作:あゆみ
未夢は尻餅をついた。
どたっ!と思いっきり強くお尻を打ちつけた。
「いたた・・・・」
未夢は顔をしかめるが、覚悟したほどの痛みはなかった。
絨毯が痛みをやわらげてくれたのだろう・・・。
絨毯??
未夢はきょろきょろと周りを見渡した。
ライトブラウンの絨毯、オレンジ色のベット。
私の部屋だ…。
壁のハンガーには緑色のセーラー服がかかっている。
「あれ?」
未夢はあたりを見回した。
私の部屋だ…
未夢は腰を抜かすようにぺたりと絨毯に腰をおろした
夢?……
自分の格好を見るとパジャマ姿だった。
未夢はベットに目を向けた
眠っていても無意識のうちにしがみつこうとしたのだろう、その形跡が見られる。
「なんだ。。。夢だったのか」
未夢は自分の寝ぼけ下限に苦笑し、それからなんとなく自分の唇に指先を当てた。
ずいぶんとリアルな夢だった。
西遠寺君がでてきて
西遠寺君の部屋にいて、
西遠寺君にキス…
まだ感触が残っている気がする唇を未夢は指先でなぞる。
「やだな…なんであんな夢を見たんだろう…」
西遠寺彷徨とは同じクラスだし、毎日顔を合わせてはいるのだが、すくなくとも恋愛の対象に意識する存在ではなかった。
スポーツは万能だし、成績優秀、容姿も申し分ないのだが、
何を考えているのか分からない、と言う点でそのような対象になかったのだ。
…しかし、ないはずだったのに本当は意識していたのだろうか?
夢に出てきたと言うことは…
意識のどこかにそんな願望があったのだろうか?
「やだ///」
もう一度未夢は赤面し、唇をかんだ。
その時、
「未夢!!」
階段の下から未来の声がした。
「起きなさい!学校遅れるわよ!」
壁の時計を見ると八時を過ぎた所だった。
「きゃーー!!」
未夢は飛び上がった。
一時間目は8時半から始まる。
後三十分をきっているのだ。
大急ぎでパジャマを脱いでセーラー服に袖を通す。
長い髪を串でとかし鏡を覗き込んだ。
幸いにも寝癖はない!!
身支度を整えると未夢はかばんをつかんで部屋を飛び出した。
かばんの中身は前夜のうちに整えるのが未夢の習性である。
このように遅刻寸前の朝にはありがたい習慣だと自分でも思う。
しかし慌てるのはよくない。
未夢は勢いあまって二段飛ばしした階段を途中で足を滑らせた。
「きゃあ!!!」
ずだだだ。と未夢はお尻で弾みながら階段を下りることになった。
「いたた…。」
未夢は顔をしかめながらつぶやいた。
「正夢?」
「未夢?」
台所から顔を出したエプロン姿の優が未夢の階段を転げ落ちる音を心配して顔を出す。
「だいじょうぶかい?未夢」
「パパ。おはよう。大丈夫だよ!」
へへへ…と未夢はお尻をさすりながら守に笑顔を見せる。
「全くどじなんだから未夢は!」
新聞を読んでいた母、未来は食卓から言った。
「ママ…。」
「さぁ!早くパパが作ってくれた朝食を食べましょ!ママお腹ぺこぺこよ!」
「そんな時間ないよ〜!!」
「えっ?食べないのかい?」
心配そうな優の顔を見て未夢は言う。
「遅刻寸前なの!パパごめんね!」
「そうか。お弁当作ったから持っていきなさい。」
「ありがとう!」
未夢は叫ぶように言い、お弁当を受け取り家を飛び出した。
未夢の通う市立第四中学校は家から2キロほどの所だった。
商店街を駆け抜けて橋を渡る。
遅刻寸前の未夢には長い距離だった。
〜注意〜
この作品は以下の作品をリスペクトし
だぁ!だぁ!だぁ!設定ではどうなるか考えて書いたものとなります。
メディアワークス
「タイム・リープ・・・あしたはきのう」
著者 高畑京一郎