作:杏
『月咲きの丘』
あとがきと、作者の見解。とゆーか、書き切れなかった裏話。
こんにちは。杏でございます。
いつもご愛読いただきまして、ありがとうございます。
また、2013年8月4日、このシリーズの7話までUPした段階で、杏の作品ののべ閲覧数が10000を超えました。5月の登録からまだ2ヶ月半。
重ねて感謝いたします。
今回の『月咲きの丘』、各話ごとの後書きは入れておりません。
その場その場の雰囲気を大事にしたかったからです。
タイトルとあとがきがなければ、さくさく進むんだというのもわかりました(^^;
この場で長々とあれこれ語ろうと思います。よろしければお付き合いくださいませ。
はじめに。
このお話の原案は、ポルノグラフィティ『カルマの坂』。
この曲を聴きながら、常々その情景を考えておりましたが、だぁ!の二人でこの世界を描くことは自分でも思ってもみなかったことです。
ただ、結末だけは。悩みました。
プロットを構成しながら、下書きをしながら、カナタが少女を見つける9話を上げるまで、両方の結末を想定し、書き上げては、書き直し。歌詞通りか、共に生きるか。
“最後の一振りを少女に。”
どうしてもそれを書くことができずに、このような終わりを迎えました。
子供たちの境遇もかなり違います。
ご容赦ください。
さてさて、このお話は今までのものと全く違った世界観。
書くと決めてから一晩でプロット〜下書きを仕立て、パソコンで仕上げるまで1週間…かかってないかな?
最後まで書き上げてから、手直しをしつつ、書棚に上げていきました。
苦労もありましたが、だからこそ動かしやすいというか、自由に設定を組めて楽だった部分もあります。
そして、今までになく漢字が多いです。私の中に、それぞれ漢字の持つイメージや前後の単語とのバランスで、ここの単語はひらがなで、こっちは漢字で、みたいなのがあるのですが、
パッと見て、流れ的にも、読めそうなものは極力漢字を遣いました。多いのだと「暫く」とか、「尤も」「兎に角」「顰める」「窘める」「疎ら」「呷る」あたりですかね。
あ、セリフは別です、メーサはオールひらがなですし。キャラクターに見合ったものを遣っています。
サンタはひらがななのに、カナタは漢字、なんて単語もあるかもしれませんネ。
「取り敢えず」は字面が気に喰わなくて、ひらがなです(笑)
間違いのないように、意味を確認しながら書きましたが、漢字間違ってたらスミマセン。よくやるんです、漢字を感じとか(^^;
ルゥくん、ワンニャー全く出てきません。ただでさえ、私のお話では出番少ないのに。。
あ、でも、あのメイドさんはワンニャーの“若奥さん”がイメージです。
もうちょっと若くして…(笑)
オリキャラの名前はやっぱりテキトーです。今回はカタカナ、“音”だけだったので、響きで決めました。
紹介…するほど設定決めてないので、まぁ子供たちに関しては作中にあった感じです。
ナナミがカナタを呼び捨てにしてますね。幼馴染みだったら、こうなってるんじゃないかな、というのと、ちょっとだけポスト未夢的にしたかったのでそうさせました。
彼女はカナタが好きなんじゃないかな、と思います。が、それを知るのはアヤだけ。
こっちのカナタはそーゆー方面とっても鈍いと思います。子供たちのことで頭いっぱいだろうし。
新しいオモチャを目にしたときも、少女を助け出したときも、少し違和感を感じたくらいで、それが何かは特に気に留めていません。
この先の二人は、ミユが先に恋心に気付くのでしょう、きっと。
ジークさんは…とりあえずイケメン。20代後半〜30代半ばくらいの若き兵団長。腕も頭もいいけど、調子に乗るタイプ。だから捕まったんだと思う(−x−;
英雄への恩義もあるけど、個人的にカナタが気に入ったから力になった部分が大きいと思います。もちろん、任務もあったはず…ですが。
アンサダーグのおじちゃんが、意外と出番なくて…(。_。;
夜空にワインをかざしたあのくだりで、比喩的に少女を穢した事をさしました。暗喩にも暗喩すぎて、伝わらないかもですね(・・;
だってこれ以上…書けなかったんだもん。。
この人は無事お縄についたのでしょう。
カナタに見届けに行かせるつもりでしたが、憂さ晴らしと言った彼らにそこまでの執着心はなさそうなのでやめました。
前反乱軍、今回の反乱について。
カナタが少女に語ったのが大方。彼が誰から訊いたのか?ジークと、ナナミ、アヤのお父さんあたりじゃないでしょうか。
町の人間は、英雄の助けた捕虜がジークであること、国の兵だということを知りません。ジークは前者だけをカナタに明かし、前反乱軍の敗北の経緯を訊かせたのです。
ただ、知るべきだと考えたから訊かせたのであって、その子供たちに何かさせようとは思っていない。カナタが動き出したことに、ジークも少し後悔はあったのではないかと思います。
そして、ジークを助け出した功績とそのジークからの情報、英雄たちを殺したことで国の目が厳しくなり、アンサダーグが少し大人しくなった。
それこそが、反乱が失敗に終わったのに殺された男たちが英雄と呼ばれた所以。でなければ、反乱なんてしなければよかったとなり、子供たちは迫害されていたでしょう。
それでも、子供たちが大人に思うのは、何故自分たちの親だけが殺されたのか?
カナタは自分も疑問に思いながら、それ以上に、子供たちに説明してやれないことをもどかしく思い、行きつく納得いかない答に葛藤していたことだと思います。
だからこそ、カナタは無謀であろうとも、サンタと二人での反乱を決めていたのです。
サンタもそれに異はなかった。でも彼の方が柔軟で、認められない大人たちでも、同じ志に向かえるのなら集まってもいいのではないかと思っていた所があります。
但し、己の背中を預けられるのはカナタだけではあるけれど。という感じ。
ジークの助言があったから、カナタは何もかもを予測して大人を巻き込んだ軍を立ち上げました。
チームを奇数人数で編成したのは分離を避けるため。大人たちも一人、二人でかかっても敵わないのはわかっているから。
二分できずに優劣が出来る方が、それを回避できるのではないかと。そうなってしまった時には、少数の方が危険になりますが。大人の心理に先の一手を打ったのだと思います。
さぁ、そうしながらも、実は最後にはサンタ、ルクトと3人だけでの作戦を決めています。
決して大人たちに害がある策ではないけれど、大人たちも含めて、してやったり、となるように。だってこれは憂さ晴らし。
反発派が火を放たなくても、彼らは同じ結果を得ていたはずです。
それから、ひとつだけ。他に当てがなく、そこに留まりその業火に命を棄てた少女ももしかしたら。いるかもしれないな、と私は考えています。
彼はそれも踏まえて、火を放つことをしなかったのだと思います。廃材で出来た装置を時限式にしてたくさん作る方が、どう考えても大変ですから。
最終話。
エピローグではなくプロローグ。
この先のお話は書きませんが、これが彼らの始まりであって欲しいと思ってそうしました。
ミユの荷物の中には、夜に着せられる上質な服が入っていて、彼女は迷いなくそれを売ろうと言います。メイドの餞別も返せませんでしたね。もちろん、あのスパイさんはそのつもり。
ジークの地図にも、いくらかのお金や食糧などがあったでしょう。それを元手に7人は旅をします。
小さな村の外れでの新しい生活。
シオンを始め、子供たちがミユにべったりになりますね。
ミユも暫くは、その透明な笑顔に戸惑って、葛藤するでしょう。此処に居てはいけないと、飛び出しそうです。その度に、きっとカナタが大丈夫と包んでくれるのではないでしょうか。
「その涙がまだキレイだと思ったから助けたんだ」
私の葛藤を匂わせた、カナタの言葉です。彼にも、少女の瞳の色次第で、その刃を振るう覚悟はあった。
結末は、歌詞通りの可能性もありました。どっちにも転べるように書き進めて、両方考えて、でも書けなくて。
私はこれでよかったと思っています。
お付き合いありがとうございました。
2013.08.06 杏