作:ロッカラビット
「散らかしたねぇ…。」
「だなぁ…。」
凄まじい状態の部屋を片付けながら、少し反省する二人。
戦いを終えて皆でケーキを食べる頃には、遊び疲れたのかルウはうとうととし始めていた。
ケーキを食べ終えると、二人は片付けを引き受けてワンニャーにはルウを布団へ寝かしに行ってもらった。
「でも、楽しかったね。ルウ君もあんなに喜んでたし。」
「そうだな。こんなこと、早々出来るもんじゃないしな。」
「片付けのこと考えたら、二度とやりたくないよねぇ。」
辺りを見渡して、思わず笑う二人。
「そういえば彷徨、着てくれたんだねぇ。」
「あぁこれか?誰かさんが無理やり着せたようなものだけどな。」
「むむ〜なにを言うかぁ〜?無理やりだなんて、してませんよぉ。
……ふふふ。でも、彷徨、似合ってるよ。」
ニコッと笑って小首を傾げてこちらを見る未夢に、固まる彷徨。
「・・・‥…。」
何も言い返さない彷徨に、自分が言った言葉を思い出して急に顔を赤くして俯く未夢。
私…何、言ってるんだろ…と気が付いた時には既に遅しで…。
「あっ、彷徨、さっきのは、えっと。あの。」
「未夢も似合ってんじゃん。」
慌てて言葉を探す未夢を遮って、横を向いた彷徨がボソッと告げる。
その言葉に、もっと顔を赤らめる未夢。
「あっ、ありがと。」
小さい声でお礼を言うのが精いっぱいだった。
その後二人はもくもくと部屋を片付け、あっという間に綺麗になりました…。
*********
「終わったよぉ〜。なんとか片付いたよぉ〜。」
テーブルに突っ伏して、ふにゃふにゃと溶けていく未夢。
「お疲れさん。」
彷徨の言葉と共にコトっとテーブルに音がして、未夢が顔をあげる。
「あっお茶。ありがとう彷徨。」
「けど、次は大掃除が待ってるんだけどな。」
「うぅ〜、言わないでよぉ〜。せっかく今終わったとこなんだからぁ〜。」
恥ずかしさを誤魔化して、未夢のお礼を聞き流す。
そんな彷徨の気持ちなど気付くはずもない未夢は、大掃除のことを考えてまた項垂れる。
未夢の様子が可愛くて思わず笑みがこぼれる彷徨。
幸い未夢はこちらを向いていない。
ポケットに突っ込んだ手がそこにある何かを探す。
優しくそっと掴み取ると、静かにポケットから取り出す。
「未夢。これ、やる。」
「へ?」
未夢の頭にポンッと小箱を置く彷徨。
驚きながらも、それに手を添える未夢。
「いいの…?」
「気に入らなくても返品すんなよ。」
頬を染めて尋ねる未夢から視線をそらして、何か言わなきゃ…と、出てくる言葉に彷徨自身が落胆する。
もうちょっと気の利いた言葉、言えないのかよ…と自身に言うも後悔先に立たず。
そんな彷徨に、ふふふっと笑った未夢は、部屋の奥に隠してあった袋をとってくる。
「はい…。これ。」
「え?でも、昨日、もらったぞ?」
「昨日のはクリスマスプレゼント。今日のは誕生日プレゼントだよ。」
赤く染まった頬はそのままにニコッと笑う未夢に、照れ臭そうに受け取る彷徨。
昨日もらったプレゼントはグレーのマフラーだった。
花小町家からの帰り道、さっそく巻いたそれは、心も温まる不思議なマフラーだった。
「じゃあ、一緒に開けよ?」
未夢の提案に、縦に首をふる。
「せーの。」
未夢の声に合わせて袋を開ければ、中に見覚えのあるグレーのかたまり。
取り出してみれば…。
「手袋…。」
未夢は未夢で小箱を開けてびっくり。
「素敵…。」
手に取って首元にあてると、彷徨を振り返って聞いてみる。
「どうかな?似合う?」
彷徨からのプレゼントは、さくら色の小さな星と青色の小さな惑星が輝くペンダントだった。
「ありがとう。彷徨。とっても素敵だよぉ。大事にするね。」
彷徨の返事を聞かずにお礼を言うと、小さな星と惑星を手にとって嬉しそうに眺める未夢。
「おぅ…。あっ、ありがとう、未夢。これ、昨日のとセットなんだな。」
「うん。色々悩んだんだけどお店で見つけて、なんとなく彷徨に似合う気がして…。
あっ、でも無理して使わなくてもいいからね。」
恥ずかしそうに言葉を足して、えへへと笑う未夢に彷徨が口を開く。
「使うよ。大切に使わせてもらいます。ありがとう。あと、それ…。」
「ん?」
「似合ってる。気に入ってくれて良かった。」
恥ずかしさが込み上げる。
これ以上は無理だなと自身を見極めて、台所へ姿を隠す。
彷徨が赤くなった顔を冷ましに行くと同時に、言われた言葉を理解した未夢が顔を真っ赤にしていた。
『『なんでこんなにドキドキするのよぉ(してんだ)…』』
二人の心の叫びは、二人にしか聞こえず…。
***その頃ワンニャーは***
「今日は楽しかったですねぇ、ルウちゃま。」
布団に寝かしつけたルウのおでこをそっと撫でるワンニャー。
「ママ…。パパ…。サンタしゃん。キャーイ♪」
「うふふふふ。ルウちゃま、夢の中でも未夢さんと彷徨さんと遊んでいるんですねぇ。
・・・・・・‥‥‥……。
そんなぁ〜〜〜!!
ルウちゃまぁ〜〜〜!!
わたくしも一緒にパーティーしたじゃないですかぁ〜〜!!
ひどいです〜!わたくしも、夢に出してくださいよぉ〜!!」
小声で嘆くワンニャーの叫びは、誰にも届くことはありませんでした。
ハッピーメリークリスマ〜ス☆彡
せっかくの奏しゃんのイラストを台無しにして、本当にすみません。
土下座して謝ります。。。
さて、あと数時間でクリスマス終わりだ〜。
なんとか間に合ったぜ…。
今作品の構想&執筆に1時間半という自己ベストをたたき出し、自分でびっくりしておりますw
これも奏しゃんのイラストが素敵だったからですね。
え?ゴマすりじゃないですよ?w
こうやって許してもらおうだなんて…てへへw
ご覧いただき、ありがとうございました。