作:ロッカラビット
「あった〜〜!!こんな所にあったんだ〜。ずっと見つからないから、なくしたと思ってたよ〜、良かったよぉ。」
年の瀬も押し迫り、西遠寺では朝から大掃除が行われている。
歓喜の声を上げる未夢の手にはシルバーのペンダントが握られていた。
「未夢さ〜ん、お部屋のお掃除が終わったら台所を手伝って…」
「あっワンニャーお疲れ様〜。」
ワンニャーの言葉を遮ってニコニコ顔の未夢が声を掛ける。
「どうされたんですか?先程まで“大掃除嫌だよ〜”と嘆かれていたのに、そのご機嫌な様子…。怪しいですぅ〜、隠れてお菓子でも食べていたのでは…。」
ジトーと、見つめるワンニャーの視線に違う違うと首を振る未夢。
これが見つかったのと手の中のペンダントを見せれば、キョトンと不思議そうな顔になるワンニャー。
「これね、前の学校を離れる時に友達がくれたんだけど、引っ越すときにどこかに紛れちゃって…。ずっと探していたんだけど、なかなか見つからなくて諦めてたんだよぉ〜。」
手の中のそれを大事そうに包み、優しい眼差しを向ける未夢の姿にワンニャーもそうなんですかぁと納得した様子。
「あれ?これ、もしかしてロケットペンダント?」
「え?ロケット?なんですかそれは。まさか宇宙へ行けるんですか?」
未夢の言葉にワンニャーが反応する。
「あっ違う違う、中に写真が入れられるようになっているペンダントのことだよぉ。これも、えっと、こうやって開けると………。」
ペンダントを開いた未夢が固まる。
「ん?どうされたんですか?」
ワンニャーが中の写真を覗こうとした瞬間。
「あ〜〜い!!」
いつの間に入ってきたのかご機嫌なルウが、未夢の机の上にあった本をふわふわと浮かせ始めた。
「あっルウ君、だめだめ〜、それやっと片付けた所なんだから〜。あぁ〜ぐちゃぐちゃに〜。」
「ルウちゃま、ダメですよ〜!本はオモチャじゃないんですから〜。あぁ〜〜痛いですぅ〜、ルウちゃま〜本を頭に落とすなんて、ひどいですぅぅ〜。」
「きゃ〜い、あ〜い!」
未夢とワンニャーの様子が面白いのか、さらにご機嫌になるルウ。
本だけでなく近くにあった未夢の服まで浮かばせて、そのまま廊下へ出て行く。
「あっ待って、ルウ君。返してよぉ〜。」
「待って下さいルウちゃま〜。それは未夢さんのですよぉ〜。」
慌ててルウの後を追う未夢とワンニャー。
先ほどまで手の中にあったペンダントは、開かれたまま未夢の机に放置されていた。
この作品が今年最後になります。
皆様、大掃除はお済ですか?
私は…まぁなんとかなるでしょ(笑)