遠距離カタオモイ

あとがき

作:

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「遠距離カタオモイ」 あとがき

足掛け3ヶ月、全28話。無事、私にとって一番の大作(遠カタ終了時点)が完結いたしました。
お題を戴きましたのんしゃん、そしてお読みいただいたみなしゃんに、心から感謝いたします。ありがとうございました。


ここでは作者の裏話、苦労話、独り言などなど、なんせ舞台裏を思うままに書き綴りますので、…ま、まあ、気が向きましたら読んでやってくださいませ。
「月咲き」のときにもこんなスタイルにしましたが、読む側としてはどうなんでしょう??…え、やっぱ要らないですか?…そんなブーイングも、お待ちしておりますm(_ _)m

時節別に4つの章に分けましたが、上手く起承転結に合わせられる訳もなく…。。力不足です(><)
夏休みに始まり、文化祭でアキラと再会、告白を聴いてしまってすれ違う、初雪のテスト期間に足跡のくだりを含めて完結。
最初に決めたのはそれだけ。このお話はここからの紆余曲折が凄まじかったです(笑)


さて、何から書こうか。じゃあ登場人物を…って、みなしゃんよくご存知のメインキャラクターはやりませんけどね(^^;

今回のオリキャラ。
田原のぞみちゃん。未夢の元の学校での級友で、一番の親友。実は元生徒会長。どこまでもマイペースで、天真爛漫な感じかな?
んでもって、マシンガントーク。…いや、たぶんこれは彷徨くんしか感じてないと思います。女性陣はフツーに五分五分で話せる。って設定。
名前は、お題を戴いた“のん”しゃんから、そう呼べる名前に〜と思って、のぞみちゃん。からの、某戦う女の子のピンクちゃんに連想、ちょっともじって田原サン。そう、彷徨くん声の(笑)
そこまで連想しながらの、彼女のイメージが掴めず…。悩みながらざかざかと描き上げたこともあるこの子は、動きがよく(ラストは微妙でしたが)、よくやってくれた!と感謝の子です(^^*

そして、未夢ちゃんにフられ役の木島くん。名前なし。
未夢やのぞみの通う女子中の、姉妹校にあたる男子中に通い、塾で未夢に目をつける。合同で行われた文化祭(関係者のみ)で、声をかける。
彼は…なんだかんだで卒業まで粘りそうです。んで、卒業式とか、引越しの日とかに彷徨くんと鉢合わせて、「負けた…!」と諦める。と。
…そんな感じ、うん。書くこと浮かばなかった、ごめん木島くんw

ちょいキャラ、生徒会メンツ。佐々木くんと小柴さん。他にも数人いるはず。
のちに彷徨のあとを継ぎ生徒会長となる佐々木くん。ちょっぴり頼りない気がしますけど、周りが固いのでしょう(笑)
小柴さんは、本編で無駄に書いちゃったけど、彼氏アリ。2コ上のバスケ部OB。マジメ〜な感じではなく、意外と今どきっ子な副会長なつもり。

で、オリキャラじゃないけど、どんな子にしようかと悩んだのがアキラさん。
アメリカナイズのようで、でもきっとそれは彼女が元々持ち合わせたもので、それが境遇にうまくマッチしただけだろうな、と。私の解釈。その中に、奥ゆかしい日本的な部分もありますね。
彼女には「身を引く」という言葉は似合わない。自分がそうしたいから見守ることに変えただけ、とでも言いましょうか。相手の為じゃなく、あくまで自分の思うままに。
未夢ちゃんが戻ってきたあとの平尾町が面白いことになっていそうです(笑)
アキラさんを表現するにあたり、“約束デート”の回を何度も見直しました。話し方とか、仕草とか、表情とか。研究、研究。
彼女の設定らしい設定は特にないです。あ、炭酸が苦手。
あと、元々の家に帰る訳なので、当然、四中に転入。の予定が、あの可愛らしい制服が嫌、と隣町の私立を希望。ってことくらいかな?


キャラクターはこんな感じでしょうかね。
ではここから、各話の裏話でも!それぞれのあとがきがないと、ちょっぴり窮屈な作者。。書くとなればそれはそれで、悩むんですけどね。

第一章
「アメリカからのエアメール」
始まりは2通のエアメール。実は、1枚はアキラからなんですが、彷徨は結局目にしなかったのかもしれません。送り主だと思っている未夢ちゃんと直接話しちゃいましたしね。
ラプンツェル、番外で書こうかと思ってたんだけど、どうにも演劇にアレンジするのは難しかったので挫折(^^;

「この夏最後の思い出に」
ここ、短かったですね。花火大会自体はそんな大事じゃないので、スルーしました。再会と、意の疎通に重点をおければオッケーだったので。

「父として、子として。男として」
宝晶さん、ぐっじょぶ!真っ赤になって怒鳴る彷徨くんがお気に入り。アニメらしいかな?と。彼の性格は原作とアニメでだいぶ違いますからね。それを引き出すのに悩んだ回です。
ラストの伏線、実はなぁ〜んにも考えずにはりました。何とかなってよかった!

「招かれざる…」
タイトルは電話にかけてます。彷徨くんから、ほんのりラブ感が出ています。この時点ではそれもいいかな〜と思いながら書いてましたから。
未夢ちゃんからは逆にそれが見えない気がします。そんなつもりはなかったのですが。
こんなただの日常って感じのやりとり、好きなんですが、自分で書くのはなかなかない気がします。。

「鍵の行く先」
「未夢を呼ぶ音」
水野先生、やらかしてくれました!彼女以外が顧問になっちゃうと繋がりが悪くなるので、頑張ってもらいました。
この2回、時間が前後…、とゆーかぐちゃぐちゃに交じってます。ここらへんから、「ヤバい!遠距離めちゃくちゃ難しい!」と思い始めた作者です。
どうしても未夢サイドと彷徨サイドが必要になること、ただ時系列にそってしまうと読みづらくなること。これを終えたあたりから、構成を含めてプロットを考え始めます。(遅いだろって話ですがw



第二章
「忘れられてたエアメール」
「未夢とアキラと文化祭」
のぞみちゃん、アキラさん登場。あ、三太くんも初登場?
こーゆーよくある文化祭って、実は作者は体験したことがなく。中学校で、金銭が発生するような文化祭ってあるのでしょうか?…田舎だからかしら(^^;
文化部の発表とか展示とかをする期間があっただけで、丸一日つかったイベントではなかったです。
…ので、妄想だけで書きました。まぁきっと、こんなもんですよね?(@_@;

「新たな出会いと、再会と」
ようやく未夢ちゃんと彷徨くんの再会。ほんの束の間でしたけどね。これがないと始まらない!
二人の再会はもとより、未夢×アキラ、彷徨×のぞみが大事なとこですね。これだけ周囲が動いてくれると、さくさく進みます。二人だけだとなかなか…なので(笑)

「知らない世界」
彷徨くんの大冒険!(笑)
彷徨はのぞみに出会った!そのまま引き摺られた!駅前で未夢を見つけた!
この回はセリフも描写も、書いてて楽しかったです。作者お気に入りの回。

「彷徨と留守番電話」
これまたおかしな構成ではあるのですが、個人的にはうまく収まったと思っています。
留守電リピート、なんて乙女な未夢ちー!
“また”って曖昧ですよね。明日のつもりが明後日に、明後日のつもりがどんどん…。すれ違いの始まり。
この辺からこちらもモチベーション保てなくなりました(;x;)

「秋空のバスケットボール」
「空飛ぶアイツに」
これは完全なる幕間ですネ(^^;
幼馴染みトリオの日常を書きたかっただけ。あと、クリスちゃんの心境の変化。
でも、バスケよくわかんないし。宝城の制服には悩むし。悩みすぎて、彼女も制服姿でざかざか描き上げました。
記憶力弱いので、脳内イメージはちょいちょい変化してたりするんです。だから描く、書く。設定とか箇条書きにしてたりもします。
ななみちゃんと綾ちゃんのヒレ評価、好きです。噂はトビウオ化。それと、オカメちゃんをかけて、“空飛ぶアイツ”なのでした。



第三章
「それぞれの勉強会」
よし、ここからが重要だ!と気合入れて始めたはずの第三章。
おおまかなプロットは決めていたものの、崩れに崩れ、構成も当然、二転三転。
だから多少(…だいぶ?)前の幕間と書いてあることダブってる回になってしまいました。。親友たちの心情あたりがね…。

「告げた想い」
綾ちゃんママ、元気ですよ?
未夢ちゃんがジュース注ぎに行ってる間の、二人の思い付きであります。
こうでもしないと、未夢ちゃんが西遠寺に泊まる→例の彼から電話で告白→彷徨くん聞いちゃって脱兎(笑)の構図ができないんだもん!
いやぁ、彷徨くんもビックリしたでしょうね〜。うんうん。

「雨に打たれて」
「ひた走る」
行く先をアキラ宅にしてひと波乱、と思ってたんだけど、絶対彷徨くん行かないな、と思って却下。
のちに出てくる「彷徨はズルい」ってやつを感情的に叫ばせて、平手打ち。…をやりたかったんだけどなぁ。。
なんせ今回、色恋面で一番幼いのは彷徨くんにしようと決めてましたから。

「親友ってめんどくさい」
きました、三太くん!背景までサンタクロース!まだ秋なのに、サンタクロース!!
男同士の語り合い、とゆーか、結構鋭い(彷徨くんに対しては?)三太くん。を入れるのも私の中で決めていたことでした。
彼にしか出来ないことですしね。きっとサシでマジメに語っても、逆に意固地になるのは目に見えてたんでしょうね。

「モノクロの後ろ姿、音もなく」
リズミカルな包丁の音も聞こえていない。長い髪の色も、わかっていない。
それぐらい、彷徨くんの中には知らず知らず穴が開いていた。…とゆーのを書きたかったんですが。。。
他にも、日常的に呼び間違えかけたりしてたのを入れたかったんだけど、そんな隙間がなくて断念。
未夢ちゃんサイドをどこにどんな風に入れるかで、この辺りは随分構成を入れ替えながら書きました。

「ファースト・キス」
平手打ちがキスに変わりました。はい。
恋を知らないうちに負った傷が、彼を恋から遠ざけた。これが「遠カタ」の彷徨くんが恋をしない要因です。
何か大きな理由が必要だと思ったのですが、それ自体を大きな事件にしてしまうと、バランスがおかしくなると思いまして。
「遠カタ」のテーマはあくまで“遠距離になった二人がどうくっつくか”ですから、事件第一にするならば、それ重視でちゃんと書きたいですし。
ひとつひとつの積み重ね、という感じの、日常の中に因子を組み込みました。
この一件でパンと切り替えてしまえるようなことにしたくなかった、ここから時間をかけて、彷徨くんを悩ませたかった、というのも。

「君との交差点」
久しぶりにちゃんとした未夢ちゃんサイドを書いた回です。
彼女がどうするのかは、告白の一件あたりからずっと考えていたんですが、結論…泣かないだろう。となりました。
でも、大丈夫、と強がって堪えるのではなく、“泣けない”。それって泣くより辛いことだと思うんです。辛い、悲しいって、外に表現できる方が、どんなに楽か。
思い返せば、彷徨くんサイドが強くなりすぎて、彼女がそれをどう乗り越えたのかを描けていないのが悔やまれます。

「遅咲きの恋は、まだ?」
前回のラスト、未来さんに未夢ちゃんを遮って話してもらおうか、宝晶さんに電話しようか。前者だと上手く書けなくて、こっちに。
春からのアメリカ行きが決まりそう、との電話。もちろん、この段階では未夢ちゃんは知らないでしょう。その方が光月家らしいかな、と思って。あ、本決定は年内中に、とゆー話だったんですね。
宝晶さん、「願書が…」って言ってるけど、何気なく調べたら一般的には願書は年明けてからっぽいですね。失敗、失敗(^^;
そして彷徨くんの回想ちっくに明かした、昔話。三太くんしか知らない過去、そんな意味でも、彼にしか出来ないことです。
アキラさんがいるから、このタイミングだから、彷徨くんが言葉を返さなくなるのも、きっと三太くんの想定内。さすが親友。



最終章
「僕の決意」
「避けてきた階段」
この“僕”は彷徨くん…とゆーより、どちらかというと優さんのことです。優さん、出てくる予定はひとつもなかったんですが…。
浴衣を伏線にしたつもりもありませんでした。お話にない中で取りに来ただろう、くらいに考えてた作者。思わぬアイテムに助けられました。何でも書いとくもんだ(笑)
ここにも彷徨くんが恋に目覚めるためのきっかけを投下します。
それに必要なのが、ルゥ、ワンニャーに向けるものとは全く異なる想いであることを認識すること。それに優さんが一役かってくれました。
まぁ、きっかけなんで、ここではまだ朧気ではありますが。
ちょっとモノに当たるくらいの思春期の少年具合があってもいいかなーとタイル割っちゃいましたwごめんね、宝晶さんm(_ _)m

「スキ。だからこそ」
彷徨くんなら、時間半分くらい余裕で余らせてるだろうな〜と思ってそうしたけど、さすがにやり過ぎだったかな?15分くらいに留めるべきだったかなぁ(^^;
1年生の告白。未夢ちゃんが居た頃を見てないから、彼女はきっと告白出来たのでしょう。“この間までランドセルを背負っていた少女”であることに、やっぱり意味があるのです。
彷徨くんが恋を避けるようになった、当時の年齢により近い子の方がいいな、と。かと言って接点のない小学生って訳にもいかないので、1年生の女の子に告白してもらいました。
そして、アキラさんへの返事。
未夢ちゃんのところに行く前に、これはハッキリさせるつもりでした。それでも、何も変わらない、ってゆーのを身をもってわかって欲しかったので。これは大きな後ろ盾になってくれたはず…です。

「初雪と足跡遊び」
のぞみちゃん、最後が微妙だったぁ(T△T)もーちょい活躍させてあげたかったけど、叶わず…。なのにラストまで攻め込む木島くん。
足跡は一番最初の予定では、未夢ちゃんに彷徨くんのものだってバレてる設定にしてたんだけど…「ダメだ!背が伸びてるのに歩幅が去年と一緒なんてオカシイ!」と却下されました。そりゃそうだw
ベンチと入り口の遠い距離ながら木島くんとも鉢合わせて、それで未夢ちゃんが彷徨くんの目の前で彼をフる。ってはずだった。予定は…あくまで予定。。
お話が長くなればなるほど、至る所で方向修正を余儀なくされます(私の場合)。すべてはプロットが雑すぎるとゆーことかしら…。

「白き蕾をあたためて」
「六花のピリオド」
もともとひとつだったんですが、長くなったので分割。ここまでくれば、あとは彼らが動くままに文章を組み立てるだけです!楽です!
六花(りっか)とは雪のこと。それが終止符を打つのは、“カタオモイ”。これからしばらくは、遠距離恋愛です、ね。


こんな感じで「遠距離カタオモイ」は無事、完結を迎えることが出来ました。
本気でやめたくなったときも…実はなきにしもあらず(苦笑)
己に負けまいと頑張れたのは、みなしゃんのあたたかいエールがあったからです。
「待ってます」「楽しみにしています」のお声に、どんなに励まされたか。
お寄せいただいているお言葉は、私の宝物です。
ちょっと一休みして、次回作を書き始めようと思います。現在いくつか構想中。。。

長い長いお付き合いをいただき、ありがとうございました。
またお会いできる日を楽しみにしております。 杏




おまけ。


「…なぁ、未夢。 やっぱり受験やめねー?」
「な、なんで…?」
「…………」
「わたしがそばに居ちゃ、いや…?」
急に不安に揺れ出した瞳。彷徨はそれから目を逸らすように、未夢を抱き締めた。
「…そーじゃなくて」
「…? かなた…っ?」
「同じ家に居て守れる自信ねーもん」
「そ、そんな守ってくれなくても、わたし……いった!」
ふいに力を緩めて、デコピン。額を抑える未夢の顎を掬って、赤くなった額にコツンと額を当てる。
「…何があっても知らねーぞ?」
「な、なにがあるのよっ?」

「さぁ? ヒミツ」
ちゅっと音を立てて、不意打ち。
「……っ! な、ななななによぉ〜〜〜気になるじゃないっ!」
「…そのうち解らせてやるよ」



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