サンタ・クロスのプレゼント

5.

作:ロッカラビット

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「散らかしたねぇ…。」

「だなぁ…。」


凄まじい状態の部屋を片付けながら、少し反省する二人。

戦いを終えて皆でケーキを食べる頃には、遊び疲れたのかルウはうとうととし始めていた。

ケーキを食べ終えると、二人は片付けを引き受けてワンニャーにはルウを布団へ寝かしに行ってもらった。


「でも、楽しかったね。ルウ君もあんなに喜んでたし。」

「そうだな。こんなこと、早々出来るもんじゃないしな。」

「片付けのこと考えたら、二度とやりたくないよねぇ。」


辺りを見渡して、思わず笑う二人。


「そういえば彷徨、着てくれたんだねぇ。」

「あぁこれか?誰かさんが無理やり着せたようなものだけどな。」

「むむ〜なにを言うかぁ〜?無理やりだなんて、してませんよぉ。
……ふふふ。でも、彷徨、似合ってるよ。」


ニコッと笑って小首を傾げてこちらを見る未夢に、固まる彷徨。


「・・・‥…。」


何も言い返さない彷徨に、自分が言った言葉を思い出して急に顔を赤くして俯く未夢。

私…何、言ってるんだろ…と気が付いた時には既に遅しで…。


「あっ、彷徨、さっきのは、えっと。あの。」

「未夢も似合ってんじゃん。」


慌てて言葉を探す未夢を遮って、横を向いた彷徨がボソッと告げる。

その言葉に、もっと顔を赤らめる未夢。


「あっ、ありがと。」


小さい声でお礼を言うのが精いっぱいだった。


その後二人はもくもくと部屋を片付け、あっという間に綺麗になりました…。


*********



「終わったよぉ〜。なんとか片付いたよぉ〜。」


テーブルに突っ伏して、ふにゃふにゃと溶けていく未夢。


「お疲れさん。」


彷徨の言葉と共にコトっとテーブルに音がして、未夢が顔をあげる。


「あっお茶。ありがとう彷徨。」

「けど、次は大掃除が待ってるんだけどな。」

「うぅ〜、言わないでよぉ〜。せっかく今終わったとこなんだからぁ〜。」


恥ずかしさを誤魔化して、未夢のお礼を聞き流す。

そんな彷徨の気持ちなど気付くはずもない未夢は、大掃除のことを考えてまた項垂れる。

未夢の様子が可愛くて思わず笑みがこぼれる彷徨。

幸い未夢はこちらを向いていない。

ポケットに突っ込んだ手がそこにある何かを探す。

優しくそっと掴み取ると、静かにポケットから取り出す。


「未夢。これ、やる。」

「へ?」


未夢の頭にポンッと小箱を置く彷徨。

驚きながらも、それに手を添える未夢。


「いいの…?」

「気に入らなくても返品すんなよ。」


頬を染めて尋ねる未夢から視線をそらして、何か言わなきゃ…と、出てくる言葉に彷徨自身が落胆する。

もうちょっと気の利いた言葉、言えないのかよ…と自身に言うも後悔先に立たず。

そんな彷徨に、ふふふっと笑った未夢は、部屋の奥に隠してあった袋をとってくる。


「はい…。これ。」

「え?でも、昨日、もらったぞ?」

「昨日のはクリスマスプレゼント。今日のは誕生日プレゼントだよ。」


赤く染まった頬はそのままにニコッと笑う未夢に、照れ臭そうに受け取る彷徨。

昨日もらったプレゼントはグレーのマフラーだった。

花小町家からの帰り道、さっそく巻いたそれは、心も温まる不思議なマフラーだった。


「じゃあ、一緒に開けよ?」


未夢の提案に、縦に首をふる。


「せーの。」


未夢の声に合わせて袋を開ければ、中に見覚えのあるグレーのかたまり。

取り出してみれば…。


「手袋…。」


未夢は未夢で小箱を開けてびっくり。


「素敵…。」


手に取って首元にあてると、彷徨を振り返って聞いてみる。


「どうかな?似合う?」


彷徨からのプレゼントは、さくら色の小さな星と青色の小さな惑星が輝くペンダントだった。


「ありがとう。彷徨。とっても素敵だよぉ。大事にするね。」


彷徨の返事を聞かずにお礼を言うと、小さな星と惑星を手にとって嬉しそうに眺める未夢。


「おぅ…。あっ、ありがとう、未夢。これ、昨日のとセットなんだな。」

「うん。色々悩んだんだけどお店で見つけて、なんとなく彷徨に似合う気がして…。
あっ、でも無理して使わなくてもいいからね。」


恥ずかしそうに言葉を足して、えへへと笑う未夢に彷徨が口を開く。


「使うよ。大切に使わせてもらいます。ありがとう。あと、それ…。」

「ん?」

「似合ってる。気に入ってくれて良かった。」


恥ずかしさが込み上げる。

これ以上は無理だなと自身を見極めて、台所へ姿を隠す。

彷徨が赤くなった顔を冷ましに行くと同時に、言われた言葉を理解した未夢が顔を真っ赤にしていた。


『『なんでこんなにドキドキするのよぉ(してんだ)…』』


二人の心の叫びは、二人にしか聞こえず…。


***その頃ワンニャーは***


「今日は楽しかったですねぇ、ルウちゃま。」


布団に寝かしつけたルウのおでこをそっと撫でるワンニャー。


「ママ…。パパ…。サンタしゃん。キャーイ♪」

「うふふふふ。ルウちゃま、夢の中でも未夢さんと彷徨さんと遊んでいるんですねぇ。
・・・・・・‥‥‥……。
そんなぁ〜〜〜!!
ルウちゃまぁ〜〜〜!!
わたくしも一緒にパーティーしたじゃないですかぁ〜〜!!
ひどいです〜!わたくしも、夢に出してくださいよぉ〜!!」


小声で嘆くワンニャーの叫びは、誰にも届くことはありませんでした。


ハッピーメリークリスマ〜ス☆彡




せっかくの奏しゃんのイラストを台無しにして、本当にすみません。

土下座して謝ります。。。

さて、あと数時間でクリスマス終わりだ〜。

なんとか間に合ったぜ…。

今作品の構想&執筆に1時間半という自己ベストをたたき出し、自分でびっくりしておりますw

これも奏しゃんのイラストが素敵だったからですね。

え?ゴマすりじゃないですよ?w

こうやって許してもらおうだなんて…てへへw


ご覧いただき、ありがとうございました。

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