七月の星達

【1.歪み】

作:ロッカラビット

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初めまして。ロッカラビットと申します。
原作、アニメ、どちらも好きですが、今回の作品はアニメの二人をイメージしています。


トゥルルルルルル―――

「はい、西遠寺です。あ、小西か。ちょっと待って―――
おーい未夢ー!小西から電話ー!」

「はーい!」ドタドタドタ

「あっもしもし綾ちゃん?うん、え?七夕?織姫?え?綾ちゃん?何?え?西遠寺に?ちょっと待って綾ちゃん?何?」

ピンポーン

「あっ誰か来たみたい。綾ちゃんゴメンまたかけ直すね。」

ドタドタドタ

「もう彷徨どこ行ったのよー。はいはーい、今開けまーす。」

ガラガラガラ

「え?綾ちゃん?」

「どうもー未夢ちゃん!もうどうにもこうにもまとまらなくて、これじゃ埒があかないから来ちゃった。やっぱり頭の中で考えるだけじゃ駄目だと思うのよね。実践実行実力行使?自力でゴー!なのよ!」

「え?綾ちゃん?よくわかんないよー。プチみかんさんになってるよー。」

とりあえずルウ君とワンニャーはお部屋でお昼寝中だから良かったけれど、困ったな〜。こうなっちゃうと綾ちゃん止まらないんだもん。

未夢がどうしようかと頭を抱えているところへ、彷徨がやってきた。

「未夢?誰か来たのか?・・・・・・・。小西?」

「あっ西遠寺君。ちょうどいい所に!やっぱり西遠寺君と未夢ちゃんよね。うんうん!これしかないわ!そうなのよ!会えない時間が二人を近付ける、これこそが純愛への第一歩なのよ。よーし!決めた!!」

「「え?何を?」」

「二人ともこれを着て!」

「「え?」」

「いいから、いいから、着るだけだから〜!」

「彷徨〜!どうしよう?」

「この状態の小西には抵抗しても無駄だからなー。ルウたちが起きる前に帰ってもらう為にも、とりあえず着るか。」

「はぁ。今日はのんびり過ごせると思ったのにな〜。」

二人は小西から預かると自分たちの部屋へと消えていった。


***数分後***


「小西〜?一体これは何なんだ???」

「綾ちゃ〜ん!着替えたけれど、これは?」

「わーーーー!やっぱり似合うね〜!!西遠寺君に未夢ちゃん!お似合いだよ〜!!うんうん、これで行こう!いいアイデアが浮かんで来たわ〜。そうよね、こうやって実物を見ると内容に奥行が出てくるわ。うんうん、そうよー。やっぱり七夕といったらベタに織姫と彦星なのよ。でもでも一目惚れから始まるベタな展開じゃなくて、二人のように最初はケンカして『なんなのよー彦星のバカー』『織姫だって?どこが姫なんだ?』なんて言い合いしているうちに心が近付いて…うん!!見えたわ!これでいけるわ!今年の全国演劇大会は優勝間違いなしだわ!」

「え?織姫?」

「彦星?」

未夢と彷徨が顔を見合わせる。お互いに目が合い、着ている衣装が織姫と彦星であることに気が付き顔を赤くしてパッと視線を逸らした。

「じゃ、ありがとね〜!未夢ちゃん!西遠寺君!私これから家に帰ってまとめるから〜!じゃあね〜!!あっ服はまた学校で〜!」

そう言いながら綾は凄いスピードで西遠寺を去って行った。


「一体何だったんだ?」

「う〜そんなこと聞かれてもわかんないよ〜。」

「はぁ。また何かに巻き込まれるのは確実だな。」

「そうだねぇ。……。綾ちゃんには彷徨も勝てないんだね?」

何かに気付いたようにクスッと笑いながら言う未夢。

「今までのことがあるからな。下手に逆らうとどんどん事態が悪化するし、今日は家に来られて逃げ場もなかったからな。にしても、この格好。」

「なんだか大変だったけど、この衣装は可愛いなぁ。織姫様かぁ。」

未夢が嬉しそうに笑い、自分の衣装を見ながらクルッと回った。その姿に彷徨は思わず見惚れ、そんな自分に気付いて赤くなった頬を隠すように顔に手をあてた。そんな彷徨の様子に気付くはずもない未夢。

「ねぇ彷徨!ルウ君にも見せたいから、もう少しだけこの衣装着てちゃダメ?」

淡い桜色の織姫衣装を身にまとい、懇願するように見つめる未夢。

「……。そうだな。もうすぐ七夕だし、この衣装着てルウにお話を読んでやるか。」

なんてルウの為と言いながら、自分自身がもう少し未夢の織姫姿を見ていたいと思う彷徨だった。


と、その時―――

ボワーーーン

「え?わっ!何???」

急に未夢の後ろに黒い影が現れたかと思うと、勢いよく未夢を吸い込み始めた。

「時空のひずみ?」

彷徨は驚くと同時に未夢の手を掴んで引っ張った。しかし抵抗むなしく二人とも時空のひずみの中へと吸い込まれていった。



とりあえず長編の1話目をアップです。
この作品は実は2作目なんです。出来れば七夕頃にと思って書き始めたのですが…。
1作目が上手くまとまりそうにないので、スラスラ書けそうなこちらからアップします(笑)

地道にアップ予定ですので気長に読んでいただければ幸いです(汗)

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