作:あゆみ
「それじゃあ、○○君はこれを着て、××君はこれね!」
綾が朝からばたばたと男子や女子の衣装を指示している。
未夢は昨日言われたとおりシンデレラのドレス
クリスは眠り姫
綾はかぐや姫でななみは白雪姫だ。
男子はというと三太は殿様
望むは星の王子様
彷徨はというと……
「小西。これでいいのか?」
と着付けを終えた彷徨がみんなの前に姿をあらわした。
教室にいた女子たちが????を浮かべる中
クリスが口を開いた
「彷徨君の衣装はなんですの?」
てっきり、童話に出てくる王子様だと期待していたクリスとクラス女子
彷徨の格好はぼろぼろの黒いマントを身につけ、顔には、、顔というか頭全体を覆う
マスクのようなものをかぶっていた。
そこで綾が説明した。
「彷徨君の格好は野獣よ!美女と野獣の野獣!!」
「「「「「「へっ????」」」」」」
とほとんどのクラスの女子が聞き返した。
「「「「「「「なんで彷徨君が野獣なのよ?」」」」」」」
「ふ…ふっ…ふ!それは!素顔が一番美しいからよ〜!!!!」
綾の自身満々の声。
「「「「「「「「え〜〜〜〜……」」」」」」」」
とクラス中の女子のため息は綾には聴こえなかった。
(よかった……)
とここに安堵した彷徨。
「それにしても、」
とななみが口をはさむ
「未夢とクリスちゃん似合ってるよ〜」
「そ…そうかな??//////」
クリスはフランス人譲りのスタイルで西洋のドレスを完璧に着こなしていた。
未夢はというと中学の(絵本に入ったときよりは)体型よりかなり胸もお尻も成長しているせいか
細い体が細いラインのドレスをきれいに着こなしていた。
「うん。うん。いいよ〜いいかんじよ〜」
と満足そうな綾。
他の男子たちもそんな二人をうっとりとした目で見ていた。
彷徨はというと…被り物で表情はよく見えないがかなりご満悦のよう……
しかし、他の男子の未夢を見る目が気に入らないらしく素直に喜べない……
(あれは俺のもんだ!!みてんじゃねぇ!!)
こうして始まった文化祭。
絵本喫茶は上々だった。
ミスコン優勝候補2人がドレス姿で働いていることもあるし
学校ナンバーワンとツーの美男子が二人もいるクラスに下級生から上級生まで
男女問わず入れ替わり立ち代り状態で教室に入ってくるのだ。
だから、未夢と彷徨は朝一緒に学校へ登校したっきり話していなかった。
『そろそろミスコン出場の方は準備してくださ〜い!!』
と校内アナウンスが入った。
「それじゃあ。いこっかクリスちゃん!!」
「そうですわね。未夢ちゃん先にいっててくださる?わたくしお手洗いに行きますので…」
「うん分かった!それじゃあ先いってるね!!」
トタトタ・・・・・
(さてと…恥ずかしいけど楽しみますか!!ゥ…)
がばっ!!
(えっ????)
「彷徨〜そろそろミスコン始まるぜぇ〜見に行こうよ〜!!」
「あぁ。そうだな。それじゃ!そういうことで後はよろしく〜!!」
「えっ?!西遠寺くん僕だけでやれと?ひどいや――――――???」
望の声がこだまする。
ミスコン会場・・・・
(おかしいですわ・・・未夢ちゃん先に来ているはずなのに・・・)
先に来ているはずの未夢の姿が見当たらなくて慌てているクリス。
「お〜い。花小町〜!!」
とそこに走ってきた彷徨と三太。
「彷徨君!!未夢ちゃんが!!未夢ちゃんがいませんの!!」
「なんだって??」
「彷徨…」
「俺…探してくる!!」
「おい!かなた〜どこを探すんだよ〜!!」
「適当だよ校内をみてくる!!花小町は気せずにやれよ!!」
と二人を背にして走っていった彷徨。
「彷徨君が…彷徨君が…お・う・え・んしてくださってるわ〜!!!!!
ワタクシ優勝する気で頑張りますわ〜〜〜!!」
ガッシャーん!!!
「ん・・・ここは・・・」
(どこ………?)
「だれか〜〜誰か助けて――――――――!!」
(未夢…未夢…どこにいるんだ……)
「未夢―――――――――――――――!!!」
校内を走り回る彷徨。しかし未夢の返事は無かった………。
続く・・・