夕暮れの放課後【光ヶ丘→未夢】

↑のside望

作:聖 叶都

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前回の【光ヶ丘→未夢】の望編
なんかアンニュイすぎ?


放課後。人も疎らな、この時間の空気は澄んでいて本当に良い。
下駄箱に向かうと、声が聞こえた。
耳に心地良いよく知った声と、聞き慣れない男の声。

「西園寺と付き合ってるって本当なの?」
「ち…違います!付き合ってません。」

どうやら、未夢っちが告白されてるみたいだね。
まぁ、仕方ないか。
可愛くて天真爛漫な彼女はとても魅力的だから。
……ここにも1人虜になった男がいるほどに。

「じゃあ俺と付き合ってよ。大丈夫。絶対後悔させないから。」

…なんだ。この自信過剰男は。
大体、未夢っちが西園寺くんを想っていることは既に誰でも知っていることだろうに。
それ以前に、彼女がそんな奥ゆかしさの欠片も無い強引な男に惚れるわけがない。

「ちょ…っ!いやっ!」
「平気さ。」

空気が変わった。未夢っちが危ない。
気付いたら、鞄を放り出し、駆け出していた。

「なにしてるの?」

自分でも驚くほどの冷たい声。
2人の前に飛び出て、思わず目の前が赤く染まった。
なんと、その何処の馬の骨かもわからない男は、未夢っちを抱き締め強引にキスを迫っている。

「望くん?!」
「光ヶ丘?」

未夢っちの驚いた顔とその男の嫌そうな顔。

「止めなよ。嫌がってるじゃないか。」

他にも言ってやりたいことは山ほどあったけど、とりあえず無難なことを言ってみる。
そして未夢っちを、その汚い腕から引き出した。その顔は怯えている。
絶対に許せない。

「お前には、関係ないだろ?」
「関係あるよ。未夢っちは友達だから。…悪いことは言わない。止めたほうが良い。」

最後通告だった。
これ以上、僕自身、自分を抑えきれるかわからなかったから。

「ちっ。わかったよ。」

幸い、その男はすぐに立ち去ってくれた。
僕も暴力事件を起こさずにすんだよ。

「あ、ありがとう…。」
「大丈夫かい?全く女の子に無体なことをしようなんて。信じられないね。」
「すごく…怖かった…。」

可愛そうに。
未夢っちのか細い身体は震え、なんとその瞳から涙が…。
あぁ。
やっぱりあんな男、殴って置けばよかった。

「ねぇ、未夢っち。もうちょっとこのままで居てもいい?実は、僕怖かったから。腰が抜けちゃって。」

勿論、そんなことは無い。
でも、もう少しこの華奢な身体を抱き締めていたかった。
甘い香りが鼻腔をくすぐる。
こんな彼女を前にして…不謹慎だな。

「ありがとう…。」

か細い声が耳に届く。

いつから、こんなに君のことを好きになってしまったんだろう。
絶対に手に入らないのに。

でも。でも。
今はこのままで……。


やばすぎだろう。
つか彷徨好きな人には、申し訳ない。
駄文だなぁ(涙

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