残暑見舞いに西遠寺

第一話

作:

 →(n)




「ぎぃやぁぁぁぁ―――――!!!!」

「ふにゃぁ!??」
「!?」


静まり返った西遠寺。
突然の奇声のもとへ、ここに住む者たちが集まった。




「みっっ未夢さん!? どうなさったんですか!」


「何だよ、真夜中に…」
そこから一番離れた部屋に居た彷徨が顔を出したとき。
静寂を取り戻しつつある空間に二度、柱時計が邪魔をする。

「ワ、ワンニャー……かな、た…」

声の主、未夢はその部屋から這い出し、よたよたと彷徨の背後へまわる。
ようやっと暗闇が眼に馴染み、彼女が青ざめていたのが見て取れた。
「どうし…」


チリン、チリチリン―――…

震える手で彷徨のシャツを掴んだ未夢。
彼女に何があったのか。
訊ねようとした矢先、覚えのある懐かしい音を聞いた。

「未夢、おまえ…何見た?」
「え……?」


彷徨の不審な言葉に、未夢の身体がびくりと震えた。
「お、おいっ」
「未夢さんっ!」
瞳を小さくして彷徨を見上げた未夢は、床へと落ちる。

「…な、なにそれ…」


「あ、………悪い、気にすんな」
「気になるわよぉ…っ」

今にも涙を零しそうな目で彷徨に縋り付く。
支えられた腰の手に気が付く余裕もなく、ただ怯えていた。

「…いいから」
「彷徨…?」


「何でもない。 …あとは俺に任せて、忘れて寝ろ」

空いた片手で未夢の目元を覆う。
「かな…」
するりと。
僅かな余力で握りしめていた彷徨のシャツから未夢の手が落ちた。


「か、彷徨さん……?」
「…ワンニャー」
「は、はいっっ!」

「おまえらの部屋にもう一組、布団あったよな? それに寝かせてやってくれ」
「み、未夢さん、大丈夫ですか? 眠ってらっしゃるだけですか?」
「―――…」

眠った未夢を片腕に抱えたまま。
部屋の隅々まで、何かを探すように目を凝らす彷徨。
意識はすべてそちらに向いているようで、ワンニャーの声はまるで聞こえていない。

「彷徨さんっ!」

「…あぁ、悪い。 眠ってるだけだよ。 心配ない」
「で、では、お布団を敷いてきます、ね…」



自室の入り口でワンニャーが振り返ったとき。
床に散らされた未夢の髪でも、力をなくしたその身体でもない何かを、彷徨は撫でるように指先を動かしていた。

(な、何もありませんけど…。 彷徨さん…?)



こんばんは。杏です。
お目にかかれて光栄です。ありがとうございます。

“プールサイド”、まだかかりそうなので、時節ネタを先にぶっこみます。(プールも季節ものだって><;;
…が、書いてみたけど、これ、着地点がありません。ラストが決まってない!とゆーか、ここしかない!
うへへへへ。(←夏バテw
あ、パラレルじゃないですよ。ちゃんと(?)フツーの(?)だぁ!の世界。(笑)
これこそ短めに終わらせれるように頑張ります。
前後編くらいで書けるようになりたい。でもこれはもう無理。3話くらいで終われないかなぁ…。

拍手御礼10万記念、ちょっとだけ上げました。もうひとつかふたつで、完成です。
いろいろ、頑張ります。最近こればっかですね。
私事ですが、もうすぐ歳くいます。誕生日が嬉しくなくなったのはいくつの頃からだろう…w
今年もなんか企画出来ればいいなぁ。案ないけど。
何かあればください。

とゆー訳で、こっちもよろしくお願いします。最近迷走中…な杏でした。

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