作:あゆみ
ガヤガヤ…………
ここは平尾高校。現在文化祭の準備で大忙しだ
おなじみのメンバーがそのまま高校でも顔を合わせている
未夢、彷徨、ななみ、綾、三太、望にクリスである。
腐れ縁も腐れ縁…高校に入ってもこのメンバーは同じクラスだった。
未夢と彷徨は自他共に認める恋人同士・・・ある一人を除いては……
そのある一人とはクリスである。
二人が交際していることは分かっているが、どこかまだ切り替えられないらしい……
よって、今でも仲のよさそうな二人を見ると暴走してしまう・・・・・・。
このメンバーは高校に入っても有名だった。
未夢は親が宇宙飛行士ということもあるが、それを自慢することはなく、活発でかわいらしい女の子。
彷徨は首席でこの高校を入学し、頭もよくスポーツも万能で美形である。
クリスはフランス人とのハーフということも会って校内でも1.2を争う美少女。
望は彷徨に負けず劣らず美形で学校の貴公子的な存在だった。
ななみは美人とまではいかないがさばさばとした性格が下級生(特に女子)に人気がある。
綾は高校でも演劇部に入り彼女の脚本が脚光を浴びてきて数多くの賞を取っていた。
三太……は……まぁ、相変わらずということで
そんな7人の高校生活二度目の文化祭が明日あるのだ。
前日である今日は授業を休みにして全て準備の時間に当ててある。
教室の中・・・・
「さ〜〜〜!!衣装ができたわ!!!!」
綾が興奮しながら叫んだ。周りにいる衣装班はぐったりしている。
「ほんと―――?!綾ちゃん!!うわ―――すごいね!!」
未夢は出来上がった衣装を見て感激の声をあげた。
「綾ってばこういう行事に余念ないからね・・・。付き合う身としては大変だけど…」
力尽きていた衣装班の中のななみが言った。
「そりゃそうよ!!こういうときに張り切らないと文化部の面目丸つぶれじゃない!!」
「特に未夢ちゃんとクリスちゃんはこの衣装でがんばってもらわないとね!!」
意気揚揚と綾がまくし立てる。
「え?何を頑張るの?」
「なんですの?」
分けが分からないという風に未夢とクリスがたずねる。
「何って、美少女コンテストじゃない!!ミス平高!!」
「「えっ?何それ。(なんですの?)」」
「我が高校の文化祭、演劇部主催の目玉のミスコンよ!!未夢ちゃんとクリスちゃんが2年代表だって……
いわなかってっけ……??」
「「きいてないよ〜(聞いてませんわ〜)!!」」
「そうだっけ?でもまあ未夢ちゃんとクリスちゃんは明日出場するからそのつもりでよろしく〜」
綾があっさりといった。
「そんな///こまるよ〜///」
未夢は顔を赤くして言った。
「そうですわ。そんな急に///」
クリスも困っている。
「急じゃないよ!!」
とナナミ。
「「えっ?!」」
「だってもう1週間前から出場者の写真は掲示板に張り出されているはずだよ?」
((し…知らなかった…))
未夢とクリスは唖然・・・。
「なんかもう、男子の方では下馬評とかやってるみたいだし、あ!そうそう有力候補は未夢とクリスちゃん!
だんとつでね!! なんかもう未夢派とクリス派に分かれててどっちをクイーンにしようか争っている
みたいだよ。」
ななみはここ1週間男子が騒いでいたことを簡潔に伝えた。
「そう!!そこでクイーンといえばドレスでしょ?!!だからうちのクラスの出し物絵本喫茶じゃない!!
だからクラスの女子男子で絵本の主人公のコスプレをして喫茶店をだすのよ!!
クラス優勝はもちろん、コンテストのクイーンまで輩出!!いいアイデアよね〜」
綾の目は輝いている。
(あ〜もうだめだよ〜綾ちゃんプチみかんさんになってる…)
「未夢ちゃんはシンデレラ!!」
「シンデレラ…」
「クリスちゃんは眠り姫だよ!」
「眠り姫…」
未夢とクリスはもうあきらめモードでつぶやいた。
「これでダブル優勝は我がクラスがいただきよ〜〜!!」
こうして、準備前日綾の声は教室にこだました………
同時刻・・・・体育館・・・・
大道具など、教室の出し物でものこぎりやくぎを使う作業はどのクラスも体育館でやっている。
いま体育館にはほとんど男子が占めている。
『オイ!あした光月と花小町どっちが優勝するかな〜』
『俺は光月!!美人!ってわけじゃないけど。性格いいし可愛いからな〜』
『俺は花小町派だな。なんていってもクイーンといえばあの美しさ!花小町だろう!!』
今体育館ではそんな話が立ち込めている。
(クイーン?未夢?花小町?何のことだ?)
彷徨はそんな話が聴こえてきて意味がわからなかった。
金槌を打つ手を止めて三太に聞いてみた。
「なぁ。三太クイーンって何だ?」
「クイーン?…あぁ。彷徨知らないのか?明日の文化祭のミスコンの話だよ。」
「ミスコン?」
「演劇部主催でさ。学校内でのミスコンをやるみたいだよ。2年代表は光月さんと花小町さん。
下馬評では2人がダントツだったから、どっちが優勝するかみんな話しているんだろ。」
「なんだよそれ?俺しらねぇよ?」
「そうなのか?出場者の写真が掲示板に張ってあったけどな。なんか、光月派と花小町派に分かれて
どっちを優勝させるか競っているみたいだぜ。」
「へ〜知らなかった・・・。」
「彷徨と光月さん学校でも二人の世界だからな〜」
「な……そんなことねぇよ。」
「まぁ。傍から見たら中学のときとは変わらないけど、中学から見てる俺らとしては明らかに雰囲気が
変わってるよ。」
(そ…そうなのか/////…)
「……お、俺らって三太だけじゃないのか?!」
「あぁ。天地さんに小西さんも言ってるぜ〜」
(何てことだ////)
「それはそうと、彷徨気をつけたほうがいいぜ。」
「なにが?」
「そのミスコン。光月派と花小町派のグループの衝突が激しくなってきたみたいでな、どうやって自分たちの
支持者を優勝させようかたくらんでるらしいぞ!」
「そうか…」
「光月さん…変なことされないようにちゃんと守ってやれよ!!」
「………わかってるよ………」
(誰が手出しさせるか………)
とそこに、ヤスリを持った望むが踊りながら二人の下へやってきた。
「やぁ!黒須くんに西遠寺君いまミスコンがどうのこうのといっていたけどミスターキングというのは
やらないのかい?久しぶりの美少年対決だね!西遠寺君!!」
「「そんなのねぇよ……」」
「えっ?!」
「「ミスターキングなんてねぇよ」」
「そんな―――――――!!!」
そして体育館に望むの声がこだました。
西遠寺・・・・・・・・・・・
「っでね!綾ちゃんってば突然そんなこと言うのよー彷徨。」
「突然じゃねぇだろ。1週間も写真張り出されてたらしいじゃねえか」
「うっ……。知ってたの彷徨?」
(うっ……。俺も今日三太から聞いたとは言いにくい……)
「………知ってたよ……」
「そうなんだ〜。知ってたらいってくれればいいのに…」
「まぁ。なんだ。余計なプレッシャーを前日から与えなくてもいいだろうと思ってさ」
(俺もよくこんな嘘がすらすら言えるな…)
「そっか――でも……緊張するよ〜〜〜/////」
「楽しめばいいじゃん。楽にさ!」
「そうはいってもあの衣装がねぇ//////」
「衣装?」
「綾ちゃんが用意したの。クリスちゃんが眠り姫。私が//////」
「なんだよ。」
「/////シンデレラ…/////」
「…………!!……へぇ……シンデレラねぇ……(ニヤッ)」
「そうなの////////」
「ガラスの靴を投げつけるなよ!!」
舌を出しながら彷徨。
「…………!……そんなことしないわよ!!」
(気づいたんだ//////)
「怒ると台無しだぜ!お・ひ・め・さ・ま(ニヤッ)」
「うー―――もう!彷徨ったら!!」
「あのときの続きする?(ニヤニヤ)」
「続き?」
「誓いの・・・・」
「//////////」
「キ・ス」
「///////しないわよ馬鹿!!!」
「ちぇ……」
「ちぇ……ってね〜子供じゃないんだから」
クスクス笑う未夢。
そんな未夢を微笑みながら見つめる彷徨。
その視線に気づいて
「///////そ…そういえば。彷徨も王子様衣装あるってよ!!」
手をぶんぶん振りながら未夢。
「げっ!王子様〜・・・やだな〜」
「しょうがないよ。クラスの他の男子もいろんな王子衣装きるし!」
「う――――ん。」
「ねっ?」
と満面の笑みを浮かべていう未夢。
(可愛い顔していうなよな〜…しょうがねぇな)
「分かったよ。」
「えへへ///頑張ろうね!」
「そうだ。未夢明日気をつけろよ!」
「なにに?」
「わかんねぇ。」
「何いってるの彷徨?」
「俺にも分からないけど気をつけろって事!!」
「???」
(まぁいいか。俺が見てればいいし)
「いいや!気にするな」
「??」
「ところでお姫様?このまま泊まっていくのか?」
「////えっ?////」
「だって見ろよ」
彷徨の指を差した先。
時計の針が12時をさそうとしていた。
「!!!!いっけない!!遅くなっちゃった!!」
「別に家は泊まっていっていいぞ」
(できれば)
「いいよ////ママとパパに言ってないし////帰るね」
「そっか。送ろうか?」
「いいよ。同じ境内の中でしょ!」
「じゃあ。帰る前に……」
そっと未夢の頬を持ち。軽くキスをする。
「おやすみ。」
やっと何をされたのか理解した未夢は顔を赤くして
「お…おやすみ…///////」
(不意打ち!!/////////)
とあわてて居間から飛び出していった。
クッ…クッ…クッ…////
彷徨は慌てた未夢の顔を思い出して吹きだした。
カラン…カラン…カラン…
(ん?)
彷徨は玄関へ向かった。
「……シンデレラか……」
ポツっとつぶやき下を見た。
慌てた未夢は西園寺のサンダルを履いていってしまった。
残された未夢のローファー。
(明日、お向かえに上がりますか・・・・・・)
続く・・・