作:あゆみ
気づいた・・・
俺は未夢がいなくなって寂しいことに
そんな感情未だこの俺にも残っていたのか・・・
おもちゃを取られた子供のように
親とはぐれた子供のように
俺は今
胸がぽっかりとあいている・・・・
キーンコンカーンコン
「お〜い彷徨〜!」
「何だよ三太。」
「何だよ彷徨、元気ないじゃん!」
「そうか?今日中古レコードフェアやってるけど行かないか?」
「・・・ん・・・・俺はいいや。なんかそんな気分じゃない・・・」
「え〜!!掘り出しもんがあるかもしれないのに!」
「・・・・・」
「・・・わかった!また今度な!」
「あぁ悪いな。」
雰囲気の異なる彷徨に気づいた三太はそれ以上触れずに去る。
・・・・どうしたんだよ彷徨・・・・
教室の片隅
・・・・彷徨君の様子がおかしいですわ・・・・
そう思ったのはクリスだった。
毎日毎日彷徨の様子をみているから分かる、
微妙な彷徨の雰囲気の違いをクリスは感じた。
彷徨君どうしたのかしら
体調でも悪いのかしら
それとも何か悩んでらっしゃる?
あんな彷徨君は始めて見ますわ
なぜ?
どうされたの?
彷徨君・・・
・・・・!!
未夢ちゃん?
未夢ちゃんがいないから?
気づくと彷徨君ため息を落として
窓の外を見ている
未夢ちゃんが外にいるから?
彷徨君のそばにいないから?
何を考えてらっしゃるの?
彷徨君・・・
彷徨君・・・
あっ!また・・・
窓の外を見ている
頬杖をついて空を、
いえ、空じゃないわ
未夢ちゃんを見ている?
探している?
彷徨君・・・
そんな、表情を見せるのは初めてですわね
そしてその表情をさせているのは未夢ちゃんのせいで・・・
せつなそうな顔をしないで
そんな彷徨君は見たくない
私の好きな彷徨君は
後姿が・・・・・・・・・・
私こんな気持ちははじめてですのよ
彷徨君を好きになって嫉妬を覚えた
彷徨君と話している女子を見て妬ましく思った
その子は誰?
笑いかけないで・・・
やさしくしないで・・・
どんどん醜い自分が出てきますの
いや!
こんな自分はいや!
・・・・・あぁ。体に力が入らない
どうするんだ俺、これから
未夢に会いたい
顔を見たい
声を聞きたい
そんな事考えてる
そういえばペンダント忘れていったんだよな
それを返さないと
どうせ忘れたことにも気づいていない
返しに行こう
そして告げようこの気持ち
さみしい・・・
さみしいって告げるのか?
なんで?って聞かれるだろうな
でも・・・
その答えが見つかっていない。
とにかく未夢に会いに行こう
まずはそれからだ。
次の休みの日・・・・・・
「あっ。もしもしおばさんですか?西遠寺・・・・彷徨です。」
「えぇ。いや。そんな。」
「あの・・・未夢引っ越すときに忘れ物をしたみたいなんです。」
「えぇ・・・。えぇ。今からそちらに伺います。」
「いえ。ちょうどそっちに用事がありますから。」
「はい。・・・・はい。それじゃあ伝えておいてください。失礼します・・・・」
ガシャン。
受話器を置いてフッーと一息つく。
・・・行くか。
彷徨は駅に向かい、電車に乗った。未夢の家へは一度掃除でいったことがある。
ひさしぶりだな。
どんな顔するかな。
駅に着く。
ここが未夢の町・・・。
とり合えず家に行くか。
ピーンポーン
「はぁい!!」
中から未来の声がした。
「あら。彷徨君いらっしゃい。」
「未夢・・・いますか?」
「それがごめんなさいね。彷徨君が電話くれたとき未夢出かけちゃったみたいなのよ。」
「そうですか。」
「でも近所の公園に行くって書置きがしてあったからそこにいると思うわ。」
「わかりました。公園ってどこにあるか教えてくれますか?」
「えぇ。家で待ってれば?」
「いや。散歩がてら行ってみます。」
「そう。それじゃあその道を・・・・・・・・。」
「はい。分かりました。じゃあ。これで・・。」
「また家に寄ってね!」
笑顔で未来が送り出す。
公園にいる。
未夢が
もうすぐ会える・・・
公園ってここだよな・・・?
公園に着いた彷徨はあたりを見回す。
と脇のベンチの陰に人影を見つける。
あっ!未夢だ・・・
その人影はベンチの側でかがんでいる。
金色の髪、ほっそりとしたからだ
遠くから見てもそれは未夢だとわかった。
「未・・・・・・・・・」
「!!」
誰かいる。
未夢だけじゃない。陰になって気づかなかったけど未夢のほかに人がいる。
何かを話しているみたいだ。
急に未夢の顔が曇ったことに気づいた。
・・・・どうした未夢・・・・
側に駆け寄る。
そんな顔してどうしたんだ
誰と話してる
「・・・・・・・んきだしてください!次の恋ではそばにいてくれる子がいますよ!だって素敵だもん!」
「・・・・・×××?」
「えっ?!」
「・・・・・・・・××××?」
何を話してるんだ?
未夢。誰と話してる。
「大丈夫です。・・・・そばにいます・・・。」
~×××・・・・」
そのとき未夢の体がベンチの方に引きずられるように何かに引っ張られた。
そっとのぞくと未夢の腰に腕を回して抱き寄せている人物がいる。
男だ!!
誰・・・・・。
突然抱きしめられる形になった未夢は驚いているようだが抵抗していない。
「瑞樹さん・・・・」
瑞樹さん?!
みかんさんの?
ガサッ・・・・・
彷徨はその光景をはっきり見た。
瑞樹さんが・・・
未夢を・・・・
抱きしめている・・・・・
座った瑞樹さんが未夢を引き寄せて抱きしめている・・・・
抱きしめられていた未夢がふと顔を上げる・・・
ふと、横に視線を向けた先に・・・・
「かなた・・・・・・・・・・」
その場を見ている彷徨が居た。
続く・・・