

 →(n)


この話のタイトルは、思い出を返してという意味です。

英語が得意ではないので、もしかしたら間違っているかもしれませんが、

そこはご愛嬌ということで・・・・。

それでは、よろしかったら、ごらんください。


いつまでも、一緒にいられると思っていた。
なのに、どうして?
だれか、俺にあいつを返してくれ。


それは、未夢と彷徨が高校を卒業してからのことだった。

未夢は、高校の友人たちと二泊三日の卒業旅行に行くことになっていた。

「おみやげは何がいい?彷徨。」

「・・・なあ、旅行を中止にすることはできないのか?」

未夢は頬をぷくっと膨らませて、怒った。

「そんなの、できるわけないでしょ!今さら何言ってのよ!」

ぷんぷんと怒っている未夢を、そっと抱きしめて、せつなげに見つめた。

「・・・・なんだか、不安なんだ。このまま、永遠におまえを失ってしまいそうで。」

そんな彷徨に、未夢は、大きな瞳をさらに大きく見開き、彷徨を抱きしめ返す。

「大丈夫、わたしはきっと帰ってくるから。それに、忘れたの?もう、わたしは身も心も彷徨のものなのよ?」

そう、二人は、つい二日前に結ばれたのだった。

「そうだよな、ごめん。なんか、わけもわからず不安になっちまって・・・。」

未夢は、ふんわりとした笑顔を浮べて、そっと彷徨にキスをする。

「彷徨、大好き・・・。」

「俺も、愛してるよ///。未夢。」



2時間後、未夢たちを乗せた飛行機はアメリカに飛び立っていった。

しかし、数日後、彷徨は自分の予感が的中していたことを思い知ることになった。

アメリカ発、日本行きの飛行機がエンジン・トラブルを引き起こし、乗客は行方知れずとなったのだった。

未夢の両親とも連絡を取り、必死に捜索したものの、その後、未夢の消息はようとして知れず、10年の年月が流れた・・・・。




「おい、西遠寺。今日、コンパを開くんだが、おまえも来いよ。」

「悪い、俺、そういうのは一切興味ないから。」

そう言って、立ち去ろうとした彷徨に、同僚の鈴木が余計なことを言った。

「なんだよ、まだ死んだ彼女に義理立てしてんのか?いい加減、新しい恋人みつけたらどうだ?」

「未夢は死んでなんかいない!二度というな!!」

今にも、首を絞めそうな勢いで、鈴木に詰め寄った。

その、あまりな様子に、近くで見ていたダイハツが、止めに入る。

「だめデス。サイオンジ、落ち着いて。鈴木も、ちょっと言いすぎネ。」

「ああ、そうだな。サンキュ、止めてくれて。鈴木、俺、まだあいつのことを待っててやりたいんだ。・・・たとえ、何十年かかってもな。
だから、彼女を作るなんてかんがえられないんだ。だから、もうコンパには誘わないでほしい。」

ふっと、ためいきをつくと、鈴木は残念そうに言った。

「・・・わかったよ。それに、俺、確かに考えなしだったな。
スマン。」




未夢、おまえは今、どこで何してる?
会いたいよ、未夢。
会って、思い切りキスして抱きしめたい。






ここは、彷徨の親友、三太宅。

「ほらほら、起きなっ!」

今まで、心地よい眠りの中を漂っていた三太は眠い目をこすりながら目を開けた。

「沖縄の叔母さんから電話だよ!待たせてるんだから、さっさとしな!」

口をとがらせて、しぶしぶ電話に出た。

「んったく、夜勤あけで、さっき帰ってきたところなのに・・・。
もしもし、俺、三太!叔母さん、どうしたの?」

「はあい、三太ちゃんにいいお話をもってきたのよ!三太ちゃんもう、いい年なんだし、お見合いしてみない?
いい人がいるのよ〜〜〜。年は三太ちゃんと同じくらいで、子供が二人いるんだけどね。写真は、お母さんに渡してあるから、後でみてちょうだい。
それで、気に入ったら、電話ちょうだいね。」

言うだけ言うと、彼女はさっさと電話を切ってしまった。

「まったく、もう・・・・。かあちゃ〜〜ん、ちょこっと写真みせてくれよ〜〜〜。」

ラフな格好に着替えて、下に下りる。

テレビをみながらお茶をすすっていた母から、写真をみせてもらう。

「・・・・!!これ・・・!母ちゃん、俺、西遠寺に行ってくる!」

「は?なんで・・・西遠寺?ちょっと、三太!」

それに対して返事をせず、三太は急いで西遠寺にと向かった。



(今日は、彷徨も休みでいるはず・・・。彷徨のやつ、驚くぞ〜〜〜。)



「え?彷徨、会社にいったんですか?」

「ああ、ちょっと、呼ばれてな。そろそろ帰ってくるはずじゃから、お茶でも飲んで、ゆっくりしてなさい。」

あいにく、彷徨は不在のため、応対してくれたのは父・宝生だった。

「おお、来たようじゃ。お〜〜い、彷徨ぁ〜〜、三太くんが急用があるそうじゃ。」

門の向こうに、息を切らせてやってきた彷徨を見て、宝生が大声で叫んだ。



「あのな、俺の沖縄にいる叔母さんから、お見合いをすすめられて、で、これがその相手なんだけど、見てくれよ〜〜。」

「は?なんで俺が・・・。」

「まあ、いいから。いいから。」

不審に思いながらも、見合い写真を開いた。


そこに写っていたのは・・・・・。


「未夢!」

「未夢ちゃんじゃないか!」

そう、そこに写っていた、見合い相手とは、10年前に行方知れずになった未夢だった・・・・・・。






つづく




ちょびです。

やっと、1話書き終わりました〜〜。

次の回から10年後の未夢が登場します。

そして、ストーリーが展開していくのですが・・・・。

これ以上書くと、次の話をばらしてしまいそうになるので、このへんで失礼

します。

よろしかったら、また読んでやってください。

 →(n)


[戻る(r)]