作:杏
「彷徨、小銭足りないんじゃない? 端数、78円だよ?」
珍しく二人で寄ったスーパー。
不思議に思って、足りない小銭を手にとろうとしたら。
「おい! いいから、そのまま出せって!」
「…よろしいですかぁー?」
「あっ、ハイ!」
「…?」
食費用の財布から、彷徨が出した。1578円の会計に対して、2133円。
「意味わかんない…」
唇を尖らせて、小さく抗議。
「まぁ、見とけって」
「555円のお返しでございまーす」
「あ…」
な?って彷徨が涼しい顔で言ってる。なんか悔しい。
買ったものを袋に詰めて、帰り道。
「おまえの当番のあとって、すげー小銭増えてんだよなー」
「………」
そんな『すげー』って言われるほどは増やしてないと思うんだけど。出せる小銭はわたしだって出してるし。
「むしろ、彷徨とワンニャーのあとが少なすぎるのよ」
「1円、10円、100円が5枚あったらおかしいだろ?」
「別に、おかしくはないと思うケド…」
損してるんじゃないんだから、いいじゃない。
「…男のクセに」
「なんか言ったか?」
横目で軽く睨まれた。
男の子の方が、お札バーンと出しちゃって、小銭持ってそうなのに。
あ、でもうちは逆だったな。やっぱりパパはちゃんと出してて、ママの方がバーンだった。
「何でもない、…デス」
荷物は持ってくれてるから、やめとこ。
今日はカボチャと牛乳と醤油とみりんが入ってる。そんなもの渡されたら……ムリムリムリっ!
「ありがと! 付き合ってくれて」
そうよ!ニコニコ笑ってお礼言っとけば、彷徨だって機嫌よくうちまで…あ、あれ?
彷徨の歩くペースが急に上がった。わたし、なんか悪いコトした?
「ちょ、ちょっとぉ〜、待ってよぉ!」
これがホントの“お財布事情”!(笑)
私も出来るだけ出して小銭を減らす派なんですが、計算苦手(−−;
でもイチ店員としては、財布パンパンにしてるおばーちゃんとか、手伝ってあげたくなる。
ジャラってあけて、ここから取って!って言ってくれればいいのに、って。(実際そんな方もよくいらっしゃいます^^;)
…おっと、話がそれました。
日常から御礼用小ネタ探しも始めた頃です。
なかなか見つけられないので困ったものです★