作:友坂りさ
西暦
2004年 12月31日(FRI)
俺の名前は、西遠寺彷徨。
高校三年生。
現在、18歳の誕生日を迎えたばかりである。
この時期になると、大学入試のことで頭がいっぱいだった。
毎日が模試の繰り返しで。
そんな中の、やっと課外講習も昨日で終わり、ようやっとわずかな4日間の休みに入ったところだった。
今はこの西遠寺家には俺と、親父の二人暮し。
とはいっても、親父はほとんど「修行」だとか何だとかいろいろ理由づけて、家にはいないが。
・・・今日もいつものように朝が来た。
が、まだ寝ていたい。
そんな思いのまま、寝返りを打ったばかりだった。
今年で今日も終わりだから、寺の掃除もしないといけないのだが、せっかく休みに入ったのだし、ましてこう寒いと、どうも起きるのがおっくうだ。
そして、いつものような変わりばえのしない毎日が始まる、
・・・はずだった。
ところが。
突然ありえない・・・
そう、・・・懐かしすぎる声が耳に届いて、俺は驚きのあまり、布団から飛び起きた。
「彷徨ぁ〜、何してるの〜??」
????!!!!
はっ??
この声は・・・
「早く〜!!もうワンニャーがごはん用意してるよ〜!!」
み・・・ゆ・・・?
なっ・・・・・・・
なんでここに?
◇◆◇
―――そうだ、あれは三年以上も前。
ルゥとワンニャーがオット星に帰って、未夢もアメリカから帰ってきた両親と暮らすために、実家に帰った・・・今さらだけど、そうだったよ・・・な?
まずい、俺はまだ夢の続きを見てるのだろうか。
そうだよな、未夢が、ましてやワンニャーがここに居るはずはない。
もう一度寝よう、そう思って、布団を深くかぶって、俺はまたもぐりこんだ。
「もうっ、彷徨ぁっ!!戸開けちゃうよっ」
そのときだった。
がらりっ、
戸は大きな音を立てて、開かれた。
「なっ??・・・未夢??」
夢じゃない・・・?
「おまっ、なんて格好してるんだよっ?今さら中学校の制服なんて着て。しかもいつの間にここに・・・」
俺はやはり“確かに”姿を現した「未夢」という存在に、驚きながらも、やけに冷静に話しかけていた。
――今ここにいるはずのない、人物に。
「何いってるの?今日終業式だよ。彷徨。それに私たちはいま、中学二年生!寝ぼけてるの?ほらっ、彷徨も早く制服着て!遅刻しちゃう!」
!!
ナンダッテ・・・?
「はっ?未夢こそ何言ってるんだよ?俺たちは高校三年生だろ?中三・・・になるとき以来久しぶりにあったと思ったら、・・・・いきなり何言い出すんだよ?」
そうだ。
気がつけば、未夢とは三年・・・いや、それ以上一度も。
・・・会っていない。
逢いたくて、逢いたくて仕方なかったんだ。
だけど、あのとき、俺は勇気が出せなくて。
未夢の目を見て、言いかけたあの言葉が、どうしても、言えなかった。
後悔するくらいなら、あふれ出しそうなあの鼓動の音に任せて、言ってしまえばよかったのに。
俺は。
――あのまま、未夢を西遠寺(ここ)から見送った。
そして今日。
――やっと逢えたというのに。
なんだ?
変だよな・・・?
久しぶり、の気がしないでもない。
「あはははっ、彷徨それ何?新しいギャグ?? 三太くんにでも教わったの〜?
もうっ、変なこというのはやめて、早く起きちゃってよ。・・・先、行っちゃうからねっ」
あれ・・・
そういえば。
三年ぶりのわりには、未夢は「あのとき」のままだ。
中二から、高校三年といえば、いくらどんな幼い顔立ちのヤツでも、まったく同じということがあるはずが、ない。
まさか・・・な、とは思ったものの、俺はちらり、と部屋に掛けてあるカレンダーをみた。
『 2000年12月 』
うそだろ・・・
信じられない気持ちで、俺はとりあえず、押入れにしまってあるはずの制服を探す。
今着ているのは、紺のブレザーに赤いネクタイ。
三年間着たのですっかり体になじんでいる「平尾高校」の制服だ。
「・・・なんだよ、これ」
俺が今手にしているのは、紺の詰襟の学ラン。
昔見慣れていたはずの、中学の教科書のはみ出した、白い鞄も一緒に置いてあった・・・
居間に行くと、テレビの音が聞こえてきた。
「――今年も残りわずかですね。とはいっても、その前に明後日はクリスマスイヴ。皆さん、どんな風にお過ごし予定でしょうか?ミレニアム―2000年―のクリスマス、20世紀最後のクリスマスは、きっと素敵なものになるといいですね。今日のお天気は、ちょうど、雪になりそうです――」
未夢がいること。
まだ、姿は見ていないが、ワンニャー、ルゥがいるらしい、ということ。
中学の制服。
カレンダーの「時間(とき)」。
テレビのニュース。
信じられないが。
確かに――時は、“2000年”を刻んでいた。
そう考えてしまっても、おかしくはない。
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現在。
何故か俺が感じているときは。
西暦
2000年12月22日(FRI)
思えば、このときが全ての始まりだった。
―君といた未来のために― 〜I’ll be back〜
俺は二度目の中学二年生になっていた。
こんにちは。友坂りさです。
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、これは6年ほど前にあったドラマのお話をヒントにさせていただきました。(ジャニ系です(笑))
ふらり、と立ち寄った中古CD店で( 三太くんみたいですが(笑)このドラマのサントラを見つけて、部屋で流しているうちに、何だかふと、パラレルストーリー的なものを書いてみたくなりましたv
初、彷徨くん一人称です。
続きはゆっくり書かせていただきたいと思いますので、読んでいただけるととっても嬉しいです。急いで書いてしまったので、粗が目立つと思いますがお許し下さいね(>_<)
それでは、また。
友坂りさ