MmKk

7

作:あゆみ

 →(n)















どうして・・・どうして彷徨がここに?
それにあの表情・・・。
辛そうな表情・・・。
どうして・・・?






未夢が瑞樹さんに抱きしめられていた
未夢も抵抗していなかった
そうか・・・
未夢は瑞樹さんに憧れてたからな・・・

その場に居たくなくて逃げ出すみたいに公園から出てきてしまった・・・。
未夢の表情・・・驚いてたな…
フッ・・・そりゃそうか・・・ラブシーンを見られればそうだよな。






彷徨が何も言わずに立ち去ってしまった。
どうしてここに?
ううん・・・
今はそんな事どうでもいい
彷徨にあんな表情させた
私のせい?私が瑞樹さんに抱きしめられているのをみたから?
あんなに辛そうな表情をさせた事が心に響く
あの顔が焼きつく・・・








Mm・Kk

掛け橋(1)






「えっ・・・彷徨君?」
瑞樹が腕を放し、顔を上げる

「はい・・・。彷徨が今そこにいて・・・・」
「そこ?いないよ?」

あたりを見回して瑞樹が言う。

「いえ・・・そこにいたんですけど、急に後ろを向いて出て行ってしまって・・・」
「そうか・・・。僕がこんなことしたからかな・・・・」

瑞樹は唇をかんで言う。
そして少し考えていう



「ごめん未夢ちゃん追いかけてあげて!」
「えっ?」
「彷徨君を追いかけるんだ。多分僕達のことを誤解しているよ」
「でも・・・瑞樹さん・・・」
「僕は大丈夫だよ。さぁ!未夢ちゃん!彷徨君を追いかけるんだ」
「はい!」


未夢は瑞樹の側を離れて駆け出した。





僕のせいだ・・・・
このことであの二人の関係に何かあったら・・・
前から気づいていた。
あの二人はお互いに好きあっていると・・・。
おそらく、お互いに家族愛のようなものだと思っているかもしれないが
違う。
気づいてないだけなんだ。
あんなにお互いを大事にしているカップルははじめて見た
多分ネェちゃんもそこに惹かれるんだろう・・・
今の・・・このことが二人の関係を崩してしまうようなことになったら・・・
僕の不注意だ・・・
たのむ・・・間に合ってくれ・・・・















ここはどこだろう・・・・
何も考えずに歩いていたらこんな所に来てしまった。
学校?








ハァハァ・・・ハァ・・・
彷徨・・・どこに行っちゃったの?









あれは学校か?
とするとここは通学路か・・・
一面黄色だ。









彷徨・・・彷徨・・・










次第に沈み始める夕日
彷徨はその場所からなんとなく離れられなかった
そしてずっとイチョウの木を見上げていた



もうあたりが暗くなってきちゃう
彷徨帰っちゃったのかなぁ
でもさっき西遠寺に電話したけど誰も出なかったし・・・

ふと夕日の沈む方向を見る未夢
その先には学校があって


もしかしたら!



未夢は再び駆け出した


確証があるわけじゃない・・・
なんとなくだけど・・・
彷徨があそこにいる気がする・・・・















今何時だろう・・・
なんだかここから離れられない・・・
ずっとここにいる。
日が落ちてきたのに・・・

なんだ?
葉をこする音


ハァハァハァ・・・・・・

「未夢・・・・」
「か・・・・・・・彷徨。いた・・・・」


イチョウの木に寄りかかっていた彷徨は立ちなおし
息を切らしている未夢を向きなおす



「・・・・っはぁ〜・・・彷徨どうしてここにいるの?」
「ここにって?」
「どうしてこの町にいるの?」
「忘れ物を届けに・・・・」


と彷徨はペンダントを握った手を未夢のほうに向かって伸ばす


「忘れ物?・・・なに?」
「そんなことより・・・・。おめでとう・・・。」
「おめでとう?なにが?」
「晴れて瑞樹さんと恋人同士になったんだな」








あっ・・・・・またあの顔









「私と?瑞樹さんが?」
「あぁ・・・。」
「どうして・・・・?」
「未夢も気づいただろ?抱きしめられている所見たんだ・・・」
「あれは・・・・。」
「ずっと瑞樹さんは未夢の憧れだったからな・・・。」
「彷徨・・・」
「よかったじゃないか!」
「彷徨本気でそう思ってるの?」
「あぁ・・・。もちろんだよ」















風が吹き落葉のイチョウの葉が舞い上がる
彷徨に追い風となって髪がなびき
未夢は向かい風となって長い髪が流れる














「どうしてそんな顔してるの?」
「顔?」
「辛そうな、悲しそうな顔してるよ。彷徨」
「・・・・・」
「どうして?」








未夢は一歩前に歩み寄る



「その顔は私がさせちゃったの?」
「・・・・・・」
「もしそうなら、ごめんなさい・・・彷徨。」
「・・・・・なんであやまる。」











「私ね、彷徨。こっち来てから何度も彷徨のことを思い出してたの・・・・
ルウ君のことやワンニャー彷徨のことを・・・
いつも、この気持ちがわからなかった・・・・
でもね・・・一つ分かったことは寂しい、って気持ち
でも、いつまでもくよくよしててもしょうがないから!と思って生活してた。
彷徨は平尾町で頑張ってる。いつもどおりの生活をしてるんだ!私も頑張らなきゃ
ってね・・・。いろんなことを思い出したよ。いつも側に彷徨がいて時には意地悪な顔をするけど
微笑みかけていてくれる彷徨の姿が・・・。
それだけで頑張ってきたの。
でも、今の彷徨の顔は・・・。見ていて辛い・・・。
そういう風な顔をさせてしまっているのが私のせいなら・・・ごめんなさい。
変なことを言っているのは分かってる・・・
けど、彷徨には笑っていてほしい!私が見ていないときも!
私が見ているときも!
できれば側にいてその笑顔をずっと見ていたい!そう思ってる!
でもそれは無理だし・・・・
あれ?私何言ってるんだろう・・・?
瑞樹さんは・・・確かに憧れていた・・・だけど彼女がいるって聞いてもそんなにショックを受けない
自分が不思議に思えた・・・。
だけど、彷徨のその顔を見ているほうが何倍も、何十倍もショックで・・・。
彷徨には笑っていてほしくて・・・。
忘れられなくて・・・。
あれ?」














未夢も寂しいだって?
俺と同じ気持ちを抱えていた?
側にいたい?
俺も・・・俺もそう思ってる。
でもこれって・・・・・
この気持ちって言葉にするともしかして・・・・・・・・・・・・・・











続く・・・


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