大掃除の後で…

1.

作:ロッカラビット

 →(n)




「あった〜〜!!こんな所にあったんだ〜。ずっと見つからないから、なくしたと思ってたよ〜、良かったよぉ。」


年の瀬も押し迫り、西遠寺では朝から大掃除が行われている。

歓喜の声を上げる未夢の手にはシルバーのペンダントが握られていた。


「未夢さ〜ん、お部屋のお掃除が終わったら台所を手伝って…」

「あっワンニャーお疲れ様〜。」


ワンニャーの言葉を遮ってニコニコ顔の未夢が声を掛ける。


「どうされたんですか?先程まで“大掃除嫌だよ〜”と嘆かれていたのに、そのご機嫌な様子…。怪しいですぅ〜、隠れてお菓子でも食べていたのでは…。」


ジトーと、見つめるワンニャーの視線に違う違うと首を振る未夢。

これが見つかったのと手の中のペンダントを見せれば、キョトンと不思議そうな顔になるワンニャー。


「これね、前の学校を離れる時に友達がくれたんだけど、引っ越すときにどこかに紛れちゃって…。ずっと探していたんだけど、なかなか見つからなくて諦めてたんだよぉ〜。」


手の中のそれを大事そうに包み、優しい眼差しを向ける未夢の姿にワンニャーもそうなんですかぁと納得した様子。


「あれ?これ、もしかしてロケットペンダント?」

「え?ロケット?なんですかそれは。まさか宇宙へ行けるんですか?」


未夢の言葉にワンニャーが反応する。


「あっ違う違う、中に写真が入れられるようになっているペンダントのことだよぉ。これも、えっと、こうやって開けると………。」


ペンダントを開いた未夢が固まる。


「ん?どうされたんですか?」


ワンニャーが中の写真を覗こうとした瞬間。


「あ〜〜い!!」


いつの間に入ってきたのかご機嫌なルウが、未夢の机の上にあった本をふわふわと浮かせ始めた。


「あっルウ君、だめだめ〜、それやっと片付けた所なんだから〜。あぁ〜ぐちゃぐちゃに〜。」

「ルウちゃま、ダメですよ〜!本はオモチャじゃないんですから〜。あぁ〜〜痛いですぅ〜、ルウちゃま〜本を頭に落とすなんて、ひどいですぅぅ〜。」

「きゃ〜い、あ〜い!」


未夢とワンニャーの様子が面白いのか、さらにご機嫌になるルウ。

本だけでなく近くにあった未夢の服まで浮かばせて、そのまま廊下へ出て行く。


「あっ待って、ルウ君。返してよぉ〜。」

「待って下さいルウちゃま〜。それは未夢さんのですよぉ〜。」


慌ててルウの後を追う未夢とワンニャー。

先ほどまで手の中にあったペンダントは、開かれたまま未夢の机に放置されていた。




この作品が今年最後になります。

皆様、大掃除はお済ですか?

私は…まぁなんとかなるでしょ(笑)

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